公園でヨガのポーズをとる

最近よく耳にする「フェムテック」。ふつうの主婦にも関係あることなの?

2022/06/27

「フェムテック」という言葉、最近よく耳にしませんか?女性のカラダに関すること、となんとなくわかっているものの、詳しくは理解できていないという人も多いのでは。

そこで今回は、恋人・夫婦仲相談所の所長で、フェムテックに関する活動をしている三松真由美さんに「フェムテックとは?」を解説してもらいました。

会員数1万3,000名を超えるコミュニティサイト「恋人・夫婦仲相談所」所長として、テレビ、ラジオ、新聞、We...

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女性ホルモンに振り回される私たち

SDGs、ジェンダー平等といった言葉を目にすることが増えました。内閣府も「男性と女性は身体のつくりは違っていても平等です」と謳い、性別に関わりなく個性と能力を発揮できる社会づくりを進めています。

まさに理想の環境です……が、ちょっと待て!「身体のつくりは違っていても」とあるように女性特有の不調や悩みは確実にあります。そこを顧みないことには、理想の環境にはほど遠いでしょう。

なかでも、女性ホルモンが大いに関係する下半身不調には多くの人が振り回されています。

生理痛、生理不順、月経困難症、月経過多、PMS(月経前症候群)、子宮内膜症、更年期症状、骨粗鬆症、骨盤底筋の緩み、尿もれ、そして筆者の研究テーマ“セックスレス”の原因となる性交疼痛、FSD(女性性機能障害)、GSM(閉経関連尿路生殖器症候群)他。

これらにともなう、イライラ、気分の落ち込み、顔のほてり、頭痛や腰痛、おなかの鈍痛、経血漏れまで入れ込むと、閉経前の女性は月に10日間しか100%のパフォーマンスを発揮できる快適期間がないとも言われます。

女性特有の不調、周りの理解は?

これら女性特有の悩みとの向き合いかたを難しくしているのが「夫にも恥ずかしくて言えない」「男性の上司にはこの痛みは理解できない」といった点。

そこでまずは、女性ホルモンによる特有の不調で一番わかりやすい生理について考えてみます。20~40代の女性たちに生理で辛いときどうしているか、職場はやさしいかを尋ねてみました。

■外資系企業勤務 32歳
生理休暇は制度としてあっても使ってる人見たことないですし。私も使っていないです。辛くても有給で対応してる人が多い気がします。ただ、私の職場は外資系なこともあってSick leaveとかMedical leaveを有給と別に設定しているので、そちらで消化してるかたはいるようです。

■ベンチャー企業勤務 36歳
産休はもう嫌味を言われることはない時代です。育休を取る男性もいますし。たまに産休→育休→数ヶ月復帰を何回か繰り返すような方だと、同じ部署の女性からの視線のほうが恐いですね……。生理休暇は使ってる人を見たことないです。もしかしたら、内々には使ってる(直属の上司にはそのように伝えてる)可能性もありますが、公にはまだまだ言いづらい雰囲気です。

■大手広告会社勤務 29歳
うちは生理休暇、時短勤務とても取りやすい環境です。以前までは男女関係なく激務の体育会系でしたが、現在はものすごくクリーン&ヘルシー。社員の8割近くは在宅なので、より一層取りやすくなりましたね。会社全体の比率としては男性社員が多く、とくにマネジメントクラスは男性が多いのですが、ハラスメント研修なども頻繁に行われているので、理解のある人がほとんどです。

■保険会社勤務 28歳
女性が圧倒的に少なくて、生理休暇なるものはありません。ただ、ミーティングがある日以外は自分次第でスケジュールを組めるので、生理があまりに辛い場合は、その日予定を組みすぎないようにあらかじめ調整することはできます。私はピルで生理日コントロールをします。痛みがひどいと予測される日あたりは予定を詰めすぎないようします。

■大手通販会社勤務 40歳
私の課は全員が女性。上司も歴代女性で、とても理解があるほうだと思います。生理休暇はとくに問題なく取れる環境であることは皆一致。ちょうど妊娠中の女性がいますが、彼女のフォロー体制は当然としてやっています。だから、そういった話題自体が職場であがることはなく、当たり前のものとして受け入れているので、ある意味で意識は低いのかもしれません。

■大手出版社勤務 43歳
生理休暇は昔はあったみたいですが、いまは……ないのかな。社員がわかっていないってことが時代的にアウトかもしれませんね。産休育休は取りやすい会社だと思います。

フェムテックとはこういうことだ!

