このワークシートで子どもの進路とお金が整理できる!「親子会議」ワークシート
2022/09/13
「教育費は親の問題」ではありません。進路が気になったら子どもと高校卒業後の進路やお金について話し合うことで、それぞれの家庭にとって現実的なマネープランを立てられます。専門家が進路とお金のこれからについてアドバイス!
<教えてくれた人>
進研アド 進路支援部 島岡芽依さん
全国の高校に配る進路情報誌「マナビジョンブック」シリーズを企画・編集し、「大学発見ナビ」などを制作。家計状況を察し希望の進路を言えない子どもを救う目的でできた、このワークシートの作成も担当。
マナビジョンブックのシートをダウンロードできるよ!
マナビジョンブックがオリジナルで作成したワークシートと、タイプ別(国公立大学/私立大学)の記入例のほか、「保護者が知っておきたい入試の知識」の動画も見られます。
出典/「2022マナビジョンブック『保護者版』」より
どんな効果があるの?
1 親子で進路について話し合える
親子で話し合いながら書くのがポイント。親は子どもの希望や意思を確認でき、子どもは家計状況を親と共有できます。
2 進路の希望や迷いを整理できる
書くことで押さえるべきポイントが分かり、考えを整理できます。進路に迷う場合は、進学先ごとにシートを書いてみても。
3 必要なお金を備えられる
どんなタイミングで、どの程度のお金が必要かが分かり、前もって準備したり、足りない場合の対応策を練ったりできます。
STEP1 子どもはどうしたい?
まず子どもに希望進路やその理由を確認し、教育費のプランニングに関わる以下の項目をヒアリング。希望があいまいな場合は一緒に調べたり、話し合ったりして、理想の進路を探りましょう。
POINT 子どもの言うことは絶対に否定しないで、まずは「聞こう」!
子どもの希望や考えを否定しないこと!「ん?」と思っても、まずは子どもの話に耳を傾け、気持ちを理解した上でアドバイスしたり、一緒に調べたりしてみて。
STEP2 かかるお金はいくら?
受験から大学卒業までにかかる費用を調べて、必要な額を書きましょう。志望校によって金額に差がある場合は、金額が高い方で見積もると◎。
POINT 親子で調べたりして、具体的な金額を書こう
具体的な金額が分からない場合は、各大学のサイトを見たり、教育関連の情報サイトや高校で配られる冊子などを確認してみましょう。受験時の各種検定料、入学後の初年度納付金や学費などは、一覧表も参考にしてみて。
POINT 奨学金でまかなえるのは「入学以降」の費用です
奨学金が給付されるのは大学入学後。受験費用や入学金、前期授業料などの支払いには利用できないので、奨学金を当てにせずに準備すること。
STEP3 うちから出せるお金はいくら?
家計から支出できる金額や学資保険など、教育費に充てられるお金を見積もります。教育費のために、貯蓄を切り崩しすぎないことも大切。
POINT 見えを張らない&ウソをつかない。家計の「現状」をしっかり伝えよう
子どもの前だからと見えを張らず、ムリなく支出できる現実的な金額を記入すること。子どもに家計の現状を知ってもらうことも、親子でこのワークシートを記入する意義の一つです。
STEP4 足りない分は、どうする?
足りない金額が分かったら、補うためにどんな手段があるか親子で相談。子どものアルバイトは、学業がおろそかにならない程度に見積もって。
POINT 「足りない」とすぐ諦めず、方法を調べてみるのが大切
費用が足りないからといって、すぐに諦める必要はありません!子どもの進学を支援するために、今はさまざまな奨学金制度が充実。まずは、どんな奨学金があるのか調べてみましょう。
大学進学にかかるお金の例
大学進学にはさまざまなお金が必要です。ここでは、大学受験から卒業までにかかるお金の一例を時期別にご紹介。STEP2を記入する際にも参考にして。
受験にかかるお金
受験料以外に交通費や宿泊費なども想定しよう。
受験料はもちろん、遠方の大学を受ける場合は交通費や宿泊費、食費なども必要に。受験校の数が増えるほどコストがかかってくるので、受験費用を抑えるには受験校の絞り込みがカギになります。
合格から入学までにかかるお金
初年度納付金のほか、新生活の準備費用も必要。
大学の初年度納付金は右表を参照。入試の日程によっては併願校の分も先に支払うケースがあるので注意。また、大学で使う教材などのほか、下宿する場合は住居、生活用品など新生活の準備費用も必要に。
卒業までにかかるお金
学費や生活費のほか、留学や就職活動の費用も。
右表のように進学先によって学費に差が。下宿する場合は、住居費や食費などの生活費も必要です。また、運転免許の取得費用、就職活動の費用のほか、留学を予定している人はその費用の目安もチェック。
卒業までに必要な学費は、学部によって約10倍の差になることも!
POINT 各大学や進路・進学情報サイトでかかる費用の目安を知ろう
志望大学の学費などは、各大学のサイトを確認。また、進路・進学情報サイト「マナビジョン」内の「マナビジョンラボ」でも大学の費用や対策法を紹介。「全国大学生活協同組合連合会」のサイトでは、入学に必要なお金の試算もできます。
奨学金の種類を知っておこう
【奨学金事業団体】
あしなが育英会や新聞社各社による奨学金など、企業や個人、財団、民間団体などによって運営されている奨学金もたくさんあります。それぞれ独自の制度や特徴があるので、幅広く情報収集してみるのがおすすめ。
【各大学の奨学金】
多くの大学が独自の奨学金や特待生制度を設けています。希望する大学の制度内容や基準をまずは確認しましょう。
【地方公共団体】
都道府県や市区町村が独自に設けている奨学金制度。自分が住んでいる地域の制度をチェックしてみて。
【日本学生支援機構】
多くの学生が利用している独立行政法人・日本学生支援機構(JASSO)の奨学金。返さなくていい給付型、利子なしの貸与型、利子ありの貸与型の3つあり、それぞれ家計や学力などの基準を満たすと利用できる。
奨学金と教育ローンの違い
奨学金は子ども、教育ローンは親が借り主となり、支給や返済の仕方にも大きな違いが。奨学金は入学後に支給されるので、入学前に必要なお金については教育ローンでの準備を検討しても。
参照:『サンキュ!』2022年9月号「教育費いくらかかる?丸見え!完全準備ブック」より。掲載している情報は2022年7月現在のものです。構成/竹下美穂子 構成・取材・文/鹿島由紀子 編集/サンキュ!編集部