日本のリビングルームでエアコンの電源をオンにする女性コントロール

帰宅したらまずエアコン……は損する!?夏の電気代を安く抑える方法

2021/07/10

2021年4月と5月、電気料金・ガス料金がそろって値上がりしました。「外出自粛やリモートワークの増加などで在宅時間が増えている今年は、夏の電気代が大きく膨らむ心配があります」と節約アドバイザーの丸山晴美さんは指摘します。換気にも配慮が必要な今年の電気代節約のポイントと、注意点を知っておきましょう。

なお、今回ご紹介する情報はすべて2021年6月時点の取材情報を基にしています。

22歳の時に節約に目覚め、1年で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニ店長などを経て...

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みなさまこんにちは。節約アドバイザーの丸山晴美です。

お金にはトレンドがあって、その情報をキャッチできるか否かで、得する人と損する人に分かれます。でも経済に関するお金の情報は、ちょっとむずかしいですよね。私はみなさまに“お金の旬の情報”を“わかりやすく”お届けしていきたいと思います。今回のテーマは「コロナ禍の夏の電気代節約」!

換気もエアコンも、いかに効率よく行うかが今年の電気代節約ポイント

コロナ禍で在宅時間が増えている2021年の夏。人が家にいるということは、エアコンや照明などの使用時間が増えるということ。冷蔵庫の開閉なども増えますから、電気料代がかさみがちです。さらに電気代そのものも値上がりしているので、例年以上に節電意識を高めたいところです。

ところが同時に、換気に配慮する必要があるのもコロナ禍ならではの特徴。そこでポイントとなるのが、換気もエアコンも「最も効率のよいやり方」を実践することです。コロナ禍の夏における電気代の節約方法を確認しましょう。

エアコンの節電のカギは「窓対策」

夏の電気代に大きく影響するのがエアコンです。エアコンの消費電力を抑えるには、温度設定を環境省が推奨する28度くらいに設定するのが基本です。ただし、住環境によっては、28度は暑くてしんどい場合もあるでしょう。

そこで大事になるのが「窓対策」です。外気の熱は窓ガラスから入り、室内の冷気も窓を通して逃げます。それをいかに防ぐかが、エアコンを効率よく使うポイントです。

効果的な方法としては、窓の外側に「よしず」や「すだれ」などを設置して日陰をつくり、室内には遮光性の高いカーテンをつけて、日差しをシャットアウトすること。日中はカーテンを閉じて、熱を家の中に入れないことが大切です。

「在宅中はカーテンを閉め切りたくない」という場合は、遮光性の高いレースカーテンもあるので取り入れてみては?購入費用が多少かかりますが、冬の電気代節約にも役立つので、長い目で見れば費用対効果は悪くありません。

「帰宅したらまずエアコン」はムダなエネルギー消費!

外出する際は遮光性能が高いカーテンを閉めるようにすると、部屋に熱が籠りにくくなります。
外から帰ってきて室内に熱気がこもっているときは、すぐにエアコンをつけるとムダなエネルギーを消費してしまいます。いったん窓を開けて、換気扇やサーキュレーターなどで室内の熱気を外に逃がしてからエアコンをつけましょう。

そして「弱」冷房運転ではなく、最もエネルギー効率のよい「自動運転」に設定することもポイントの1つです。
エアコンの冷気は下にたまる性質があるので、扇風機やサーキュレーターを併用して室内の空気を循環させるのもおすすめです。

エアコンの除湿機能で「湿度」を下げるのはNG

湿度が高いと汗が蒸発しにくくなり、体温を下げる機能が働きにくくなります。すると体感温度が高くなり、涼しさを感じにくくなってしまいます。窓対策をすると同時に、湿度対策も行いましょう。

間違いやすいのが、除湿運転機能で湿度を下げようとしてしまうこと。実は最も湿度が下がる方法は、除湿運転ではなくエアコンの冷房です(※1)。気温が高く蒸し暑い時期は冷房運転、室温を保って除湿だけしたい時期は除湿運転という風に使い分けましょう。

換気は対角線上の2つの窓で短時間で効果的に行う

コロナ禍が続く今年の夏は「換気」も欠かせません。換気をするとどうしても外の熱気が室内に入り、電気代が心配になりますが、最も大切なのはやはり健康です。今年はその点は割り切って、換気もしっかり行いましょう。

ほとんどのエアコンは換気ができないので、エアコン以外の方法で換気する必要があります。

2003年以降に建てられたマンションは「24時間換気システム」がついているので、窓を開けなくても、壁や天井などの換気口によって、2時間程度で室内の空気を入れ換えることができます(※2)。

ただし、外の熱気が入るからと換気口を閉じたり、スイッチを切ってしまうと、せっかくのシステムも作動しません。窓を開けるよりは効率的に換気ができるので、上手に活用しましょう。

窓を開けて換気をする場合は、窓を2カ所開けると、空気の通り道ができて効率よく換気ができます。対角線上にある窓を開けると、さらに効率的。逆に、すぐ近くの2つの窓を開けても部屋全体の空気は流れにくいので注意しましょう。

窓が1つしかない場合は、部屋のドアを開け、扇風機などを窓の外に向けて空気を室外に出します。また、キッチンや浴室、トイレなどについている換気扇を併用するのも効果的です。

そして、どの方法でも、換気をする前にはエアコンの設定温度を少し上げることを忘れずに。そうすることでムダな電力消費を防ぐことにつながります。

テレビや炊飯器などエアコン以外の家電の使い方にも注意を

在宅時間が増えたご家庭は、エアコン以外の節電対策も重要です。

テレビを時計代わりにつけっぱなしにしているご家庭は少なくありませんが、家電製品自体からも熱を発します。家電製品の使用は最低限にしましょう。

炊飯器でご飯を炊いたら、すぐ小分けして冷蔵・冷凍するなどして、保温機能をできるだけ使わないことも重要。電気ポットやウォーターサーバーなどの保温機能も同様です。
便座の保温機能は、夏の間は切っておくとよいでしょう。

なお、2020年には九州電力が、75歳以上の方がいるご家庭向けに「熱中症予防プラン」を提供しました。2020年9月分の電気料金を1,500円割引きするもので、その分、エアコンを活用して熱中症を防ごうという内容でした。

このように、電気会社によっては、時期限定の夏向け料金プランを出す場合があります。自分が使っている電気会社のホームページなどを定期的にチェックし、利用できるお得なキャンペーンなどがあったらどんどん活用することも大切です。

なお、高齢者の場合、暑さを感じにくかったり、電気代が高くなるからと、冷房を我慢して屋内での熱中症のリスクが高くなりがちです。高齢者のいるご家庭は、こまめな水分補給を心がけ、高めの温度設定でも冷房運転をするなど、熱中症にならない対策を取るようにしてくださいね。

教えてくれたのは・・・

丸山晴美さん

22歳の時に節約に目覚め、1年で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニ店長などを経て2001年、節約アドバイザーとして独立。ファイナンシャルプランナー(AFP)、消費生活アドバイザーなどの資格を取得。身のまわりの節約術やライフプランを見据えたお金の管理運用のアドバイスなどを、テレビやラジオ、雑誌、講演などで行なっている。著書は「シングルママのお金に困らない本」(徳間書店)、「50代から知っておきたい!年金生活の不安、解消します」(共著)(幻冬舎)など多数。

取材・文/かきの木のりみ

 
 

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