【管理栄養士監修】「大麦」の主な栄養素とカロリーまとめ!おすすめな調理方法は?
2021/02/10
ウイルスから体を守り免疫力を高めるためには、健康的な食事が大切です。大麦に含まれる食物繊維は、腸の免疫機能をサポートする乳酸菌などの有用菌を、増やす働きがあると考えられています。身近なダイエット食材ともいわれる大麦の栄養素やレシピについて簡単にご紹介します。
大麦の種類
世界中で食べられている麦には、大麦、小麦、ライ麦、オーツ麦、ハト麦などがあります。そのなかでも大麦は、古くから日本で「麦ごはん」として親しまれてきました。
大麦の種類は、麦ごはんに代表される押麦のようにあっさりとして粘りが少ない「うるち性」と、もち麦などのように食物繊維が多く含まれ粘りが強い「もち性」に分けられます。
それぞれに実のつき方が違う「二条種」と「六条種」があり、二条大麦は主にビールや焼酎の原料に、六条大麦は押麦や麦茶に利用されます。
また、食感、調理のしやすさ、見た目をよくするなどの目的に応じ、大麦の加工方法によって「丸麦」「押麦」「米粒麦」「白麦」と呼ばれます。
大麦のカロリーと栄養素
押麦にした大麦100g当たりのカロリーは346kcalで、食物繊維、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄などの栄養素が含まれています。
ここからは、その5つの栄養素を詳しくご紹介していきます。
大麦の栄養素
・食物繊維
・カリウム
・カルシウム
・マグネシウム
・鉄
大麦の栄養素1:食物繊維
食物繊維は人の消化酵素では消化できない成分で、不溶性と水溶性があります。
一つの食品のなかに不溶性食物繊維と水溶性食物繊維が含まれていて、合計したものがその食品の食物繊維量となります。それぞれ健康への働きが違うため、バランスよく組み合わせてとるのが効果的で、便の量を増やして便秘を防ぐいだり、心筋梗塞、糖尿病、肥満などの生活習慣病の予防に役立ちます。
大麦には、どちらも多く含まれているので、不足しがちな食物繊維を手軽に補える食材と言えます。
大麦の栄養素2:カリウム
カリウムはほとんどの食品に含まれていて、体の中の細胞を正常な状態に保って、体内を常によい状態に維持します。ナトリウムの体外への排出を促すことで高血圧やむくみを予防・改善したり、筋肉の働きを正常に保つ働きがあります。
近年の食生活の変化やナトリウムの過剰摂取などにより、カリウムの摂取は重要視されています。
また、WHO(世界保健機構)からは、成人の血圧と心血管疾患、脳卒中、冠動脈性心疾患などの生活習慣病のリスクを減らすために、カリウムの摂取量を増やすことが強く推奨されています。
大麦の栄養素3:カルシウム
カルシウムは骨や歯をつくる栄養素です。また体内の血液や筋肉、神経などの働きに関係しているため、生命の維持活動には欠かせません。
不足すると発育障害や骨粗しょう症の原因となるため、とくに、発育期の子どもや妊娠中・授乳期の女性、高齢者は積極的に摂取したほうがよいでしょう。
また、骨に適度な負荷がかかることで、骨をつくる細胞が活発になって強い骨がつくられる性質があるため、カルシウムをとると同時に適度な運動を取り入れることも大切です。
大麦の栄養素4:マグネシウム
マグネシウムはカルシウムと同じように、骨や歯をつくるために重要な栄養素です。体の中のマグネシウムの半分以上は骨に蓄えられていますが、必要なときには骨から溶け出して、血圧調整や神経の高ぶりを抑えたり、エネルギーつくり出す助けをします。
長期的に不足すると、骨粗しょう症、心疾患、糖尿病といった生活習慣病のリスクが高まるとされているので、マグネシウムを含む大麦などの穀物を積極的にとり入れるようにしましょう。
大麦の栄養素5:鉄
鉄は体のなかで、赤血球の中のヘモグロビンをつくるのに必要な栄養素です。ヘモグロビンは酸素を体中に運ぶ働きをしているため、鉄が不足すると細胞に酸素が渡らなくなり、動悸、息切れ、疲れやすさなどを伴う貧血を起こしてしまいます。
鉄には、肉、魚、レバーなどの動物性食品に含まれる「ヘム鉄」と、野菜、海藻、大豆などの植物性食品に含まれる「非ヘム鉄」があり、両方を組み合わせたり、ビタミンCをいっしょにとることで吸収率を高めることができます。
大麦はダイエットに効果がある?
大麦は食物繊維をバランスよく含み、腸内環境を整えて老廃物を排出しやすくなることから美容と健康によく、ダイエットにも役立つと考えられています。
また、大麦は、ほかの食材にはあまり含まれない水溶性食物繊維の「β-グルカン」が含まれていて、食後の血糖値の上昇を抑えたり、コレステロールを吸着して排出し、糖尿病や動脈硬化の予防にも役立ちます。
同じ茶碗一杯分で比較すると、大麦は白米より3割ほどカロリーが低く、食物繊維の働きで満腹感が続きやすくなるので、朝食べると一日の食事量を抑えられるとも言われています。
おすすめの大麦の食べ方
大麦を使ったいろいろな料理の中で、おすすめの食べ方をご紹介します。
牛乳と大麦でつくったグラタンや、もち麦をつぶした生地でつくったピザ、粉末にした大麦を加えたブラウニーなどの食べ方があります。大麦をスイーツに使えば、より手軽にたっぷりの食物繊維を摂取することができます。
麦ごはんだけではない、食べ応えがあっておいしい大麦を使った料理をいろいろと工夫してつくってみてはいかがでしょうか。
大麦をおいしく食べよう!
ウイルスなどから体を守り、免疫力を維持するためには、適度な運動・十分な休養・健康的な食事が重要になりますが、そのなかでも腸によい食事をとることは効果的と言われています。
腸は免疫器官としても重要な働きをしています。腸の免疫機能をサポートする乳酸菌などを増やす食物繊維は、大麦に多く含まれています。
大麦をおいしく食卓に取り入れて、健康的な生活に役立てていきましょう。
監修者ミニコラム:麦ごはんはどれくらいの割合が食べやすい?料理や好み別、おすすめ割合をご紹介!
いちばん手軽な大麦のとり入れ方である麦ごはん。雑穀ご飯などを食べ慣れていない人には、まずは1割程度加えるのがおすすめ!
米1合+大麦(押麦や丸粒麦など)大さじ1で、大麦1割の麦ごはんになります。
基本的な水加減は、米の水と別に、大麦の容量×2を加えること。なので、1割麦ごはんの炊飯時の水は、米1合分+大さじ2(30ml)。
<だいたいの目安>
・丼、すし飯と使うのであれば2割 ⇒ 米1合+大麦大さじ2(水1合分+60ml)
・麦とろごはんや慣れている人は3割 ⇒ 米1合+大麦1/2合(水2合分)
・チャーハン、カレーなどは5割 ⇒ 米1合+大麦1合(水3合分)
炊飯後は、米約2.2倍に対し、大麦約2.8倍と、大麦を多く入れるほど炊き上がりが増えますよ!