女性と医療技術の概念。フェムテック。メドテック。
metamorworks/gettyimages

数名お話を聞いただけでも、職場によって女性特有の悩みに関する雰囲気はまったく違うということがわかりました。世の中的に生理休暇、産休、時短勤務をとっても嫌味を言われたり、昇進が妨げられたりすることが減少したとは言え、「どんなに辛いか」をもっともっと理解してよというのが本音でしょう。

そんな女性特有のトラブル、不調を予防軽減するための取り組みが“フェムテック”という言葉になって日本に上陸してきたわけです。女性が抱える健康課題をテクノロジーで改善予防する商品やサービスのことです。具体的に挙げてみましょう。

吸水型の月経ショーツや、月経カップなど身につけるアイテムによって不快な時期をスッキリ過ごそうというのもフェムテック。

昨今増えてきたフェムゾーン専用コスメやソープは「フェムケア」と呼ばれ、とてもおしゃれなイメージになってきました。妊活のためのアプリや、ピルのオンライン処方など、まさにテクノロジー特化サービスもあります。

筆者は常々「セックスレスの予防に向けてセルフプレジャー推進運動」をしていたのでプレジャーグッズの躍進には目を見張ります。プレジャーグッズもフェムテックの一貫なのです。血流をよくし、脳内伝達物質の分泌をうながし、腟の健康保持になります。

CRAVEというサンフランシスコのトイブランドは、もはやファッションの域に達しています。ネックレスのように首にかけるジュエリートイ。プレジャーグッズは隠しておくものという概念を崩してくれました。拍手喝采物のフェムテック製品です。

セックスレス期間が長くなると膣壁が萎縮して、「いざ」のときに痛くて完結できない可能性もあります。それを予防改善するために病院ではダイレーター治療をするのですが、なんと!プレジャートイズにもダイレーターが登場しています。

ダイレーターという呼び名はなくともラブコスメの「めしべ」は、バージンバイブとも呼ばれ、レス歴2年以上の萎縮腟のかたの自己訓練ができるすぐれものです、筆者は「めしべ」を女性誌で推薦し、めしべアンバサダーと呼ばれています。ベッドでする自己訓練に抵抗があるかたには、お風呂に1個置いておき、フェムケアするときについでに使ってと防水irohaminiをおすすめしています。

広い範囲で定義づけられるフェムテック

じつは筆者もフェムテックサービスを行っています。

女性側からのセックスレスの原因に「痛い、乾燥する、ゆるい」という腟問題があります。その原因は産後の骨盤底筋の緩みと考えられており、放置すると尿もれにつながることも。

そこで、骨盤周り、腟をダイレクトに鍛える医師監修ダンスを開発しました。“FemDan(フェムダン)”です。

ダンスなので楽しく継続できますし、ダンスで脳内エンドルフィンが出ると医学論文で証明されているので、気分が上がりストレス発散にもなります。脳に良し、腟によし。すなわち夫婦ラブラブ化に一役買うフェムテックの運動なのです。

フェムテックと言っても、このように広い範囲で定義付けることができるのです。私の長年のテーマは「セックスレスで悩む、傷つく女性がいない社会作り」「女性の性の自立促進」「夫婦円満でハッピーな毎日サポート」です。SDGs、フェムテック社会の到来は筆者の活動の追い風となりました。



◆監修・執筆/三松 真由美
会員数1万3,000名を超えるコミュニティサイト「恋人・夫婦仲相談所」所長として、テレビ、ラジオ、新聞、Webなど多数のメディアに出演、執筆。夫婦仲の改善方法や、セックスレス問題などに関する情報を発信している。『堂々再婚』『モンスターワイフ』など著書多数。

三松真由美さん最新刊「夫とだけ、感じません」発売中

出典:Amazon

 
 

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