《ひでこの部屋 ゲスト:竹田純さん&クリスさん》「男性同士で結婚しました」いつかこれが、普通になってほしい
2023/09/21
今月のお客様は、パリから発信するエクササイズ「床バレエ」で話題沸騰の竹田 純さんと、パートナーのクリスさん。2人は今年3月、同性婚が法律で認められているフランスで結婚した新婚さんです。公私ともに新たな道を拓く2人とひでこ先生の断捨離(R)ト――――ク!
「床バレエって何?(笑)」とかいろいろ言われたけれど……
ひでこ:純さんが考えた「床バレエ」の動画がインスタグラムで1億回以上も再生されているそうね。床バレエの発信に至った物語を聞きたいわ。
純:18歳でプロのバレエダンサーになり、20歳で欧州に渡ってキャリアを積みました。その後27歳で帰国して。
ひでこ:まだこれからという年齢ね。
純:はい。日本のバレエ団に入るにしても、バレエだけで生活できるダンサーはひと握り。多くの人は飲食業など別の仕事もしています。私は「バレエと無縁の仕事をするのは違うな」と感じて、バレエ理論を応用した「バーオソルダイエット」というメソッドを作りました。でもこれは、バレエ未経験の方には少し難しかったという反省があって。優雅な動きで誰でも真似できてエクササイズ効果もあるという、おいしいところ全部盛りの「床バレエ」を5年かけて考案しました。
ひでこ:バレエの経験を活かしながら、純さん独自の方角に舵を切った、と。
純:「何それ?」って笑われたり、「こんなものはバレエではない」と批判されたりもしましたが、華麗にスルー(笑)。
ひでこ:後ろ向きな声は頭から断捨離して、前に進んだのね。
渡仏して3カ月後にまさかのダブル失業
ひでこ:今日はパートナーのクリスさんもおいでくださいました。出会いは?
クリス:7年前に友人の誕生日パーティーで出会い、意気投合して付き合い始めました。
純:そのときクリスはインテリアデザイナーとして東京で働いていたのですが、4年前にフランスに転勤になって、2人で渡仏しました。
クリス:でも3カ月後、会社の業績が悪化して、僕たちデザイナーが全員クビに!
純:当時、私も無職で、どうしようと。
ひでこ:まぁ……2人して社会から強制断捨離されちゃったのね。
純:その直後に新型コロナのパンデミックで職探しもできず、クリスはフリーランスに。「僕が頑張らなきゃ!」と奮起して、「床バレエ」をSNSで徹底的に発信しようと決めました。バレエの経験だけでは通用しないので、ウェブマーケティングをゼロから猛勉強。自分がモデルになって床バレエのレッ
スンをスマホで撮影。動画編集からサムネ制作、投稿に配信、さらにコメント返しまで全て1人で始めました。必死の努力の甲斐あって、今はインスタグラムのフォロワーは21・7万人(23年7月現在)。今年の4月には「床バレエ」の本を出し、発売後すぐ重版!フォロワーの皆さんのおかげでブレイクできました(笑)。
ひでこ:独自の道で大輪の花を咲かせたのね。お見事!
日本のおうちの物の多さが残念
ひでこ:今、クリスさんは京都の町家再生を手がけていらっしゃるのね。日本の伝統建築は、お茶室に野の花が一輪だけ飾るなど、削ぎ落して際立たせる、断捨離的な空間づくりが特徴よね。
クリス:そんな日本の文化が大好きです。でも今の人たちは、物を次々に買って大切にしない。感謝しないからまた買って、物が溜まり「ゴーストルーム」になっていく。夜道を歩くと、窓の奥に大量の物があふれた部屋の様子が見えて、「残念だな……」と。
ひでこ:今すぐ断捨離しに行きたくなるわ(笑)。物があふれた部屋を断捨離では「魔窟」と呼ぶのよ。
クリス:僕のおばあちゃんは「私はお金持ちではない。だから良い物しか買わないわ」とよく言っていました。僕もたまにしか物を買いません。買い物するときはすごくリサーチして、高くても好きな物をお金を貯めて買います。
男性同士の結婚をSNSで報告したら……
ひでこ:お2人は今春ご結婚されて。タキシード姿で手をつなぐ姿をインスタグラムで堂々と発信されて、あっぱれでした。
クリス:結婚を報告したときは、メンタル的な断捨離をしました。
純:私たちから離れていく人がいるかもしれないけど、それは仕方ないと。それでも私たちの生き方を貫きたかったのです。
ひでこ:発信への反応は?
純:数千人のフォロワーが離れてしまった一方、多くの方が祝福してくださいました。ただ、父には認めてもらえず、「神に背いている」と言われました。
ひでこ:……残念ね。でも私は、自分の命を輝かせる選択を何より大切にすべきと思う。
純:そのお言葉、勇気が出ます。私たちのように同性が好きということが、いつか普通になったらいいね、とクリスとよく話しているんですよ。
ひでこ:お2人が幸せな姿を発信し続けることで、常識が少しずつ変わっていきそう。恋愛の形、結婚の形……「当たり前」の断捨離を、決して戦わず、麗しく発信する純さんとクリスさんに幸あれ!
恋愛に結婚……どこまでも麗しい、「当たり前」の断捨離ね。――ひでこ
「男性同士で結婚しました」いつかこれが、普通になってほしい。――純&クリス
<教えてくれた人>
・やましたひでこさん
断捨離(R)提唱者。1954年、東京生まれ。子育てや介護を経験した後、ヨガの行法哲学「断行・捨行・離行」から着想を得た「断捨離」理論を構築。BS朝日『ウチ、“断捨離”しました!』(毎週火曜日夜9時)にレギュラー出演中。
・竹田純さん
バレエダンサー。1982年、静岡県静岡市出身。17歳でクラシックバレエを始め、東京バレエ団を経て欧州4カ国の国立バレエ団で活躍。2018年に床バレエ協会を設立。最新刊に『マネしたらやせた! 30秒だけ床バレエ』(講談社)。
・クリスさん
インテリアデザイナー。1988年、リトアニア出身。大学院時代にEU建築コンペティションで1位を獲得し、日本企業にスカウトされ来日。現在はフリーのインテリアデザイナーとしてパリと東京を中心に活躍。
参照:『サンキュ!』2023年10月号「断捨離(R)トーク ひでこの部屋」より。掲載している情報は2023年8月現在のものです。撮影/木村文平 ヘア・メイク/ Hachi 取材・文/神坐陽子 編集/サンキュ!編集部