「やりすぎSDGs妻」で夫が不幸に!?サステナブル夫婦になりそこねるので要注意
2021/09/29
「貧困をなくそう」「不平等をなくそう」「地球温暖化など気候変動への具体的な対策をしよう」など、持続可能(サステナブル)な社会を実現するため、国連が定めた17の目標「SDGs(エスディージーズ)」。
昨今ニュースでも耳にする機会が増え、日々の暮らしのなかでSDGsを意識する人も増えてきていると思われます。しかし、なにごとも「やりすぎ」はトラブルのもと。
恋人・夫婦仲相談所の所長である三松真由美さんに、夫を不幸にする「やりすぎSDGs妻」の実態について解説してもらいました。
- 誰もがうらやむようなステキな妻が、じわじわと夫を不幸にする!?
- 「エシカルじゃない」という理由で夫のものを勝手に返品する妻
- 親族まで巻き込む「ヴィーガン妻」
- SDGsも大事だけど、夫とのサステナブルな関係性も忘れないで
誰もがうらやむようなステキな妻が、じわじわと夫を不幸にする!?
環境やリサイクル活動などに熱心で、家族の健康にも関心が高い。昨今注目を集めるSDGsに関する話題も頻繁に口にし、見た目も生活スタイルにもインテリジェンスが漂う……そんな、誰もがうらやむようなステキな妻が、なぜかじわじわと夫を不幸にすることがあるのです。それが「やりすぎSDGs妻」。
「え!?でも、意識が低いより、高いほうがいいんじゃないの?」と思うあなたは要注意!いまからご紹介するような、夫側の悲痛な叫びにも耳を傾けてみてください。
「エシカルじゃない」という理由で夫のものを勝手に返品する妻
健太さん(35歳・仮名)の妻は典型的な意識高い系妻で、最近の口癖は「エシカル」。とくに環境汚染に対しては厳しい基準を持っており、健太さんがコンビニで割り箸をもらってきただけで「地球のことを考えようよ」と注意してくるそうです。
「妻がダメだしをしてくるのは割り箸だけじゃありません。Tシャツ1枚を買うのでも、環境などに配慮していないと機嫌が悪いんです」
いわく……
オーガニックコットンを使った製品でないとダメ
児童労働をさせているような工場を使っているところはダメ
フェアトレードで取引された商品でないとダメ
……などなど。とにかくこだわりがスゴい。もちろん、意識が高いのは悪いことではありませんが、一方で夫もひとりの人間であり、自分の考えがあります。健太さんの場合は価格重視で、好きなデザインならOKと考える人。
しかし、そのような価値観は妻からすれば「世界のことに無関心な証拠」にすぎません。また、ふだんの会話でも健太さんの発言に気に入らないところがあると、妻は真顔で眉をひそめて言うそうです。
「あなたみたいな人が多いから、地球が温暖化して北極の氷が溶けたり、野生動物が絶滅の危機に瀕したり……」と、まるで地球の諸悪の根源が健太さんであるかのように責めてきます。
さらに悲惨なことに、健太さんが購入した「エシカルでない製品」は、知らないうちに妻の手で返品されてしまうことも。
「とくに問題がない商品を、難癖つけてわざわざ返品するなんて、CO2を増やす行為じゃないですか。全然エコじゃないですよね」とイヤミを交えながら憤ります。
しかし「妻に口では勝てないし、主張は正しいと自分も思う」という健太さん。そのため、欲しい商品があるときは、まずは必ずメーカーサイトなどを細かくチェックして、エシカルであることが確認できない場合は、夫婦が揉める元なので、泣く泣く購入を諦めることもあるのだとか。
健太さんが、よろこんで地球のために動いているというわけではなく、渋々従っているという構図です。これが長い年月続くと、健太さんのストレスの蓄積で、夫婦関係にヒビができる可能性があります。
親族まで巻き込む「ヴィーガン妻」
続いて紹介するのは、明紀さん(45歳・仮名)のケース。彼の妻も意識高い系で、いまは「ヴィーガン」に夢中で、卵や乳製品を含む、動物性食品をいっさい口にしなくなってから10カ月が経過しています。
「焼肉が大好きだったんで、はっきり言って辛い。我慢しきれなくて、ときどき僕1人で食べに行くんですが、髪と服に匂いがつくので、すぐに妻にバレるんです。そうすると、『一人で焼肉屋に行ったでしょ』とマジ切れですよ。でも僕はめげない。行きますよ。焼き肉がない人生なんて考えられませんから!」と、熱っぽく肉への愛を語る明紀さん。しかし困っているのは、食事制限だけでないようです。
意識高い系の人たちはSNSで、自身の行動を積極的に発信しがち。明紀さんの妻も、インスタに嬉々としてヴィーガン系の食事の様子をアップして、自分の理想どおりの生活をどんどん周囲にアピールします。そして「いいね」がつくと、妻はさらにヒートアップ。ついに明紀さんの実家や親戚にも、ヴィーガニズムをすすめ始めてしまいました。
ヴィーガンであることはあくまで個人の自由ですし、相手の考えを尊重しつつ「おすすめ」することもいいです。しかし、それが押し付けになると話が違ってきます。
「動物の命も人間の命と同様に尊い」と言いながらテレビの動物番組、ネイチャー番組を家族に推しまくる。彼女流の解釈も交えたかなり過激な主張で、明紀さんの親戚からは総スカン。それでもめげない彼女は「あなたの親戚と私の倫理的レベルが違う」と自信満々で、まったく反省しません。
「独善的な振る舞いにうちの親父はかなり気分を害したようで『あんな嫁はもうこっちに来させるな』とカンカン。あいだに立った僕は一番の被害者です。そんなに生き物を殺したくないなら、キッチンのコバエも殺すなって感じですよ」
SDGsも大事だけど、夫とのサステナブルな関係性も忘れないで
夫を苦しめる「やりすぎSDGs妻」の事例をご紹介しました。
環境のこと、子どもたちの未来のことなどについて問題意識を持って暮らすことはもちろん素晴らしいことですが、それがやりすぎ、かつ押しつけになってしまうと、少なくとも夫婦関係においてはプラスになりません。
またこの問題では、妻が発するのは正当な理論なので、反発すると「知識がない」とこきおろされるので喧嘩になりません。
もし今、これをお読みになっているかたの中に「私、地球の未来のためにできることを1つずつやっているけど……」という人がいらっしゃったら、ちょっと立ち止まってみてください。
世界のことを考えるのはすばらしいことですが、まずは夫の理解・協力を得るのがファーストステップ。いやいや従っているとしたら、サステナブルな夫婦の道をはずれてしまいます。まずは夫とのサステナブルな関係性を意識してみてはいかがでしょうか。
◆監修・執筆/三松 真由美
会員数1万3,000名を超えるコミュニティサイト「恋人・夫婦仲相談所」所長として、テレビ、ラジオ、新聞、Webなど多数のメディアに出演、執筆。夫婦仲の改善方法や、セックスレス問題などに関する情報を発信している。『堂々再婚』『モンスターワイフ』など著書多数。