「たけのこ」を食べすぎるとどうなる?知っておきたいたけのこのメリット&デメリット
2024/04/20
たけのこに含まれる栄養素には、健康によい作用を持つものが多い反面、とり方を間違えてしまうと体調をくずす危険性もあるのだとか!
管理栄養士と食生活アドバイザーの資格を持つライターのゆかりさんに、たけのこの食べ方によって体にどのような悪影響が及ぶのかと、1日に食べてもいい量の目安について紹介してもらいます。
疲労軽減やアンチエイジングに!たけのこを食べる「メリット」
たけのこは春に芽吹くタケ科の植物の若芽で、先端、中央、根元部分でそれぞれ異なる食感が楽しめる食材です。いちばん多く出回るものは「孟宗竹(もうそうちく)」という太くて短い品種ですが、それ以外にも「淡竹(はちく)」、「真竹(まだけ、苦竹ともいう)」、などの細長いものや皮がまだら模様のものなどもあります。また、地域によっては夏や秋に採れる品種もありますよ。
そんなたけのこには、おもに次のような栄養素が多く含まれています。
・葉酸
・カリウム
・マンガン
・銅
・食物繊維
これらには、動脈硬化を防ぐ、血圧を低下させる、体内酵素を活性化させたり骨を丈夫にする、貧血を防ぐ、活性酸素を除去する、便通を改善したり腸内環境を整える、などといった働きが期待できますよ。
このほか、たけのこには「チロシン」というアミノ酸の一種も含まれています。チロシンには、加熱すると溶け出してさめると白く固まる性質があるため、ゆでた後のたけのこの内側に白い粉のようになっているのを見つけることができます。
そんなチロシンは、体内で甲状腺ホルモンの材料となったり、神経伝達物質(ドーパミン、ノルアドレナリンなど)の前駆体として働きます。甲状腺ホルモンは代謝を促進させ、神経伝達物質は集中力を高めたりストレスや疲労を和らげることに役立ちます。
このように、たけのこを上手にとり入れることで健康増進や美容だけでなく、能率アップにもよい影響が期待できるでしょう。
シミやかゆみの原因にも?たけのこを食べすぎる「デメリット」
多くのメリットが得られるたけのこですが、過剰に摂取したり体質によっては思わぬデメリットが生じることもあります……。
腹痛や下痢などの不快な症状を招く
腸内環境を整え、便秘解消に役立つ食物繊維ですが、とりすぎによっては逆効果を生むことに。
食物繊維は、水に溶けやすい水溶性食物繊維と溶けにくい不溶性食物繊維に分けられます。たけのこは、ほとんどが不溶性食物繊維で占められています。
不溶性食物繊維は、便のかさを増やして腸に刺激を与える作用をもっていますが、水溶性食物繊維の摂取が不足していたり不溶性食物繊維の摂取比率が高すぎる場合、便の水分が減って硬くなることで便秘や腹痛などの原因となることがあるのです。
また、食物繊維は消化されにくく、体調や体質によっては消化不良を起こしてしまうことも……。とくに、胃腸が弱いかたなどは下痢や胃もたれなどの症状が現れやすくなるため、食べる量に注意しましょう。
シミやそばかすの原因になる
タケノコに含まれているチロシンには、体内でメラニンという黒い色素に変化し、髪を黒くするという働きもあります。
そんなメラニンは、紫外線などから細胞を守るためにつくられるのですが、量が増え過ぎてしまうと肌のシミやそばかすが濃くなってしまうことも……。
美容に気をつけているかたは、とくに食べすぎないようにしましょう。
アレルギー症状が起きる
たけのこには、ヒスタミンやアセチルコリンという成分が含まれています。
これらは薬理活性物質(仮性アレルゲン)と呼ばれ、体に直接働きかけてさまざまな変化を与えます。過剰に取り込んでしまうと、アレルギー反応で見られるものと同じようにかゆみやじんましんなどを引き起こすことが知られています。
ただし、食物アレルギーとは異なるため、たけのこを口にするたびに必ず症状が起こるわけではありません。
体調不良であったり、なんらかのアレルギー症状がすでにある場合に起こりやすいとされているため、そういったかたはとくにたけのこを食べすぎないようにしましょう。
なお、アク抜きによって薬理活性物質を減らすことができるため、鮮度がよいからといって生食する際にも十分にご注意ください。
※……たけのこそのものが食物アレルギーの原因となる場合もあるため、少量食べただけでも頻繁に体調の変化が見られる場合は、専門家を受診することをおすすめします。
たけのこを楽しむ量とタイミングは?
上記のとおり、たけのこに含まれる栄養素にはメリットとデメリットの両方があります。
そこでここからは、安心してたけのこを楽しめる量とタイミングについて解説していきます。
健康な成人は1日にどれくらい食べても大丈夫?
まずは、1日に必要とされる食物繊維の量から、たけのこの適量について検証してみましょう。
日本人の食事摂取基準(2020年版)によると、18~64歳における1日あたりの食物繊維の目標量は男性で21g以上、女性で18g以上と設定されています。
一般的な生のたけのこ(生)に含まれている食物繊維は、100gあたり2.8g。そのため、仮にたけのこだけで男女平均のおよそ20gを満たす量を求めると、たけのこおよそ700gという計算になります。これは、大きさにもよりますが0.5~1.4本分ほどに相当する量(※)です。
あまり現実的ではありませんが、仮に700gのたけのこを食べるとした場合、たけのこで満腹になってしまいほかの食品をバランスよく取り入れにくくなって、食事全体の栄養バランスが大きく偏ってしまいます。
たけのこだけで1日に必要な食物繊維は補えるとしても、主食や主菜が十分にとれていないとエネルギーが大きく不足したり、たんぱく質も1日に必要な分だけとれなくなってしまうことに…。
なお、野菜の適量については、国民の健康増進を目的として定められた「健康日本21(第2次)」の中で、健康維持のために成人1日あたり350g以上が目標となっており、そのうちの1/3以上を緑黄色野菜、そのほかを淡色野菜でとることが望ましいと示されています。
それに当てはめると、たけのこは淡色野菜に該当するため1日の目安量を230g(小さいものは1/2本、大きいものは1/6本)までとすればよいと言えます。その場合であれば、食べすぎによるデメリットの心配がなくなると同時に、ほかの食品も幅広くとることができて栄養の偏りも防ぎやすくなるでしょう。
※……たけのこは1個あたり1~3kgと幅があることをふまえ、廃棄率を50%(孟宗竹の場合)として実際に食べられる重量で算出。
どのタイミングで食べるのがいい?
たけのこの成分であるチロシンの脳を覚醒させる働きを期待して、「朝に食べるのがよい」という考えもあります。
一方で、たけのこに含まれるカロリーは100gあたり27kcalと低いので、ほかの高カロリーな料理をたくさん食べなくてもすむように、食べたものが脂肪として溜め込まれやすい夕食にとりたいところ。ただし、遅い時間帯に食べるのは避けることをおすすめします。
なぜならば、食物繊維の多い食事は消化に負担がかかってしまい、食べてから寝るまでの時間が短いと睡眠の質を下げる可能性があるからです。胃腸の働きが一段落するとされている、就寝3時間前までにすませるようにしてみてはいかがでしょうか。
正しい量が把握できていれば、たけのこはメリットが多い食品です。たけのこのメリット・デメッリトを理解し、上手に取り入れていきましょう。