40代以降は要注意!女性のがんでもっとも死亡者数が多い「がん」とは?
2024/06/22
日本で大腸がんの患者が増えているとご存じですか。
自覚症状に乏しいものの、予防や早期発見が可能な大腸がんについて、あさひの森内科消化器クリニックの院長である福田頌子氏に聞きました。
- Q.大腸がんとはどのようなガンですか
- Q.大腸がんの原因やなりやすい人の特徴にはどのようなものがありますか
- Q.大腸がんの自覚症状には、どのようなものがありますか
- Q.大腸がんを予防・早期発見することはできますか
Q.大腸がんとはどのようなガンですか
大腸がんとは大腸表面の粘膜から発生するがんの総称です。大腸がんに罹患する人の割合は40代から増え始め、高齢になるほど高くなります。
男性のほうが女性より罹患率・死亡率ともに高いのが特徴です。しかし、がんの発生部位別でみると、大腸がんは男性では肺がんに次ぐ2位なのに対し、女性では1位となっています。
Q.大腸がんの原因やなりやすい人の特徴にはどのようなものがありますか
大腸がんの原因やなりやすい人の特徴には、以下のものがあります。
・年齢:
年を取るほど大腸がんの発症リスクが高まります。とくに50歳以上の人に多く見られます。
・遺伝的要因:
家族に大腸がんの患者がいる場合、遺伝的な要因が関与している可能性があります。特に遺伝性大腸癌症候群(HNPCC)や家族性大腸腺腫ポリポーシス(FAP)などの遺伝的な疾患が関連しています。
・前駆病変:
大腸のポリープや炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病)などの前駆病変(ぜんくびょうへん:病気の前触れとしてあらわれる症状)がある場合、大腸がんの発症リスクが高まります。
・食生活:
高脂肪・低繊維の食生活や赤肉(牛肉、豚肉)や加工肉(ベーコン、ソーセージなど)の多量摂取で、大腸がんのリスクが上昇します。
・肥満や運動不足:
肥満や運動不足も大腸がんの危険因子とされています。
・喫煙や過剰なアルコール摂取:
喫煙や大量のアルコール摂取は大腸がんの発症リスクを増加させる可能性があります。
・糖尿病や慢性腎臓疾患:
糖尿病や慢性腎臓疾患を持っている人は、大腸がんのリスクが上がることが知られています。
これらの危険因子の要素が複雑に絡み合い、大腸がんの発症リスクは高まります。
Q.大腸がんの自覚症状には、どのようなものがありますか
早期の大腸がんは無症状のものが多く、がんが進行すると自覚症状が出現することがあります。自覚できる症状としては
・血便(ティッシュに血がつく)
・便秘や下痢・便が細くなる(狭小化)
・残便感・貧血
などがあります。腫瘍が大きくなり腸管の内腔が狭くなると、腹痛・腹部膨満感・嘔気・嘔吐などの症状が出現します。
また自覚症状がなくても、腫瘍が他の臓器へ転移・浸潤した場合は、他臓器の画像検査や他臓器症状(血尿や性器出血など)が発見の契機となることもあります。
どんな症状がでるかは、大腸のどこにがんができているかにも影響されます。右側大腸(盲腸から横行結腸まで)では腸内溶液が液状であり、症状が出るとしても貧血や軽度の腹痛に留まることが多いです。一方、左側大腸(下行結腸から直腸)では腸管が狭くなるため便が細くなったり、便秘がひどくなり、腹痛や嘔吐の症状が出ることがあります。
Q.大腸がんを予防・早期発見することはできますか
大腸がんの予防・早期発見でいちばん大事なのは「大腸カメラ」を受けることです。
日本の大腸がん患者数は右肩上がりに増えていますが、アメリカの大腸がん患者数は低下しています。またアメリカの人口は日本の3倍なのにも関わらず、大腸がんによる年間死亡者数はどちらも約5万人です。
このようなことが起こっている背景には、大腸カメラの受診率の違いがあります。アメリカでは約67%(2018年米疾病管理センターのデータ)が大腸カメラを含む大腸がん検診を受けている一方で、日本は約40%(2019年の国民生活基礎調査)しか大腸カメラ検査を受けていません。
大腸がんは大腸ポリープが年月をかけて大きくなり、がん化するケースがほとんどです。つまり大腸ポリープの段階で切除できれば、大腸がんを予防できるということです。予防と早期発見のために、40歳を過ぎたら大腸カメラをしましょう。
Q.大腸がんにはどんな治療法がありますか
大腸がんの治療は、がんの進行度や患者の個々の状況に応じて異なりますが、一般的な治療法には以下のようなものがあります。
・手術:
がんが粘膜下層の浅部までに留まり、リンパ節や他臓器への転移が認められない場合は、内視鏡手術の適応となります。一方で粘膜下層深部に達する場合や、リンパ節転移を認める場合は外科治療(従来の手術)の適応となります。
・化学療法:
大腸以外に臓器や周囲の筋肉や血管・腹膜などへの転移を認める場合は、化学療法(抗がん剤治療)が治療の選択肢となります。転移の度合いによって、外科治療と化学療法を併用することもあります。
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