ゆでるだけでごちそうに!?「ビーツ」を下ごしらえするポイント

2019/07/12

スーパーの産直コーナーや、道の駅などで見かける、あまりなじみのない野菜。旬のときだけに登場することも多くておいそうだし、たまにはチャレンジしてみたい!とは思うものの、レシピはおろか、下ごしらえの方法さえ知らないから、なんとなく躊躇してしまうものです。

そんな野菜だからこそ、ちゃんとプロに使い方を教わってチャレンジしたいですよね。信頼感抜群の料理家、大庭英子さんにお願いし、野菜の特徴や味わい、下ごしらえから、その野菜がいちばんおいしく食べられるレシピまで、しっかり教わりました。

「はじめて野菜」に挑戦すれば、食卓を彩る野菜が増えるので、凝ったことをしなくてもいつものごはんに新しい風がふきます。献立のバリエーションも増えるので、自然にたくさんの野菜が食べられ、きっとからだも整うはずです。

教えてくださるのは、大庭英子さん。

『サンキュ!』をはじめとして、数々の雑誌や書籍でレシピを発表。料理編集者やカメラマン、スタイリストなどが、個人的に大好きと語ることの多い凄腕の料理家で、携わった書籍はすでに数えきれないほど。知らず知らずのうちに、大庭さんのレシピがわが家の味になっている人も多いはず!

ビーツ 下ごしらえ編

今回の「はじめて野菜」は、ビーツ。

ビーツといえば、ロシア料理であるボルシチくらいしか想像できない人も多いかもしれませんが、じつは、サラダや酢漬け、煮込みやスープなどの形で、世界各地で食べられている根菜です。印象的な真っ赤な色は、ほかの素材にはない強烈なインパクトがあります。

アンチエイジングや、腸内環境を整え、便秘改善が期待できるなど、最近ではスーパーフードとしても注目を集めています。

日本産のビーツには、春まきと秋まきがあり、夏と冬の2回、旬のビーツが出回ります。

ーーライターK
道の駅や産直で見かけるようになって、ビーツが日本でも栽培されているんだと知りました。東京でも栽培されているんですよ〜!こんな派手な色の野菜はほかにはあまりないし、ふだんの食卓にのせられたら、マンネリごはんの脱却に役立ちそうなんですけど……。とはいえ、ボルシチをつくるのは、かなりハードルが高いんです、先生。お知恵をください!

ーー大庭先生
そうですね。ボルシチは確かに時間もかかるし、面倒ですよね。今回はもっと簡単な料理にして、ふだんの食卓にも気軽に使えるものをつくりますよ。

ビーツは、このままではとても硬い野菜。いくつか丸ごとゆでておくことで、すぐ使えるようになり、サラダにあえたり、スープに加えたりできます。ビーツを買ったら、「丸ごとゆでる」と覚えておくといいですよ。

ーーライターK
丸ごとゆでるのは、時間がかかりそうですね…。

ーー大庭先生
たしかに時間はかかりますが、皮をむく必要もないですし、鍋に入れておくだけですから。
そこは我慢して(笑)。次回にはもっと短時間な方法もご紹介しますが、ビーツは「丸ごとゆでる」ということを覚えておくと、その後が展開しやすいんです。

ーー大庭先生
葉っぱがついていたら、切り落とします。せっかく丸ごとゆでるので、おいしさ、栄養、色が逃げないよう、実は切らずに葉の茎の根元が残るように切るといいですよ。そして、たわしでしっかり皮を洗ったら下準備は終わりです。鍋にビーツを入れて、かぶるまでの水と、塩を加えます。あとは煮立ったら弱火にし、40〜60分、ゆでるだけです。

ーーライターK
それだけですか!時間はかかるけど鍋におまかせするから、硬いビーツをがんばって切るよりも、案外ラクかもしれませんね。なるほど、やる気が出てきました。

