じつは避けたほうがいいかも?野菜のプロが教えるさつまいもの「もったいない」食べ方
2025/01/05
甘くてホクホクのさつまいもは、子どもにも大人にも人気の高い野菜のひとつですよね。でも、せっかくさつまいもを買ってきて調理したのに、思ったほど甘くなかった…なんて経験のある人もいるのでは、それ、もしかしたら「もったいない」調理法のせいかも!?
今回は、野菜ソムリエ・食育インストラクター・気象予報士として活躍する植松愛実さんに、さつまいもの「もったいない」調理法とおすすめ解決策を教えてもらいます!
沸騰させてから煮るのは「もったいない」!
さつまいもが甘いのは、さつまいもに含まれるでんぷんが、加熱によって糖に変わるためです。ただ、でんぷんから糖への変化は、高温すぎる環境ではあまり起きないのです。
さつまいものでんぷんが「麦芽糖」と呼ばれる糖に変わる温度の目安は、だいたい55℃から70℃くらい。つまり、この温度帯ができるだけ長く続くことが重要です。
もし、さつまいもを煮たり茹でたりする際に、水や調味料を沸騰させてからさつまいもを投入すると、100℃前後の状態で調理することになり、さつまいもの甘さを十分引き出せない「もったいない」状態に。そのため、最初からさつまいもを入れてから鍋を火にかけるようにして、できるかぎり55~70℃付近の温度が長く続くようにしましょう。
低温&じっくりで色や形にもメリット
今回は、さつまいもの甘さを最大限に引き出すために低温かつじっくり加熱する方法をおすすめしていますが、じつはこの調理法、仕上がりの色や形の面でもメリットが大きいのです。
というのも、さつまいもは100℃前後で加熱するよりも、低めの温度で火をとおしたほうがきれいな黄色に仕上がるため。さらには、煮崩れしにくいという利点もあります。さつまいもやじゃがいも、にんじんといった固い野菜は中心まで火がとおるのに時間がかかるので、いきなり高温で加熱すると「表面はやわらかいのに中心だけ固い」という状態になってしまい、煮崩れの原因になるのです。
多少時間はかかりますが、お湯ではなく水から入れることのメリットはたくさんあるので、「今まで沸騰してから入れていた!」という人は、ぜひ試してみてくださいね。
野菜の個性にあわせた調理法でかしこく味わおう
身近な野菜だと、ふだんやっている方法にあまり疑問を持つことなく「なんとなく」で調理することが多いかもしれませんが、意外と基本的なところに「もったいない」が隠れていることがあります。
野菜の個性にあわせた加熱の方法などを選ぶことで、同じおかずを作ろうとしても見栄えや味が大きく変わってくることがあるので、ぜひ野菜をかしこくおいしく味わってくださいね。
■執筆/植松愛実さん
気象予報士と出張料理人の両面で活動中。気象・防災に関するヒントのほか、野菜ソムリエ・食育インストラクターとしておいしい食材のおいしい食べ方を発信中。
編集/サンキュ!編集部