店頭で見かけることが多くなった「スティックセニョール」をご存じですか。ブロッコリーを品種改良して生まれた日本生まれの比較的新しい野菜です。その見た目からアスパラガス?ブロッコリー?と悩まれると思いますが、じつは両方のいいところを持ち合わせた優等生なんです。
今回はスティックセニョールについて知ってほしい豆知識とおすすめのレシピを炒め物、サラダ・和え物、パスタ、スープの4つのカテゴリーに分けてご紹介します。

スティックセニョールとは?
スティックセニョールは中国野菜の「かいらん」とヨーロッパ原産の「ブロッコリー」を掛け合わせて作られたアブラナ科の品種。別名「茎ブロッコリー」とも呼ばれ、つぼみから茎まで丸ごと食べられる注目の野菜です。
味・特徴
ブロッコリーをスティック状にした、長い茎が特徴のスティックセニョール。てっぺんのつぼみはブロッコリーよりも小ぶりで柔らかく、茎はアスパラガスのようなシャキッとした歯ごたえがありほんのり甘さもあります。また、皮はブロッコリーと違って柔らかく筋がないため、むかずにそのまま食べることができます。クセや苦みがなくて食べやすく、下処理も必要なく手軽に調理ができるため、さまざまな料理で使える大人気の野菜です。
栄養素
スティックセニョールはさまざまな栄養素を多く含んだ緑黄色野菜。なかでもビタミンCはレモンの2倍といわれるほど豊富なんです。タンパク質も多く含んでいるため、体を鍛えているかたにおすすめです。また、βカロテンや食物繊維、カルシウムや鉄、葉酸などのミネラル、抗酸化作用のあるスルフォラファンはブロッコリーよりも多く含まれています。疲れの出やすい時期や風邪などの感染症が流行する季節には積極的に食べたいですね。
保存方法
スティックセニョールは0~5度がベストな保存環境です。常温や野菜室では温度が高いため、冷蔵庫で保存しましょう。つぼみは乾燥に弱いため水でぬらしたキッチンペーパーで包んで全体をラップで包み、ポリ袋に入れて立てて2~3日保存できます。それ以上保存する場合は冷凍保存しましょう。そのままもしくは食べやすい長さに切り、かためにゆでます。さましてから冷凍用保存袋に入れて2~3週間保存可能です。食べる際はそのまま調理に使えるため便利です。
スティックセニョールのゆで方
スティックセニョールのゆで方はお湯でゆでる方法とレンジで加熱する方法の2通りがあります。それぞれの方法に違うメリットがあるため、好みに合わせて選ぶといいですね。しかし、加熱しすぎて柔らかくなりすぎると食感が悪くなったり、栄養素を失うなどのデメリットもあるため注意が必要です。栄養面を考慮したゆで方で調理すると余すことなく食べることができます。上手なゆで方と合わせておいしく食べるためのポイントをご紹介します。
鍋を使ったゆで方
鍋で沸かしたお湯1~1.5Lに対して小さじ1杯の塩を入れます。茎の部分から先に入れて約1分、その後つぼみの部分が浸かるように入れてさらに1分程度ゆでます。ゆで上がったら水には浸けず、ザルにのせて広げて余分な水分を落としながらさますと色鮮やかに仕上がります。じっくりとゆでるためほっくりとした食感になりますが、水に溶けやすいビタミンが流れ出る恐れがあります。ゆで汁をスープで活用すると効率よく食べることができます。
レンジで加熱する方法も
スティックセニョールを耐熱皿に並べて、大さじ1杯の水をまんべんなく振りかけます。ラップをふんわりとかけて電子レンジで約2分加熱し、ザルに広げてさまします。お湯につけていないため栄養素の流出が少なく、水分の付着する量も少ないためお弁当のおかずにぴったりです。さらに、お湯を沸かす手間がないのもうれしいですね。ただし、使用する電子レジの機種やワット数、スティックセニョールの太さや長さによって加熱時間が異なるため、状態を確認する必要があります。
スティックセニョールの可食部は?全部食べられる?
