【管理栄養士監修】「桃」の主な栄養素とカロリーまとめ!おすすめの調理方法は?
2020/10/26
おいしい桃を食べたいけれど、どんな栄養素があってどれぐらいカロリーがあるのかわからないかたは多いのではないでしょうか。この記事では桃に含まれる栄養素や、手軽につくれるレシピも紹介します。おいしい桃を選んで食べたいかたは、ぜひ読んでみてください。
桃の種類
桃には多くの種類がありますが、大きく「黄桃系」と「白桃系」に分けられます。
果肉が黄色く、熟しても果肉があまり柔らかくならないのが黄桃系。多くは缶詰めに使われるようです。白桃系は、果肉が白くてやわらかく生食に適しており、ジューシーなのが特徴。ほかにも、小ぶりで甘酸っぱく皮ごと食べられるネクタリンや、平べったい形をした中国原産の蟠桃(ばんとう)などがあります。
桃のカロリーと栄養素
生の桃のカロリーはどれぐらいでしょう。100gあたりの桃のカロリーは40kcal、みずみずしい果肉が特徴なため、水分量は88.7gと多くなっています。
栄養素としては、炭水化物が10.2g、食物繊維が1.3g含まれております。ほかにもナイアシン0.6mg、ビタミンC8mg、ビタミンE0.7mg、カリウム180mgといったさまざまな栄養素が含まれています。
桃の栄養素
・ナイアシン
・ビタミンC
・ビタミンE
・カリウム
・食物繊維
桃の栄養素1:ナイアシン
ナイアシンは水溶性でビタミンB群に含まれる栄養素です。ナイアシンは、糖質、脂質、タンパク質の代謝、エネルギー産生に関わり、不足すると下痢や皮膚炎、精神神経症状などを引きおこすと言われています。
水溶性ビタミンは水に溶けだしてしまいますが、生でそのまま食べられることの多い桃であれば、丸ごと摂取することができます。ナイアシンは肉類や魚介類などに多く含まれ、それらを食べる機会が多い現代の日本の食生活においては、ナイアシン不足になることは考えにくいとされています。
桃の栄養素2:ビタミンC
ビタミンCは、肌、軟骨、血管などをつなぐ役割を果たすコラーゲンの生成に必要な栄養素です。
抗酸化作用があり、生体内でビタミンEと協力して活性酸素を消去して細胞を保護する働きもあります。不足すると倦怠感やイライラを引きおこす可能性があり、水溶性のため体から失われやすので、こめまな摂取が必要です。
また、ビタミンCは、チロシナーゼの働きを阻害することにより、シミやそばかすの原因となるメラニン色素の生成や沈着を防いでくれる効果もあるため、紫外線が強くなる時季や、日差しを浴びる機会が多い人は、積極的にとりたい栄養素とも言われています。
桃の栄養素3:ビタミンE
ビタミンEは脂溶性ビタミンで、強力な抗酸化作用により「若返りビタミン」とも呼ばれています。体内の脂質の酸化を防いでくれるほか、細胞膜の酸化による老化、血中LDLコレステロールの酸化による動脈硬化の予防などの効果を期待されています。
ビタミンCには、ビタミンEの抗酸化作用をより高めてくれる働きがあり、ビタミンCといっしょに摂取することにより、その作用が高まります。
桃の栄養素4:カリウム
カリウムは体内にある余分なナトリウムを体外に排出し、血圧を下げる効果のある栄養素です。また、余分な水分を排出してむくみを解消したり、筋力を正常に保つ栄養素です。
近年の食生活の変化やナトリウムの過剰摂取などにより、カリウムの摂取は重要視されています。とくに、濃い味付けの料理を食べることが多い人は、積極的に摂取るようにしましょう。
桃の栄養素5:食物繊維
桃には、水溶性食物繊維のペクチンが含まれています。水溶性食物繊維には、腸内の善玉菌を増やして腸内環境を整える効果が期待できます。
ほかにも、糖質の吸収の速度を緩やかにし、食後の血糖値の上昇を抑えたり、コレステロールを吸着し体外に排出することで血中のコレステロール値も低下させる働きもあります。
以前の日本食には、多くの食物繊維が含まれていましたが、近年では食生活の変化などから摂取量が減っていると言われています。腸内環境を健康的に保つためにも、心がけて摂取するとよいでしょう。
桃はダイエットに効果がある?
