税金と社会保険で損をしない「妻の働き方」って?

2018/08/17

働くうえで忘れてはいけないのが「社会保険」や「税金」のこと。夫だけでなく妻も働いたらその分収入が増えると思っていたら、妻の年収がある金額を超えると、手取り収入が減ることもあるって知っていましたか?貯蓄を殖やすためにも、正しい知識を身につけましょう!

よく聞く「150万円の壁」って?

妻の年収が150万円以下なら、夫は38万円の配偶者控除を受けることができます(夫の年収が1120万円以下の場合)。しかし、「150万円を超えたら控除がなくなって、夫の手取りが一気に減るの?」と心配する必要はありません。妻の年収が150万円を超えても、「配偶者特別控除」は段階的に減っていきますが、年収201万円になるまでは控除が受けられます。実は世帯の手取り収入への影響はそれほど大きくないので、あまり気にする必要はありません。

「社会保険の壁」って何?

「150万円までなら、夫の手取りが減らないのね」と思いがちですが、実は世帯の手取り収入に影響大なのは「社会保険の壁」。これは妻の年収がある金額を超えて、自分で社会保険料を払うかどうかの分岐点のこと。

この壁を超えると、給料は上がっても、社会保険料が天引きされて手取りがガクンと減る「損ゾーン」に突入し、年収がある金額に達するまで続きます。手取りが減って損をする時期があっても、回復するまで年収を増やして働くのか、「損ゾーン」の手前まで働くのか、あらためて検討してみましょう。

例えば、妻の勤務先が、従業員501人以上の大企業であれば年収106万円超で、従業員500人以下なら年収130万円超で、社会保険料の支払いが発生します。保険料が天引きされる分、「給料は上がったのに手取りが減る」という働き損に。でも、年収がある金額を超えれば手取りが回復し、昇給するに従って手取り収入もアップ!大企業のほうが「損ゾーン」を早く抜け出すことができます。

※A、Bのグラフは、夫婦ともに40歳以上(子どもは中学生以下)で、夫は額面年収700万円の会社員の場合。
©試算およびグラフ作成 深田晶恵

「社会保険の壁」を超えて働くと、ずっと損?

社会保険の財政が厳しい今、夫の扶養の範囲内で働く妻が保険料を払わなくていい制度がいつまで続くかは疑問。この先「社会保険の壁」が低くなるにつれて妻の収入を下げていては、貯蓄は殖えません。今のうちに働く時間を増やしたり、スキルを上げて時給の高い職種に就くなど、給料を少しずつ上げ、早く損ゾーンを抜け出すことを考えるのも1つの手です。

「損ゾーン」を超えて働くメリット

1. 夫の昇給より手っ取り早く貯蓄を殖やせる
昨今の経済事情では夫の昇給はあまり期待できないし、一気に増える可能性は低いもの。一時的に損になっても、それを超えて働けば、確実に世帯収入がアップして貯蓄を殖やすことができます。

2. 老後に自分名義で受け取れる年金が増える
「社会保険の壁」を超えて厚生年金に加入すると、自分で保険料を払うことになりますが、その代わり将来受け取れる年金額が増えます。老後の暮らしにもゆとりが!

3. 福利厚生などを受けられるチャンスも!
勤務先の福利厚生が充実していれば、社会保険料を納めることで、会社が契約している宿泊施設などをお得な料金で利用できる場合も。勤務先の福利厚生制度をチェックして。

夫の扶養範囲を超えて働くか迷っている人は参考にしてみてください。正しい知識を身につけて、“損をしない働き方”を選びましょう。

●教えてくれた人……
深田晶恵さん(ファイナンシャル・プランナー)
生活設計塾クルー取締役。個人向け家計相談のほか、メディアや講演で消費者目線のマネー情報を発信。最新著書は『サラリーマンのための「手取り」が増えるワザ65』(ダイヤモンド社)。

参照:『サンキュ!』9月号とじ込み付録「貯まる!妻の働き方」より。掲載している情報は18年7月現在のものです。監修/深田晶恵 構成/宮原元美 取材・文/村越克子 デザイン/attik 編集/サンキュ!編集部

『サンキュ!』最新号の詳細は こちら!

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