ーー大庭先生
ゆで上がったらすぐに引き上げず、鍋の中でそのまま冷ましましょう。そのほうが、皮がつるんとむけて手間いらずですよ。

ーーライターK
わ、先生、ホントですね。手でつるんと皮がむけるんですね! 包丁での皮むきが嫌いな私にはうれしいです。じゃがいものように「熱々で皮をむく」必要もなくて、なんか、ハードル下がります。

ーー大庭先生
はい、もうこれで、どんな風に食べてもいいですよ。オリーブオイルと塩だけでもおいしいですから、そこから試すのもおすすめです。

ーーライターK
ゆでただけで食べる。たしかに「はじめて野菜」だからこそ、まずはシンプルにいただくだけで新鮮ですね!そして、ビーツの味がよくわかります。褒め言葉じゃないかもしれないですが、ちょっと土くさくて、でもほの甘さがあって、なんだか不思議なおいしさ。オリーブオイルと塩だけで、まずは1個ペロリと食べちゃいましたよ。

この土くささが素朴で、私はかなり好きです。もっとおいしそうな表現ができないと、食ライター失格ですが…(苦笑)。

ビーツを見ると、ボルシチをつくらなきゃと思うからハードルが高かったけれど、これだけでいいんですね〜。

ーー大庭先生
というわけで、今回は、モッツァレラチーズと合わせてカプレーゼ風にしてみました。ボルシチにはサワークリームをトッピングするくらいなので、ビーツと乳製品は相性がいいですよ。

ゆでたビーツは、ゆで汁ごと保存容器に入れて保存してくださいね。冷蔵庫で1週間くらいは大丈夫です。

ーーライターK
じつは、この撮影のあと、近所のスーパーでゆでたビーツがパウチされて販売されているのを見つけて買ったんです。小さめのビーツが5個くらい入っていたんですが、あっという間に食べちゃいました。そのまま食べたり、ころころに切ってサラダにあえたり。なんとみそ汁にも入れてみたんですが、おいしかったんです。すっかりビーツに夢中です! だから、多めにゆでてもすぐ食べられる自信があります(笑)。

ビーツとモッツアレラのカプレーゼ

【材料:2人分】
ゆでたビーツ…小1個
モッツァレラチーズ…1個
オリーブ油…大さじ2
塩、粗びき黒こしょう…各少々
バジルの葉(生)…適宜

【作り方】
1.ビーツは皮をむいて縦半分に切り、厚さ3mmの半月切りにする。モッツァレラチーズは厚さ4〜5mmに切る。
2.皿にビーツとチーズを交互に盛り、バジルを散らす。オリーブ油、塩、こしょうを全体にふる。

【ビーツのゆで方】
1.ビーツ3〜4個は葉がついていたら、根元2cmほど残して切り落とし、よく洗う。
2.鍋にビーツを入れ、かぶるくらいの水、塩小さじ1/2を加えてふたをし、火にかける。沸騰したら弱火にし、40〜60分ゆでる。竹串をさしてみてすっと通ればOK。ゆで汁の中でそのまま、冷ます。

Have a try!

□ビーツが近所のスーパーかにあるか、探してみる
□日本のどこでビーツが栽培されているか、検索してみる
□土くさいけど、おいしいって、どんな味?と想像してみる

料理・監修/大庭英子 
『サンキュ!』をはじめ、数々の雑誌で料理を紹介している。本当にシンプルで潔い簡単レシピなのに、そのおいしさといったら!いっしょに仕事をするスタッフたちから、絶大なる信頼を集めている。キャリアはすでに約40年。

撮影/安部まゆみ 

構成・文/加藤郷子
出版社にて料理・生活情報誌編集を経てフリーに。得意ジャンルは暮らしまわりいろいろ。趣味は食べること。一部の編集者から、「加藤さんの行った店をチェックしたグーグルマップが欲しい」と熱望されるほどの食べ歩き好き

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