雪が降っていなくても吹雪でホワイトアウト!?見落としがちな冬の防災ポイントを気象予報士が解説
2024/01/05
日本海側を中心に雪が降るのが当たり前の季節になり、ふだん雪の降らない地域に住む人でもスキーなどのレジャーに向かうときや帰省時には注意が必要な時期になってきました。
雪が降る地域で移動するときに気をつけたいことのひとつが、「吹雪」によるホワイトアウト。
でも、ホワイトアウトって「雪がたくさん降っているときに起きる」と思っていませんか?
今回は、気象予報士・防災士・野菜ソムリエとして活躍する植松愛実さんに、晴天時でもホワイトアウトに注意が必要なワケを解説してもらいます!
「吹雪」とは
「吹雪」とは何か?と聞かれたら、多くの人は「降る雪が強い風に飛ばされている状態」を思い浮かべると思います。
もちろんそれも正しいのですが、気象庁が定義する「吹雪」は、雪が降っているときだけに起きるものではありません。
じつは、積もった雪が風で吹き上げられている状態も含まれるのです。
「地吹雪(じふぶき)」とも呼ばれる現象で、雪が降りながら起きるタイプの「吹雪」と見た目はほとんど変わりません。
そのため気象庁では雪が降っていてもいなくても、区別せず「吹雪」として扱います。
晴れていてもホワイトアウト!?
雪が降っていなくても「吹雪」が起きるということは、つまり完全に雪がやんで晴れている状態でも、風さえ強ければ「吹雪」によるホワイトアウトのおそれがあるということになります。
実際、2021年には宮城県内の高速道路で晴天下のホワイトアウトが発生し、追突などの多重事故が起きて130台以上の車が立ち往生してしまった事例も。
気象庁のデータによると、立ち往生が発生した付近の積雪は朝の段階で11cmあったのが、日中のうちにみるみる減って夕方までには5cmに。
その間ずっと気温は氷点下でしたから、溶けたのではなく風に飛ばされて積雪が半減し、それによって視界が真っ白になったのだと考えられます。
雪道の運転に慣れているはずの東北でも大規模な交通障害に発展してしまったことを考えると、いかに「吹雪」への対策が必要かがよくわかります。
運転中に「吹雪」が発生!そのときどうする?
車を運転している間に「吹雪」が発生し視界が悪くなってしまったときは、ハザードランプをつけてできるだけ安全に路肩に停車しましょう。
ただ、高速道路など路肩に停められない場合は、ハザードランプをつけた状態で速度を落として進むしかありません。
いずれにしても運転中に突然視界を失うというのは非常に危険な状態なので、「吹雪」が予想されているときは運転を控えるのがベストです。
未来の警報までわかる!移動する前に情報入手を
気象庁が出す注意報・警報には、単純に雪の量が多くなるときに出る「大雪注意報」「大雪警報」とは別に、「吹雪」で見とおしが悪くなることを示す「風雪注意報」と「暴風雪警報」があります。
冬に県境を越えて移動する場合は、行き先や通過する予定の地域の警報・注意報をしっかり調べておきましょう。
また、警報は発表されている最中だけでなく、これから発表されそうなときも要警戒です。
「これから発表されそう」かどうかなんてわかるの?と思われるかもしれませんが、じつは気象庁のHPでは、現在実際に出ている警報だけでなく、これから出そうな警報についても表示されるようになっています(気象庁HPの「警報・注意報」ページで「予想」のボタンをクリック)。
長時間の移動をする前などは、ぜひ確認してください。
■執筆/植松愛実さん
気象予報士と出張料理人の両面で活動中。気象・防災に関するヒントのほか、野菜ソムリエ・食育インストラクターとしておいしい食材のおいしい食べ方を発信中。インスタグラムは@megumi_kitchen_and_atelier。
編集/サンキュ!編集部