一人親家庭の生活をサポートする「児童扶養手当」。いつまで、いくらもらえる?申請方法は?

2018/12/27

離婚、死別などさまざまな理由で、子どもを1人で育てているママ・パパに対して、生活を支える目的で支給されるのが「児童扶養手当」です。もらうための条件や支給額などについて、ファイナンシャルプランナーの井戸美枝さんに詳しく教えていただきました。

「児童扶養手当」ってどんな制度?

シングルマザーやシングルファーザーといった一人親世帯のほか、親の代わりに子どもを養育している人に支給されるのが、「児童扶養手当」です。
一人親世帯は、両親がいる家庭と比べると、子育て・家事・仕事をすべて1人の親が抱え込むため、働く時間も限られ、経済的に不安定になるケースは少なくありません。そこで、安定した暮らしと自立をサポートする目的で、この制度が開始されました。

どんな人がもらえるの? 

「児童扶養手当」の支給対象となるのは、18歳以下(18歳になったあとの最初の3月31日まで)の子どもを養育している人で、子どもが以下のいずれかに該当する場合です。

① 父母が離婚した
② 父または母が死亡した
③ 父または母が一定程度の障害状態にある
④ 父または母の生死が不明
⑤ 父または母から1年以上遺棄されている
⑥ 裁判所から父または母がDV保護命令を受けている
⑦ 父または母が1年以上拘禁されている
⑧ 父母が婚姻しないまま生まれた
⑨ 棄児などで父母がいるかいないか明らかでない

養育する子どもの心身に一定の障害がある場合は、子どもが20歳になる月まで受給が可能です。

受給できないケース

先に挙げた9つの条件に当てはまる場合でも、次に該当する人は「児童扶養手当」をもらうことはできません。

① 日本国内に住所がない
② 子どもが児童福祉施設などに入所している、里親に委託されている
③ 子どもの父と母が生計を同じくしている
④ 子どもが父または母の再婚相手(事実婚を含む)に養育されている

また、配偶者の死亡などによって公的年金(遺族年金、障害年金、労災年金、遺族補償など)をもらっている場合は、「児童扶養手当」として、年金額が「児童扶養手当」の額より少ない場合のみ、その差額をもらうことができます。

いくらもらえるの?

「児童扶養手当」の支給額は、養育する人の所得や子どもの人数によって異なります。
2018年度(「児童扶養手当」の「年度」は毎年8月から翌年7月を指します)の基本の支給額は下記のとおり。

【児童扶養手当の支給額(月額)】

「一部支給」は、所得によって月額4万2490円から1万30円まで、10円単位で支給額が決められています。
「児童扶養手当」の金額は、物価の変動に応じて毎年8月に改定されるので、申請するときは最新の情報を確認しましょう。

所得制限がある

「児童扶養手当」には所得制限が設けられています。所得に応じて基本の支給額から減額されるので、申請するときに市区町村の役所で確認してください。

いつ申請すればいい?

「児童扶養手当」をもらうためには、住んでいる市区町村の役所に認定請求をする必要があります。役所の窓口に確認し、申請書や手続きに必要なものを用意しておきましょう。
手当が支給されるのは申請後の分のみで、申請前の分は支給されません。離婚や配偶者の死別などで大変な時期でも、なるべく早めに手続きを行ってください。

いつからもらえるの?

支給が開始されるのは、申請した月の翌月から。「児童扶養手当」は毎月振り込まれるものではなく、年3回(4月、8月、12月)に分けて、それぞれ4カ月分がまとめて振り込まれる仕組みです。
ただ、この支給方法については見直しが進んでいて、2019年11月からは、年6回(奇数月)、それぞれ2カ月分の手当が支給される予定です。

まとめ

親が1人で子育てをしていくのは金銭的に負担が大きいものですが、そんな不安を軽減してくれるのが「児童扶養手当」。
子どもが18歳までの間もらえるので、小さな子どもがいる家庭にとっては、長い目で見ると大きな金額になります。もらい損ねることがないように、申請手続きは早めに行いましょう。

教えてくれたのは・・・

井戸美枝さん

社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー(CFP(R))、経済エッセイスト。講演やテレビ、ラジオなど多数のメディアを通じて、ライフプランや資産運用についてアドバイスを行う。著書に『届け出だけでもらえるお金』(プレジデント社)、『身近な人が元気なうちに話しておきたい お金のこと 介護のこと』(東洋経済新報社)など。

大図解 届け出だけでもらえるお金

取材・文/有馬未央(KIRA KIRA)

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