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昔と同じじゃダメ!今の40代が知るべき最新「老後資金作り」事情

2019/10/19

少し前、金融庁が公表した「公的年金以外に老後資金2,000万円が必要」との報告書が物議を呼びました。本当に2,000万円ものお金が必要なのか、今からそれを貯めるにはどうしたらいいのか。40代からできる老後資金づくりの方法を、節約アドバイザーの丸山晴美さんに教えてもらいました。

みなさまこんにちは。節約アドバイザーの丸山晴美です。

お金にはトレンドがあって、その情報をキャッチできるか否かで、得する人と損する人に分かれます。でも経済に関するお金の情報は、ちょっとむずかしいですよね。私はみなさまに“お金の旬の情報”を“わかりやすく”お届けしていきたいと思います。今回のテーマは「40代からの老後資金づくり」!

老後資金2,000万円には前提があった!?

物議をかもした金融庁の報告書「高齢社会における資産形成・管理」には、「夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職の世帯では、毎月の不足額の平均は約5万円であり、まだ20~30年の人生があるとすれば、不足額の総額は単純計算で1,300万円~2,000万円になる」と書いてあります。

20〜40代のかたが多い『サンキュ!』読者の皆さんは、報告書の例とは前提が異なるので、同じ計算結果にはなりません。ならば老後資金は心配しなくていいかというと、それも違います。
「年金だけで生活するのはむずかしい」ということや、「老後資金2,000万円が必要」というのは、金額に多少の違いはあるものの、じつは何十年も前から言われてきたことです。

そこで今回は、”40代から始める”ということにスポットを当てた老後資金の考え方、準備の仕方について解説します。

今の40代は”支出”と”貯蓄”の2段構えの対応が必要

人生には「お金の貯めどき」が3回あるといわれています。「独身」のとき、夫婦共働きの「ディンクス」のとき、そして「子どもが社会に出てから老後を迎えるまでの間」です。
なかでも3つ目の「子どもが社会に出てから老後を迎えるまでの間」にどれだけ貯められるかが、老後の生活に大きく影響します。

ひと昔前までは、子どもが社会に出るのは40代初め〜中ごろでした。そこから60歳までの15〜20年間をかけて老後資金を準備することができ、最も収入が高くなる50代にしっかり貯めることができました。
しかし、今の40代は晩婚化が進んだ世代で、高齢出産のかたもたくさんいます。子どもが社会に出てから自分たちが老後を迎えるまでの時間、つまり「最後の貯めどき」が短くなっています。子どもが巣立ってから老後資金の準備を始めるのでは、期間が短すぎる場合があります。

40代は家賃や住宅ローンを払いつつ、子どもの食費や教育資金もどんどんふくらむなど、支出が増える時期です。ふくらむ支出に対応しつつ、同時に自分たちの老後資金も貯めるという、2段構えの対策が必要です。

まずは「自分の老後に必要な資金」を試算する

若いアジアの家族の台所でラップトップを使用して
itakayuki/gettyimages

老後の生活にかかるお金は、都心よりも地方のほうが少なくてすみますし、住宅ローンが終わっているのかどうかでも異なります。まずは「自分の老後に必要な資金」を試算し、具体的に把握することが重要です。
以下の3ステップで試算してみましょう。

【STEP1】夫婦2人に最低限必要な生活費の月額-夫婦2人がもらえる年金の月額=月の不足分

まず夫婦2人が生活するのに、月にどのくらいの生活費がかかるかを割り出します。
現在の生活費を基準に、そこから子どもの教育費や食費などを省き、「夫婦2人が最低限生活できる月額」を出してください。
そこから、「夫婦2人がもらえる年金の月額」を引けば、老後の生活で「月にいくら不足するのか」がわかります。

もらえる年金の月額は、毎年誕生月に日本年金機構が郵送している「ねんきん定期便」に書かれていますのでチェックしてみましょう。また、Webサイト「ねんきんネット」でも試算できます。

【STEP2】年間の不足分(月の不足分×12カ月)×老後の年数(仮に90歳-65歳=25年)=老後に不足する最低限の金額

次に、「老後に不足する最低限の金額」を出します。
STEP1で出した「月の不足分」に12カ月をかけて年間の不足分を出し、さらに自分たちが生きる老後の年数をかけます。仮に、年金をもらい始めるのが65歳として、同い歳の夫婦2人が90歳まで生きるとすると、老後は25年になります。

STEP1で出た月の不足分が5万円だった場合、
5万円×12カ月×25年=1,500万円
「老後に不足する最低限の金額」は1,500万円であることがわかります。

【STEP3】(老後に不足する最低限の金額+医療費や家の修繕費などの雑費)-(もらえる退職金+今ある老後用の貯蓄)=これから貯めなければいけない金額

「老後に不足する最低限の金額」に、医療費や自宅の修繕費などの老後に必要になると予想される雑費をプラスします。雑費は平均300万円くらいと考えられます。その合計が1,800万円。
最後に、そこから「自分たちがもらえる退職金」と、「今ある老後用の貯蓄」を引けば、これから貯めなければいけない金額が試算できます。

具体的な貯蓄目標額を把握して、豊かな老後を送るためにできることから準備することが重要です。では次に、具体的に40代がやるべきことを考えていきましょう。

40代は「生活のコンパクト化」をしつつ「投資型」で貯蓄を

主婦のワードローブの服を整理します。
LENblR/gettyimages

老後資金というと貯める方法ばかりを思い浮かべますが、前述のとおり40代はふくらむ支出と貯蓄とを同時に行わなければいけません。そのため、”老後を意識したお金の使い方”に切り替えてムダな出費を削り、その分を貯蓄や投資に回す工夫をすることが肝心です。

