「ありがとう」と言われる子に育てるのがいい理由
2022/06/05
「ありがとうと“言える”子になって欲しい」、そう思ってわが子と接しますよね。もちろん大事なことです。そして「ありがとうと“言われる”子に育てよう」と、十分に考えられていますか。
子育て・心理分野を得意とするチャイルドコーチングアドバイザーの山名美穂さんに、「ありがとう」の心がけについて教えてもらいました。
「ありがとう」と“言える”だけじゃなく、“言われる”人に
「ほら、ありがとうは?」「ちゃんと、ありがとうって言った?」、子育てをしている方なら、一度は口にしたことがあると思います。
人に感謝できる子になって欲しい。きっと共通の想いですね。
そして、それと同じくらい「ありがとうと“言われる”人」になれるよう、働きかけてくのも大切なんです。
なぜでしょうか。
「自分は感謝されるにふさわしい人間」、子どものセルフイメージを育てる
目的は「子どものセルフイメージ(自己認識)を育てる」ことにあります。
「自分は、ありがとうと“言われる”人なんだ」。その自己認識は、「人から感謝されるに、ふさわしいふるまいをする」という価値観を作っていきます。
「感謝されるに、ふさわしい人間」が行うこと。なんでしょうか。
例えば、人に親切にしたり優しく接したり。それらが「好ましい行い」であることは、ご存じの通りです。
子どもの行いは再び「ありがとう」ということばで、人から子ども自身に還元されます。
そしてまた、「自分はありがとうと言われる価値のある人間だ」とセルフイメージが強く作られていく。自己肯定感の形成と、周囲にもいい影響を起こす行動のサイクルができるわけです。
親から「ありがとう」のシャワーを
既にお察しかと思います。ありがとうと“言われる”人になるには、親や保護者から感謝のことばを、たくさんもらうのが近道です。
子どもに感謝を伝えるのは、親や「大人にとっての良い行い」をしたときだけではなくていいです。
・机を片づけてくれる?ありがとう
・テレビを消してくれる?ありがとう
・お茶碗はちゃんと持とうか。ありがとう
依頼・注意や指示のことばでも、子どもが動きを見せたら即座に「ありがとう」です。
子どもの反応を待たず、言ってしまうくらいでかまいません。
「ありがとう」は自分に還元される
子どもに向けた感謝のことばが、遠からずお母さんご自身に戻ってくることも、ご理解の通りです。
ありがとうと“言われる”子は、自分から人に感謝を伝えられる人でもあるはず。子どもも自然と「ありがとう」をたくさん言うようになります。もちろん親であるわたし達も、対象です。
そして子どもから感謝されるお母さんのセルフイメージも上がる。もっと「ありがとう」が言える親になる。それを受けた子どもがまた……。
家庭に「ありがとう」のループが起こります。これは、誰にとっても悪いことではありませんよね。
よく使うことばを違うものに置き換えたり、今まであまり使わなかったことばを増やしたり。変化を起こして定着させるのには、少し努力が要ります。
忙しい毎日で「正直、そこまで気が回らない」と思われるお母さんもおられるでしょう。お気持ちはす、ごく分かります。
そして、1回「ありがとう」と言うのに必要なのは、2~3秒。「3秒だけ」、そう思うと少し、感謝の表明に時間を投資してもいいと感じられませんか。そう難しいことだとは、思われないはずです。
今日、1回だけでもかまいません。「今日も、ありがとうね」とお子さんに声をかけてあげてください。
もちろん何度でも、いくらでも伝えてOKです。ご自分のペースで「ありがとう」のサイクルを作り、家族みんなで「感謝される人」になりましょう。
■執筆/山名美穂…子育て・心理分野を得意とするチャイルドコーチングアドバイザー、LABプロファイル(R)プラクティショナー。子育てを楽にするメソッドを発信している。
編集/サンキュ!編集部
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