いつか訪れるアフターコロナ、私たちの生活は元に戻るのか?お金の専門家の答えは

2021/08/02

新型コロナウィルスのワクチンの接種が本格化しています。「アフターコロナ」への希望が生まれてきました。いつか訪れるアフターコロナの世界、そのときは、すべてが元通りになるのでしょうか?

節約アドバイザーの丸山晴美さんは、少なくとも消費面においては「皆がすぐに元の生活を始めるかというと、そうはならないでしょう」と予測します。その理由と、アフターコロナに向けて今考えるべきことを聞きました。

なお、今回ご紹介する情報はすべて2021年7月時点の取材情報を元にしています。

22歳の時に節約に目覚め、1年で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニ店長などを経て...

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みなさまこんにちは。節約アドバイザーの丸山晴美です。

お金にはトレンドがあって、その情報をキャッチできるか否かで、得する人と損する人に分かれます。でも経済に関するお金の情報は、ちょっとむずかしいですよね。

私はみなさまに“お金の旬の情報”を“わかりやすく”お届けしていきたいと思います。今回のテーマは「アフターコロナとは?」!

自粛解消後も、皆が旅行や買い物を始めるとは限らない!?

かれこれ1年以上となる自粛生活。その中では特に、外食や飲み会、旅行、ライブ、スポーツ観戦といった、人といっしょに楽しむ行動が強く制限されてきました。

この先、コロナワクチンの接種が進んで感染率が抑えられ、重症化のリスクも低くなったら、アフターコロナの生活へと移行していくわけですが、皆が一気に外に出て積極的に消費をするようになるかというと、そうではないだろうと私は予測しています。

たしかに一部の方は、今までできなかった分を取り戻すかのように、外食や旅行などに出かけ始めるでしょう。でも、そういう人の多くも、1年分を取り戻すほどの消費には走らないでしょう。なぜなら、収入が下がった家庭が少なくないからです。

3割強の人が収入減に!原因の1位は「給与減額」

株式会社エイチームフィナジーが、20〜50代の既婚男女419名に、「新型コロナウイルス感染症の流行後の家計の意識」を調査した結果によれば、約50%の人は収支ともには「変化なし」と回答。一方で、収入が「減少」した人が36.8%、支出が「増加」した人が35.6%で、総合的には、生活にゆとりがなくなった家庭が少なくないことがわかります。

出典:【ニューノーマル時代の家計調査を実施】コロナ禍での世帯収入増加の理由1位は「転職」、世帯収入減少の理由1位「給料減額」(株式会社エイチームフィナジー「ナビナビ保険」)

ちなみに、収入が増えた理由の1位は「転職」42.5%で、2位「昇進」37.5%、3位「資産運用」20%でした。収入が減少した理由の1位は「給与減額」51.3%で、2位「ボーナスカット」40.3%、3位は「失業」13.6%と続きます。

こうした現状を踏まえると、外出による消費は急には増えない……というよりは、増やせないというのが現状ではないでしょうか。

自粛生活で新たな価値観や生活スタイルも誕生

長い自粛生活を通して、私たちの生活スタイルや価値観も変わってきました。例えば、現在はキャンプを中心としたアウトドア・レジャーがとても人気です。人と触れ合わなくてもできる遊び方の楽しさを知った、という人も多いでしょう。

食分野では、デリバリーが大きな盛り上がりを見せています。単なる「配達」にとどまらず、機内食や高級レストランのメニューなど、デリバリー独自のメニューも増え、外食とは異なる楽しみになっています。今後もレストランに行くより、テイクアウトやデリバリーでの楽しみ方を選ぶ人もいるでしょう。

こうした新しい生活スタイルは、今後もしばらくは継続するでしょう。そして、新型コロナ感染症の治療薬が開発されるなどして本当に感染の不安がなくなってきた時に、少しずつ昔の生活スタイルに戻っていくのだろうと思います。それまでは今しばらくかかるのではないでしょうか。

自分の新たな価値観や好みをアフターコロナに取り入れて

私たちが自粛生活で体験したこと、気づいたことは、決して悪いことばかりではありません。

コロナ前には「ゴールデンウィークだから旅行しなくちゃ」「お盆だから帰省しなくちゃ」と、周りに合わせて無理していたけれど、自粛生活によって「無理にやらなくても問題ない」「遠くの実家には頻繁に行かなくても大丈夫」と気づいた人たちも少なからずいます。

そういう人々からは「アフターコロナになってもこれを維持したい」という声を多く聞きます。今すぐ旅行に行きたい、家族に会いたい、友達に会いたいという人がいる一方で、「このままでもけっこうラクだよね」と感じている人たちもいるということです。

その意味で、今後はお金に対する価値観や使い方、生活スタイルに、より多様性が出てくるでしょう。本格的なアフターコロナが始まる前に、自分自身はどういう価値観を持ち、どんな生活をしていきたいかをよく考えてみることが大切です。

「お金をかけずに家時間を充実させたい」「気の進まない付き合いはもうしたくない」と思うのであれば、無理やり全てを以前に戻す必要はないでしょう。新たに気づいた自分の価値観や求める生活スタイルを、今後に取り入れる工夫をする方が、お財布にも自分の心身にもプラスになるのではないでしょうか。

教えてくれたのは・・・

丸山晴美さん

22歳の時に節約に目覚め、1年で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニ店長などを経て2001年、節約アドバイザーとして独立。ファイナンシャルプランナー(AFP)、消費生活アドバイザーなどの資格を取得。身の回りの節約術やライフプランを見据えたお金の管理運用のアドバイスなどを、テレビやラジオ、雑誌、講演などで行なっている。著書は「シングルママのお金に困らない本」(徳間書店)、「50代から知っておきたい!年金生活の不安、解消します」(共著)(幻冬舎)など多数。

取材・文/かきの木のりみ

 
 

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