「生活をコンパクト化」する

40代から始めたい「老後を意識したお金の使い方」の1つがこちらです。
「みんなのかくれ資産調査委員会」が18年10月に日本全国の男女2,536名に調査したところによると、日本の「かくれ資産(自宅内の不用品の価値総額)」の総額は、なんと37兆177万円。1世帯当たり69万4,099円にものぼるそうです(※1)。

これらの不用品をネットフリーマーケットなどで処分すれば、売上金を貯蓄にまわせます。そして今後は「買ったけれど使わない」ものを出さない生活、つまり「どうしても必要なもの以外は買わない」ことを意識し、生活をコンパクト化していくことで、出費そのものも減らしていくことができます。

車や住居、家具やファッションなどを、多くの人と共有・交換して利用する社会的な仕組みを「シェアリングエコノミー」といいますが、これからは必要なものを「シェアリングエコノミー」で利用するのも一案。例えば、車を週末しか使用していないなら手放して、カーシェアやレンタカーを利用するようにすれば、節約できる額も大きくなります。

浮いた分を貯蓄すれば効率よく貯められますし、今から生活をコンパクト化することで、老後の月の生活費も試算より少なくすることが可能です。

住居も”大→小”へ見直してみる

生活のコンパクト化は住居に関してもいえます。戸建てでもマンションでも、30年もたてばなんらかのリフォームが必要になりお金がかかります。戸建ての場合は全額を自分たちで用意しなければならず、庭などがある場合は管理も面倒です。

ならばそういう住居は手放して、病院が近くて買い物がしやすいなど、利便性の高い物件に移るのも手です。住居を小さくすれば、光熱費や家賃なども安くなります。ものも増やせませんから、不必要な買い物もしなくなります。

ただし、住み替えのためだからと、今無理して住居を買う必要はありません。団塊の世代が75歳以上を迎える2025年ごろにさまざまな問題が起こる――いわゆる「2025年問題」においては、マンションが余り、物価が大きく下がるといわれています。高齢者向けの賃貸物件が増えるなど、住まいの社会状況も変わりつつあります。
自分たちは将来どこでどういう生活をしていきたいのか、40代から意識して考えていくことが大切です。

貯蓄は「投資運用」を加えてみる

整理木製ブロック矢印の付いたステップ階段として最大スタックを手します。ラダー キャリア パス概念ビジネス成長の成功プロセス
marchmeena29/gettyimages

生活をコンパクトにしてムダを省き、その分を貯蓄に回す一方で、定期的な貯蓄ももちろん必要です。老後資金づくりにおすすめなのが「iDeCo(イデコ)」です。
「iDeCo」は全額が所得控除の対象になるので、とくに働いているかたに得な制度といえます。「iDeCo」は投資運用で積み立てるスタイルで、投資運用商品は自分で選ぶことができます。

運用には、値動きのある金融商品で運用する「アクティブ」と、比較的値動きがゆるやかな金融商品で運用する「パッシブ」とがあります。どちらを選ぶかは始める年齢で異なります。40代はパッシブだけの安全策をとるにはまだ早いですが、アクティブだけで突っ走るにはもうリスクが大きいお年ごろ。両方を混ぜてバランスよく運用するのがおすすめです。
ただ、銀行の預貯金や年金がパッシブ的なものなので、投資運用はアクティブだけにするという方法もありですよ。

定年後も働くことで収入と年金が増える

「貯めどき」は人生に3回とお伝えしましたが、基本的に健康で働いて収入があるときは、程度の差こそあれ常に「貯めどき」といえます。健康であるうちは職場と相談するなどして、できる限り働き続けたほうが得策です。
会社勤めの場合は、60歳以降も仕事を続けて厚生年金に加入し続ければ、年金の加入期間が長くなるため、それだけ年金額も増えます。
国民年金の加入期間は20歳から60歳ですが、60歳以降も引き続き国民年金に加入することで、年金を増やすことができます。ただし任意加入できるのは65歳までです。

また、年金は受け取りを遅らせる「繰り下げ受給」にして支給開始年齢を65歳よりあとにすることで、もらえる金額を増やすことができます。ただし、年金を受け取る権利は現在のところ5年で消滅するので、70歳までには受給し始めるように注意しましょう。

貯蓄も節約と同じく「チリツモ」がポイント!

若い魅力的なアジア女性
miya227/gettyimages

50代は一般的に人生のなかで最も収入が大きくなる時期で、その分、基本の生活費もふくらみがちです。ふくらんだ生活費のまま老後生活に入ると、いくら貯蓄をしていても大変です。
40代のうちから「コンパクトな生活」に切り替え、50代でも生活費をできるだけ抑えてその分を貯蓄するのが、上手に老後を迎えるコツです。

貯蓄も節約と同じで、細かいものを一つ一つ積み上げていく「チリツモ」が大切。今までやっていた定期購入をやめる、格安スマホなどにして通信費を安くする、家庭菜園を始めて食費を節約するなどの細かい工夫を重ね、浮いたお金を貯蓄に回せば、40代からでも効率よく早く老後資金を貯めることが可能でしょう。

自分が80歳になった姿というのは、なかなか想像できませんよね。でも現代は、女性の二人に一人は90歳まで生きる時代です (※2) 。そのときになっても安心して楽しく暮らせるよう準備しておきたいですね。

教えてくれたのは・・・

丸山晴美さん

22歳の時に節約に目覚め、1年で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニ店長などを経て2001年、節約アドバイザーとして独立。ファイナンシャルプランナー(AFP)、消費生活アドバイザーなどの資格を取得。身の回りの節約術やライフプランを見据えたお金の管理運用のアドバイスなどを、テレビやラジオ、雑誌、講演などで行なっている。著書は「定年後に必要なお金『新・基本のキ』」(宝島社)など多数。

取材・文/かきの木のりみ

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