寝不足でも寝すぎても死が近づく⁉睡眠時間と健康の危険な関係
2024/01/29
寝不足が体に悪いことは、みなさんご存じのはず。では、睡眠時間は長ければ長いほどいいのでしょうか。実は「寝すぎ」もよくないのだとか。
理想的な睡眠時間・睡眠と健康の関係について、睡眠健康指導士の資格を持つ睡眠の専門家、大久保早絵氏に聞きました。
- Q.1日の理想的な睡眠時間について教えてください
- Q.寝不足が続くとどのような健康トラブルが起こりますか
- Q.長く寝すぎることで起こる健康トラブルはありますか
- Q.夜間寝ているのに日中に眠気を感じる場合、どのような原因が考えられますか
Q.1日の理想的な睡眠時間について教えてください
1日の理想的な睡眠時間は、成人(18~64歳)であれば7~9時間とされています。
参考までに、年齢別の理想の睡眠時間は以下の通りです。
・乳幼児(0〜3カ月):14〜17時間
・幼児(4〜11カ月): 12〜15時間
・幼児(1〜2歳): 11〜14時間
・幼児(3〜5歳): 10〜13時間
・子供(6〜13歳):9〜11時間
・十代(14〜17歳):8〜10時間
・成人(18〜64歳):7〜9時間
・高齢者(65歳以上):7〜8時間
これらは一般的なガイドラインで、個人の体質や健康状態によって適切な睡眠時間が異なる場合があります。また、ライフスタイル・ストレスレベル・脳や体の活動量・仕事内容などの影響により、必要な睡眠時間が変わる可能性もあります。
自分に必要な睡眠時間を日々の体感や日中のパフォーマンスと照らし合わせて理解し、充分な睡眠を確保できるようにライフサイクルの調整をしていくことが重要です。
Q.寝不足が続くとどのような健康トラブルが起こりますか
寝不足は心身ともに大きな悪影響を及ぼし、老化を進めて寿命を短くしてしまいます。
寝不足で免疫力が落ちてウイルス感染しやすくなったり、成長ホルモンの分泌不足により肌だけでなく、体全体の老化が進んだりします。
また、脂肪や糖の代謝も悪くなります。肥満・糖尿病・高血圧・高コレステロールなどの危険因子を持っている人は特に注意が必要です。
心のバランスや集中力にも影響し、うつ病や事故・自殺のリスクも高まります。
理想の睡眠時間は年代によって違いますが、6時間を切ると病気や死亡リスクが約2.5倍上がります。寝不足にならないように、睡眠時間をしっかり確保しましょう。
Q.長く寝すぎることで起こる健康トラブルはありますか
長く眠れば健康にいいわけではありません。
長すぎる睡眠は心臓と血管の病気の発症リスクを高め、心筋梗塞や狭心症・高血圧・脳梗塞などによる死亡リスクを上げてしまいます。また、寝すぎは倦怠感や肥満・記憶力にも影響します。
寝不足は体に悪いと体感しやすいですが、実は寝すぎも同じです。9時間以上は眠らないように、睡眠時間と生活リズムをコントロールしましょう。
Q.夜間寝ているのに日中に眠気を感じる場合、どのような原因が考えられますか
しっかり寝たはずなのに眠い・寝ても疲れがとれていない原因には、自分に合った睡眠時間を確保できていない・睡眠の質が低いということが考えられます。
深い睡眠中には「グリンパティックシステム」が機能しています。これは脳をお掃除してくれる体の仕組みのことで、睡眠の質が悪いとしっかり働きません。結果、疲れを翌日に持ち越してしまい、日中の眠気につながります。
また、日中の眠気には、過眠症やナルコレプシーといった睡眠障害が隠れている可能性もあります。
女性の場合は、女性ホルモンのバランスも影響します。特に月経前は基礎体温が高くなり、体温リズムにメリハリがなくなるため、ふだんより眠たいと感じる場合があるでしょう。
更年期障害に差しかかると、ホルモンバランスや自律神経の乱れが、日中に強い眠気を引き起こすこともあります。
Q.質のいい睡眠をとるためにするといいこと・してはいけないことはありますか
質のいい睡眠をとるために、するといいことは以下です。
・起床時間の統一
・起床時太陽の光を30秒以上浴びる
・朝食をとる
・太陽の光を浴びながら30分程度のウォーキングをする
・15時までに仮眠をとる
・人と楽しく会話をする
・夕方ごろに肩甲骨ストレッチをする
・夕方以降、家の明かりは暖色系の優しい光に切り替える
・ベッドの上でアロマを嗅ぎながらの腹式呼吸
・入浴剤を使った40℃、10〜15分の全身浴
反対に、次のような習慣は睡眠の質の低下を招きます。
・休みの日は平日よりも長く寝る
・湯船に浸からずシャワーのみで済ます
・42℃以上の入浴
・パジャマを着ないでルームウェアで寝る
・電気毛布を使う
・就寝前の喫煙や飲酒
・オーディオやテレビをつけたまま寝る
・夕方以降、家の中の電気が明るい
睡眠習慣を見直し、理想的な睡眠時間のガイドラインを参考にしながら、自分に合った睡眠がとれるように整えましょう。
取材/文:山名美穂(Instagram「@mihoyamana」)
編集:サンキュ!編集部