桃はダイエットに効果があるのでしょうか。果物の中では甘みが強く、不向きなようにも思いますが、菓子やケーキに比べてカロリーは低く、食物繊維やナイアシンなどの栄養素が含まれているため、ダイエットに役立つでしょう。
桃のカロリーは、100gあたり40kcalぐらいなため、平均的な桃1個あたり、皮や種を除いて200gの場合、1日に食べるのは1個程度にするのがおすすめでしょう。
桃を使ったおすすめのレシピ
桃は生食のイメージがありますが、デザートや料理に使ってもおいしく食べることができます。ここでは手軽で簡単なレシピとしてデザート2品、前菜1品を紹介します。
デザートを手づくりすると、砂糖の量も調整でき、甘すぎず好みの味にできます。とても簡単ですので、桃がたくさん手に入る季節には、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
桃のおすすめレシピ1:桃のアンニン豆腐
桃のアンニン豆腐は、生の桃を味わうのにぴったりなデザートです。
アンニン豆腐に、皮をむいて食べやすい大きさに切った桃を飾るだけの簡単レシピです。そこにミントの葉も飾ると涼しげでよいでしょう。
桃のおすすめレシピ2:ピーチパイ
ピーチパイは缶詰めの桃を使って、気軽につくれるレシピです。
アメリカンタイプのパイで、角切りピーチがごろっと入っていて食感も楽しむことができます。また、めん棒でのばした生地で、包んで焼くだけなためおやつなどに気軽につくることができるでしょう。
桃のおすすめレシピ3:桃のバルサミコがけ
桃のバルサミコがけは、デザートとして食べるのもよいですが、ワインなどのおつまみとしてもおすすめです。リキュールを使って、香りと甘みと酸味が同時に楽しめる一品になっています。
桃をおいしく食べよう!
おいしい桃を選ぶには、形がよく大きくてずっしりと重いもの、表面に産毛が生えているもの、香りの強いものを選ぶのがポイントです。
また、皮が赤い桃の場合は、全体的に色づきがよく、赤色の濃いものが糖度も高くなっていて、枝についていた部分に青みがなくなると食べごろに近いと言われています。
なお、冷やしすぎると甘みを感じにくくなるので、常温に置いて食べごろまで追熟させ、食べる直前に少し冷たくなる程度に冷蔵庫の野菜室に入れたり、氷水に浸けて冷やすとよいでしょう。
桃の旬と重なる暑い時季には食欲が落ちやすいですが、いろいろな栄養素を含みすっきりと甘くおいしい桃を食べましょう。
監修者ミニコラム:桃には○○○の効果がある?“ひな祭り”と“桃太郎”の意外な共通点とは?
食べておいしい桃の実ですが、桃の種の中や葉には薬効があり、婦人科系の症状やあせもなどの治療に利用されていて、古くから邪気を払う力があると信じられていました。
ちょうど桃の花が咲くころに、桃の節句として女の子の誕生を祝う“ひな祭り”が行われますが、健康や幸せの訪れを願って、邪気を払う桃の花を飾るようになったのだとか。
また、邪気の象徴は“鬼”と考えられていて、それを退治するのが魔除けの力を秘めた、桃から生まれた“桃太郎”だったのです。
このように、桃は食用以外にもさまざまなことに利用されてきたのです。
身近なところでは、漢方薬や入浴剤などにも使われていることがあるので、食べるだけでなく桃を活用してみてくださいね!