スティックセニョールはつぼみだけでなく、茎や葉も含めて全部食べられます!つぼみと茎葉はかたさが異なるため、それぞれに合うメニューで食べるといいです。
つぼみは柔らかく、サラダや和え物にすると食感や甘さを感じられます。茎はアスパラガスのように歯ごたえがあるため、焼いたり炒めたりして食べる料理がおすすめ。葉はしっかりとした歯ごたえがあり、青臭さはないため茎と一緒に油を使った料理にするとおいしく食べられます。
スティックセニョールのレシピ:炒め物・焼き物
スティックセニョールは油との相性がよく、油と組み合わせることで吸収率がアップする栄養素も含まれています。定番のサラダ油だけでなく他の油や素材そのものが持つ脂など、さまざまな「油」と一緒につくるレシピをご紹介します。
スティックセニョールのオイスターソース炒め
オイスターソースで味つけした炒め物。スティックセニョールにごま油とにんにくの香りをまとわせると青臭さが消えて食べやすくなります。下ゆでしてあるのでオイスターソースはからめる程度でOK!食感も楽しめる一品です。
スティックセニョールと魚介のバター炒め♥
相性のよいバターとの炒め物。先にエビとホタテを炒めて魚介の旨みをバターに移すことで、風味がアップします。電子レンジで加熱したスティックセニョールは余分な水気がないためすぐに使えて便利。バターのからみもよくなります。
スティックセニョールのベーコン巻
スティックセニョールを切らずに使ったメニュー。ベーコンをぐるぐると巻いて焼くと、ベーコンの旨みを吸って味つけが不要に!下ゆでしておくと焼き時間が短くなり、シャキシャキとした食感が残ります。豪快にかぶりつきたい一品です。
牛肉とスティックセニョール、椎茸の炒めもの
色鮮やかな炒め物。スティックセニョールは軽くゆでて味つけのタイミングで入れると、歯ごたえが残り緑色が映える仕上がりになります。一口食べるとしいたけと牛肉の旨みも感じられ、おつまみやおかずにぴったりです。
セニョールちくわのチーズ焼き
スティックセニョールをちくわの穴の中に通す斬新なメニュー。見た目もおもしろく子どもが喜びそうですね!チーズをのせて焼くと、ちくわの旨みとチーズのコクを吸って風味豊かな味わいとこうばしい香りが広がりますよ。
スティックセニョールのレシピ:サラダ・和え物
さっと火を通して食べられるスティックセニョールはサラダや和え物などの簡単な料理にぴったり!彩りを添えるだけでなく、シンプルな味のため味の馴染みがよく、さまざまな味と組み合わせて楽しむことができますよ。
レタスとスティックセニョール、ベーコンのサラダ
カラフルなサラダの仲間に。下ゆでしたスティックセニョールは水分をしっかりと切ることで、ドレッシングのからみがよくなります。長さを生かした切り方にすると映えた演出になり、食べるのが楽しくなりそうですね。
スティックセニョール ゆで卵とツナのソース
そのままでもおいしいスティックセニョールにひと味プラスした一品。ツナとゆで卵の白身を使った食べ応えのあるソースは味のアクセントになります。残った黄身をちらして華やかさを演出するとおしゃれ度もアップしますよ。
スティックセニョールのカレーマリネ
作り置きにぴったりの一品。マリネ液に漬けこむため、スティックセニョールは少しかためにゆでるのがポイント!柔らかいと食感が悪くなるため、つぼみと茎を分けてゆで加減を調整するとおいしくつくれますよ。
スティックセニョールのごま和え
副菜で人気のごま和えをスティックセニョールで!甘辛い和え衣をまとうとコクが出てより食べやすくなります。ゆですぎると甘さや食感が損なわれるため、少しかためにゆであげて余熱で仕上げるとちょうどよい食感になりますよ。
茎が美味しい!!長いブロッコリーの柚子こしょう和え
おとな風味の和え物。ゆで上がりに冷水にとると色鮮やかに仕上がりますが、浸しすぎると水っぽくなり味が悪くなるので短時間で。柚子こしょうのピリ辛とかつおぶしの風味はお酒にも合います。辛さはお好みで調整してくださいね。
