一番雪が降るのは何月?暖冬の年こそ太平洋側でも備えるべき理由を気象予報士が解説!
2024/01/04
真冬と呼ばれる季節を迎え、市街地でも雪が降りやすい時期に入りました。
雪による事故やケガに気をつけたい時期ですが、もっとも注意が必要なのはいつなのでしょうか。
また、地域によって注意点は異なるのでしょうか?
今回は、気象予報士・防災士・野菜ソムリエとして活躍する植松愛実さんに、一番雪が降る季節とその備えについて教えてもらいます。
一番雪が降るのは?
冬に特に雪が多くなる日本海側の地域において、もっともたくさんの雪が降るのは例年1月です。
北日本から西日本までさほど地域差はなく、北海道でも山陰でも1月にピークを迎えるところがほとんど。これは、日本海側に雪をもたらす「冬型の気圧配置」になる日が1月に多くなり、また気温も下がって一度に降る雪の量も増えるためです。
一方、東京や名古屋などの太平洋側では、1月と2月とで雪の降りやすさがあまり変わらない地域が多い上に、場所によっては3月ごろまで続くところも。
太平洋側でおもに雪の原因となる「南岸低気圧」は年によって襲来するタイミングがバラけるため、日本海側と違ってピークがはっきりせず、要注意な時期がダラダラ続いてしまうのです。
降る雪が減っても被害はすぐ減らない!
日本海側では例年、雪の降る回数・量ともにもっとも多くなる1月に向かって、事故やケガなど雪による被害の件数はどんどん増えていきます。
では、ピークの1月を過ぎれば一気に被害も減っていくかというと…、そうではありません。
というのも、雪はすぐに溶けてなくなるわけではないからです。たいていの地域では、一度降った雪は一部が溶けて一部が残り、その残った雪の上にまた次の雪が降って…という具合に積雪が増えていきます。
そのため、積雪路面でのスリップ事故や落雪による事故は2月以降もよく起きていますし、雪崩による被害に関してはむしろ1月よりも2月に多く発生しています。
暖冬シーズンこそ注意!?
今季は暖冬と予測されていた通り平年よりも気温が高い状態ですが、暖冬の年こそ注意したいのが、太平洋側に雪をもたらす南岸低気圧です。
南岸低気圧というのは、台湾や沖縄付近で発生して北東方向へ進み、本州の「南の岸」に沿うようにして北上するタイプの低気圧のことで、名古屋や東京といった太平洋側の市街地に雪を降らせることがあります。
この南岸低気圧、もし日本に流れ込む寒気が非常に強いとなかなか本州に近づけずに離れていくこともあるのですが、暖冬で寒気の流れ込みが弱いと容易に近づけてしまいます。
もちろん近づいたところで雪になるとは限らず雨が降るだけ…という場合もあるのですが、雨になるか雪になるかは非常に予想が難しいため、いつもの冬よりこまめに情報を確認する必要があります。
地域ごと・時期ごとに起きやすい雪害に備えよう
ここまで、地域ごとに雪がもっとも降りやすい時期と、雪による災害が起きやすい時期について見てきました。
日本海側では1月に降雪のピークを迎え、交通事故や雪おろし中のケガのリスクが高まるだけでなく、ピークを過ぎた2月以降も落雪や雪崩に注意すべき期間が続きます。
一方の太平洋側は、頻繁に雪が降るわけではないけれども、とにかく情報収集が重要。
おおむね3月ごろまでは平地でも南岸低気圧による雪のおそれがあるため、天気予報をこまめにチェックするだけでなく、「雪で電車が止まったらどうする?」「万が一雪で停電したらどうする?」などとあらかじめ家族で話し合っておきましょう。
参考データ
■執筆/植松愛実さん
気象予報士と出張料理人の両面で活動中。気象・防災に関するヒントのほか、野菜ソムリエ・食育インストラクターとしておいしい食材のおいしい食べ方を発信中。インスタグラムは@megumi_kitchen_and_atelier。
編集/サンキュ!編集部