一時所得という言葉、聞いたことがありますか? もし、競馬や競輪などで大儲けしたら、一時所得として確定申告で申告しなければならないのです。今回は、この一時所得のことを税理士の角田圭子さんに教えてもらいました。
一時所得とはどんなもの?
一時所得とは営利を目的としない所得で、言葉のとおり一時的なお金です。配当所得、利子所得、事業所得、譲渡所得、不動産所得、退職所得以外の一時の所得をいいます。
そして、宝くじの当選金は一時所得ですが非課税とされているので課税されません。一時所得は金額によって課税対象になり、確定申告で申告する必要があります。
一時所得には何が入るの?
一時所得について、具体的に4つほど例を挙げてみます。
懸賞による賞金
懸賞サイトや懸賞ハガキで賞金が当たった場合が当てはまります。福引による当選金も対象となります。
競馬・競輪などで得た払戻金
競馬や競輪で結構もうかったりした場合や、競艇、オートレースの払戻金も一時所得となります。
落とし物を拾ったときの報労金や埋蔵物発見者の受ける報労金
財布や多額の現金を拾い、持ち主が出てこなかった場合に受け取れる報労金も該当します。埋蔵物や埋蔵金を発見したときも当てはまります。
生命保険や損害保険が満期になった際の返戻金
自分が保険料を支払っていた保険の満期保険金を、一時金で受け取った場合は一時所得になります。
※一時払養老保険などで保険期間などが5年以下のもの、および保険期間などが5年超で5年以内に解約されたものは、所得税源泉徴収だけで課税が終了します。
一時所得の計算方法は?
競馬や競輪でもうかった場合も一時所得に入るなんて知らなかったという人も多いことでしょう。では、一時所得はいくらから税金がかかるのでしょうか。
まず、一時所得は入ったお金の全額が課税対象になるわけではありません。その収入を得るために使ったお金と、特別控除額として50万円を差し引くことができます。さらに、算出された金額を半分にした金額が、一時所得として確定申告しなければならない金額となります。
注意することは、1案件ごとに特別控除額が発生するのではなく、その年の一時所得の収入金額の合計に対する控除額です。計算式は以下のとおり。
■「一時所得の対象となる収入」−「収入を得るために使った金額」−「特別控除額50万円」=「一時所得の金額」
※下記、確定申告書Aの「オ」に記入する金額
■「一時所得の金額」÷2=「課税対象となる金」
※下記、確定申告書Aの「④」に記入する金額
50万円の特別控除があるので、その範囲内であれば課税されません。また、課税対象になる金額は、その半分ということになります。
確定申告書A
※確定申告書Bは、確定申告書Aとは様式が異なります。
競馬・競輪でもうけた場合の「一時所得」の計算例
競馬を例に、具体的な計算をしてみましょう。
【例】
・3レースに1万円ずつ均等に勝馬投票券を購入
・1レースが万馬券的中で100万円ゲット
・当たった万馬券は1レースだけ
この場合、全体の支出合計額は3万円ですが、当たった勝馬投票券は1レースなので「収入を得るために使った金額」は1万円になります。
■100万円(一時所得の対象となる収入)−1万円(収入を得るために使った金額)−「特別控除額50万円」=49万円(一時所得の金額)
※確定申告書Aの「オ」に記入する金額
■49万円(一時所得の金額)÷2=24万5000円(課税対象となる金)
※確定申告書Aの「④」に記入する金額
懸賞に当たった場合の「一時所得」の計算例
つづいて、懸賞ハガキに当たった場合を例に挙げてみます。
【例】
・62円ハガキ10枚を購入して、懸賞に応募
・見事当選して100万円ゲット
・当選したハガキは1枚だけ
全体の支出合計額は620円ですが、当たったハガキは1枚なので「収入を得るために使った金額」は62円になります。
■100万円(一時所得の対象となる収入)−62円(収入を得るために使った金額)−「特別控除額50万円」=49万9938円(一時所得の金額)
※確定申告書Aの「オ」に記入する金額
■49万9938円(一時所得の金額)÷2=24万9969円(課税対象となる金)
※確定申告書Aの「④」に記入する金額
保険が満期になった場合
保険が満期になったときは、返戻金額からこれまで支払ってきた保険料を「収入を得るために使った金額」として差し引き、「特別控除額50万円」を引いて、2で割ります。
1年のうちに2つの保険が満期になった場合は、例えば、A保険50万円、B保険30万円の返戻金があったら、2つをたした80万円からこれまで支払ってきた保険料と特別控除額50万円を引いた分を2で割った額になります。