スティックセニョールのレシピ:パスタ
油との相性のいいスティックセニョールはパスタ料理にもぴったり!油で炒めた他の具材の旨みを吸収し、甘みとの相乗効果でよりおいしくなります。食感を生かすために下ゆでをして和える程度に混ぜ合わせるのがポイントです。
スティックセニョールのペペロンチーノ
緑色が映えるペペロンチーノ。スティックセニョールをゆでたお湯でパスタをゆでると味と流れ出た栄養を吸収しておいしくなります。野菜が食べられるので、ふだんのペペロンチーノよりボリュームのある一皿でおなかいっぱいになりそう。
蛸とスティックセニョールのパスタ
旨みのつまったオイルパスタ。タコとドライトマト、にんにくの旨みやコクをスティックセニョールとパスタが吸収して風味豊かに仕上がります。スティックセニョールは火を通しすぎずソースをからめるだけで食感をキープできますよ。
スティックセニョール&ポークのトマトソース★パスタ
豚肉が入ったボリュームのあるパスタ。パスタとスティックセニョールは時間差でゆでると同じタイミングで取り出せて便利!ソースはからめる程度にすると歯ごたえのよい仕上がりに。クリームソースとの相性もバッチリです。
えのきとスティックセニョールの和風パスタ
しょう油ベースの和風パスタとの相性もバッチリ!ゆでたスティックセニョールは炒め合わせず、仕上げにのせるだけにすることで食感がキープできます。本来の甘みを感じつつしょう油のコクとの組み合わせも絶品です。
スティックセニョールとウインナーのバジルパスタ
バジルと組み合わせたパスタ。スティックセニョールはかために下ゆでしてから加熱しすぎない程度に炒めて水分を飛ばします。食感が残り、ソースのからみをよくなるためパスタとの一体感が生まれておいしくなりますよ。
スティックセニョールのレシピ:スープ
スティックセニョールに含まれるビタミンCなどの水に溶けやすい栄養素も、スープにすることで逃すことなく飲めるのが魅力!シンプルな味なので、和洋中どんな味にも合いますよ。加熱しすぎに注意して食感も楽しみましょう。
しめじとスティックセニョールの☆簡単コンソメスープ
コンソメ風味のスープの具材に。スティックセニョールは下ゆでせずにそのままスープに入れるとスープの味にコクがプラスされておいしくなります。火が通りやすいため、長く加熱しないことがおいしくなるポイントです。
えのきとスティックセニョールのスープ
中華スープの具にもなります。先にスティックセニョールに火を通してから、ウェイパーで調味すると旨みの具合が把握しやすいために味が決まりやすいです。しょう油を垂らすと味がしまって、チャーハンのおともにぴったりです。
ごろごろお野菜と海鮮が入ったミルクスープ
煮込むスープの具にも使えます。スティックセニョールは茎だけを使い、油で炒めて甘みを閉じ込めスープで煮ることで他の具材の旨みを吸収しておいしさがアップします。乳製品との相性もよく、白いスープに彩りを添えてくれます。
スティックセニョールのお吸い物
和風だしと組み合わせた汁物に。スティックセニョールをだし汁で煮ると火が通るだけでなく、旨みが染み出てコクのあるだしに変身します。酢を少し入れることでさらに旨みが引き立ち、上品な味わいの一品になります。
厚揚げとスティックセニョールの味噌汁☆
茎を使ったみそ汁。厚揚げとスティックセニョールのコクのおかげでより風味が豊かになったみそ汁に仕上がります。茎がかたくてサラダに向かないときは汁物に入れて食べると、捨てずにすべてを食べ尽くせますよ。
まとめ
全国各地で栽培されるようになり、一年中出回っているスティックセニョール。新顔野菜は未知なだけに手を出すのに勇気がいりますが、ぜひ食べてみてください!甘さ、食感、シンプルな味わいにはまってさまざまな料理を食べたくなり、レパートリーが増えるかもしれません。また、さっと下ゆでするだけで食べられる手軽さに魅了され、ごはんやお弁当のおかず、お酒のおつまみに登場する回数も増えますよ。見つけたらぜひ味わって魅力を感じてください。