注ぐミルク

牛乳といっしょに食べないほうがいいものがある!?意外と多い栄養素のNG組み合わせ

2023/06/10

「カルシウムをとるなら牛乳がいい」とはよく聞く話ですが、なぜなのか理由をご存知でしょうか?

また、カルシウムは組み合わせる食品によって、効果的になったり逆効果になることもあるんだとか!

管理栄養士と食生活アドバイザーの資格を持つライターのゆかりさんに、牛乳がすすめられる理由や牛乳と相性のよくない食品について紹介してもらいます。

管理栄養士、食生活アドバイザー。一女のママで出張料理、料理教室、講演、栄養相談も手掛けるほか、ライターとして...

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カルシウムにはどんな働きがある?

カルシウムとは、わたしたちの体の中にもっとも多く含まれるミネラルで、成人の体内には約1kg含まれています。
そのうちの99%は、骨や歯を形成するのに使われているのです。

それ以外は、カルシウムイオンとして血液、筋肉、神経の中にも存在し、血液の凝固に関わって出血を止めたり、神経や筋肉の興奮を抑えるなどの働きがあります。

日本人の食事摂取基準(2020年版)によると、1日の推奨量は18~29歳男性で800mg、30~74歳男性で750mg、75歳以上の男性で700mg、18~74歳女性で650mg、75歳以上の女性で600mgとなっています。

カルシウムが不足すると骨や歯が弱くなり、幼児では骨の発育障害が起こり成長が悪くなります。不足状態が長期間続くと高齢期や閉経後の女性では、骨粗鬆症が起こりやすくなります。また、神経や筋肉の興奮が高まり、筋肉のけいれん(テタニー、てんかんなど)、高血圧や動脈硬化などの生活習慣病の原因にも……

令和元年国民健康・栄養調査におけるカルシウムの食品からの1日の摂取量では、成人以上ではどの年代にも不足していることがわかっているため、わたしたちは積極的かつ効率的に摂取する必要があるのです。

カルシウムを牛乳から摂るべき理由は?

新鮮なミルクを飲む小さな女の子
kuppa_rock/gettyimages

カルシウムを豊富に含む食品には、干しえび、煮干し、粉チーズ、青汁(粉末)、シナモン、ごまなどがあります。これらはいずれも100gあたりに1,200mg以上ものカルシウムを含みます。

ただし、いずれも通常の食生活において100gも摂ることは容易ではありません。
そのため量を摂りやすい食品で探してみると、含有量は100gあたり110mg(※)である牛乳にいたるわけです。

牛乳であれば、コップ1杯で200ml(約200g)を飲むだけで1日の推奨量の1/3~1/4を補給することが可能に。

また、カルシウムは体内への吸収率は成人で25~30%と低く、さらに食品によって差が大きくあります。小魚で約30%、野菜で約20%に対し、牛乳のカルシウム吸収率は40%と高くなっているのです。

この理由は、牛乳中にカルシウムの吸収を高める成分がいくつも含まれていることが考えられます。それは、牛乳のたんぱく質から消化過程で生成する「カゼインホスホペプチド(CPP)」、「乳塩基性たんぱく質(MBP)」、ほんのりとした甘みの元である「乳糖」です。

※……普通牛乳の場合。低脂肪乳の場合は130mg

牛乳と相性が悪い食品の組み合わせは?

そんなカルシウムの補給源として理想的な牛乳ですが、いっしょに摂取する食べ物によっては、カルシウムの補給効率を下げてしまうこともあります。ひとつは、「リン」を多く含む食品。そのほか「シュウ酸」も、カルシウムの吸収を抑えてしまうことがわかっています。

具体的な食品としては、以下のようなものが考えられます。

「リン」を多く含む食品
・インスタント食品
・スナック菓子
・食肉加工品(ハム、ソーセージなど)

「シュウ酸」を多く含む食品
・ほうれん草(生)
・パセリ
・チョコレート
・ココア

なお、上記に加えてフィチン酸の名が挙げられているケースもありますが、同成分がカルシウムの吸収率に影響するのは、肉、魚、野菜、果物をまったく食べないなど極端に偏った食生活を続けた場合に限ります。日本の食事事情を鑑みれば、気にする必要はほぼないと筆者は考えています。

牛乳を工夫して取り入れてみよう!

ご紹介したように、牛乳と組み合わせないほうがよい食品はいくつもあります。「好きだから」「体によさそうだから」といった理由で偏食してしまえば、それぞれの食品のメリットを打ち消してしまいかねない、ということです。

ただし、いずれも極端に多くとらなければ影響は小さいと考えられます。食べ合わせを気にするあまり摂取を控えるようになってしまっては元も子もありません。

なお、カルシウム吸収率が低い食材を摂るときは、吸収率を相乗的に高めてくれる牛乳と一緒に摂るほか、カルシウムの吸収を助ける「ビタミンD」や「リジン」というアミノ酸を含む食品を組み合わせる方法があります。ビタミンDはきのこや魚介類に多く、リジンは肉類、魚介類、乳製品、大豆製品に多く含まれるため、これらは相性がよいといえるでしょう。

また、牛乳を飲むとお腹がゆるくなりやすいという人の場合も、工夫次第で安心して飲むことができます。

一度に飲む量を少なくする(コップ1杯分を朝昼晩に分けるなど)、温めて飲む、料理などに混ぜて使う、乳糖を分解してある種類を選ぶようにするといいでしょう。

カルシウム源としてメリットの多い牛乳なので、せっかく飲むのであればこういったことを参考にしてみてはいかがでしょうか?

■執筆/監修・・・

管理栄養士・ゆかりさん

管理栄養士、食生活アドバイザー。一女のママで出張料理、料理教室、講演、栄養相談も手掛けるほか、ライターとしても活動。

参考サイト
 
 

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