【管理栄養士監修】「文旦」の主な栄養素とカロリーまとめ!おすすめな調理方法は?
2021/02/10
文旦は、種類によっては柑橘類の中で最大級の大きさを誇る果物です。その果実や皮には、私たちの体に必要な栄養素が多く含まれているそうです。
本記事では、文旦に含まれる栄養素の種類と体にどんな効果があるかを、食べ方のアレンジと共に紹介していきます。ぜひ参考にしてみてください。
文旦の種類
文旦はミカン科ミカン属の柑橘類の果物です。和名を「ザボン」といい「ボンタン」と呼ばれることもあります。果実の大きさは品種によって異なり、通常は1個400g~600gですが、大きいものではkgを超えることもあります。
耐寒性には優れていませんが害虫対策や受粉の必要もほとんどなく、ほかの植物よりも手がかからないので家庭果樹として植えることもできます。
現在、土佐文旦を始めとして晩白柚(ばんぺいゆ)、水晶文旦、安政柑などたくさんの種類が栽培されています。
文旦のカロリーと栄養素
ミカンの仲間である文旦ですが、カロリーや栄養素はどうなっているのでしょうか。文旦の果実の可食部100gあたりのカロリーは38kcalで、含まれる主な栄養素は無機質、ビタミン類、アミノ酸、脂肪酸、炭水化物、有機酸などとされています。
無機質の中では、とくにカリウムとカルシウムが多く含まれ、ビタミン類の中では、ビタミンC、β-カロテン、葉酸の数値が高くなっています。
文旦の栄養素
・ビタミンC
・カリウム
・β−カロテン
・葉酸
・カルシウム
文旦の栄養素1:ビタミンC
ビタミンCは、皮膚や軟骨を構成するコラーゲンというたんぱく質の生成に欠かせず、健康な肌を維持するために必要な栄養素です。また、抗酸化作用もあり、活性酸素の害を抑えて、老化や生活習慣病などの予防にも効果が期待できます。
ビタミンCは水溶性なので体内から失われやすく、こまめに摂取するようにしましょう。熱に弱いことから、生のまま食べることをおすすめします。
文旦の栄養素2:カリウム
カリウムは細胞の状態や血圧を調節しながら、常に一定した良い体の状態を維持する役割のある栄養素です。
ナトリウムの体外への排出を促進することから、高血圧を防いだり、むくみを解消する働きもあります。また、カルシウムを骨に蓄積する効果を高めてくれるため、骨粗しょう症の予防効果も期待できます。
WHO(世界保健機構)からは、成人の血圧と心血管疾患、脳卒中、冠動脈性心疾患などの生活習慣病のリスクを減らすために、カリウムの摂取量を増やすことが強く推奨されています。
文旦の栄養素3:β−カロテン
β-カロテンは抗酸化作用があり、活性酸素から細胞を守ることで、免疫を増強したり、がんの予防効果が期待されています。また、体内では必要に応じてビタミンAに変換されることで、肌の健康を維持して、美肌効果も期待できると言われています。
β-カロテンは脂溶性なので、油と一緒にとることで吸収率を高めることができます。
文旦の栄養素4:葉酸
葉酸は、タンパク質や細胞をつくるのに必要な核酸を合成する栄養素です。また、ビタミンB12と共に血液を作る造血作用があり、赤血球の細胞形成を助ける役割もあります。
妊娠を望んでいたり妊娠中の人が葉酸を摂取すべきと言われる理由は、葉酸が細胞分裂が活発な胎児の発育を助ける効果があるためで、授乳中も含めて必要量が増加します。なお、脳卒中や心筋梗塞などの循環器疾患を防ぐ効果も期待できるため、男性も積極的に摂取するようにしましょう。
文旦の栄養素5:カルシウム
カルシウムは、主に骨や歯を構成していて、筋肉の収縮や神経興奮の抑制、血液凝固にも関わるなど、健康な体づくりには欠かせない栄養素です。カルシウムを上手に摂取すると、骨粗しょう症の予防や、精神を安定させるなどの効能が期待できます。
とくに発育期の子ども、妊婦、高齢者は、カルシウム不足により骨の発育障害や成長不良などを引き起こす可能性もあるので、積極的に摂取するようにしましょう。
文旦はダイエットに効果がある?
文旦は、ダイエットに効果的とされる成分が含まれています。
文旦の外皮や薄皮に含まれる「ナリンギン」という苦味のもととなるポリフェノールには食欲を抑える効果、香り成分の「ヌートカトン」という成分には脂肪蓄積を抑える効果があることがわかっています。ほかにも、「シネフィリン」というそれらと同じような作用を持つ成分も含まれています。
ただし、効果を期待して食べすぎると、糖分のとりすぎにつながるので注意しましょう。
おすすめの文旦の食べ方
文旦はそのまま剥いて食べるのはもちろん、サラダの具やドレッシングとして使ったり、マーマレードなどにアレンジできます。
サラダに加えると特有の爽やかな香りやほろ苦さが野菜のおいしさを引き立ててくれます。また、マーマレードや砂糖漬けにすると皮ごと食べることもできます。
苦味成分であるナリンギン、香り成分のヌートカトンなどなど、先述した通り食欲抑止や脂肪燃焼に役立つ有効成分ですから、ぜひ取り入れてみましょう。
文旦をおいしく食べよう!
文旦はミカン類の中でも大きい種類で、古くから人々に親しまれてきました。栄養価も高く、ビタミンCや葉酸、カリウム、β−カロテン、カルシウムなど健康維持に重要な栄養素も含まれています。
味はすっきりと甘く、爽やかな香りが特徴ですので、サラダやマーマレードなどとして食後のデザートやおやつに取り入れてみてはいかがでしょうか。
監修者ミニコラム:文旦はすぐに食べちゃダメ?文旦の効果を効率よく取り入れる方法とは?
文旦は、皮が分厚く日持ちのよい果物であることから、1カ月ほど保存ができることも。
すぐに食べてもいいのですが、香りの効果を取りたい人は、室内に置いておくことも有効!(※20℃以下)へたを押すと凹み跡が残るほどになると、だんだん傷んでくるサインですが、それまでは皮から爽やかな香りが漂ってくるので、芳香剤のように楽しむことができますよ。
厚くて硬い皮は、専用の皮むきカッターを使うか、上下を2cmずつくらい水平に切り落としてスプーンを皮と実の間に差し込んで回すと剥きやすくなります。
皮を調理するのであればむだにはなりませんが、使わないのであればすぐに捨てず、しばらく香りを楽しむために置いておくようにしてみては?