じつは避けたほうがいかも!?野菜のプロが教えるキノコのもったいない食べ方3選
2024/11/09
秋冬を迎えると、鍋物需要とともにスーパーの店頭で安く並ぶようになるキノコ。栄養も旨味も豊富で、日々の食卓にぜひ積極的に取り入れたい食材ですが、ちょっとした「もったいない」食べ方をしている人が多いのをご存じでしょうか。
今回は、野菜ソムリエ・食育インストラクター・気象予報士として活躍する植松愛実さんに、キノコの栄養と旨味を逃さずいただくために避けたい「もったいない」食べ方3選と、おすすめの解決策を教えてもらいます。
洗ってから使うのはもったいない!
キノコを調理に使うとき、汚れが気になり水で洗う人もいると思いますが、できればこれは避けたいところ。キノコを洗ってしまうと、風味が落ちたり食感が変わってしまったりすることがあるためです。
そもそも、スーパーで売っている通常のキノコは「菌床(きんしょう)栽培」と言って、汚れが非常に少ない環境で育てられています。そのため、水で洗う必要はなく、こまかいゴミなどがついている部分をふき取るだけでOKです。
ただ、例外的に洗ったほうがいい場合もあります。たとえば、ぬめりのあるナメコや生キクラゲ、そしてサラダなどに生で使うマッシュルームなどです。こういったキノコに関しては、水でサッと洗ってから使いましょう。また、道の駅や産直などで手に入る原木栽培のキノコについても、洗ってから使うのがおすすめです。
サッと加熱するだけではもったいない!
キノコには旨味成分が含まれている、と聞いたことがある人は多いのでは。しかしじつはその旨味成分、サッと加熱しただけでは現れてくれないのです。
キノコの旨味をしっかり出すには、低めの温度でじっくり加熱するのがおすすめ。炒める場合は強火で短時間調理するのではなく、弱火や中火で炒めるようにしましょう。また、煮物や汁物に入れる場合は、沸騰させた鍋に投入するのではなく、水の段階から入れると旨味を出しやすくなります。
また、いそがしくてじっくり調理する時間がない…という場合は、キノコを冷凍保存しておく方法もあります。キノコをいったん冷凍すれば細胞壁が壊れるため、短時間の加熱でも旨味が出やすくなるのです。時短したい場合は冷凍保存も活用してみてくださいね。
1種類だけで食べるのはもったいない!
ここまでキノコの旨味についていろいろと説明をしてきましたが、じつはキノコが持つ旨味成分は、1種類ではありません。「グアニル酸」や「グルタミン酸」といった成分の名前を聞いたことがある人もいると思いますが、1つのキノコにそういった複数の成分が含まれる場合もあれば、たとえばシメジとシイタケでは成分量が異なるなど、さまざまです。
そのため、キノコ料理にはぜひ複数種類のキノコを使ってください。というのも、旨味成分には相乗効果があり、1+1が2ではなく3以上になるという具合に、いっしょに調理するときに含まれている旨味成分の種類が多ければ多いほど、どんどんおいしくなるのです。
優等生なキノコの「もったいない」を減らそう
キノコには旨味成分となるアミノ酸のほか、ビタミンBやビタミンD、食物繊維、カリウムなどが含まれていて、栄養豊富な「優等生」の食材です。一方で、水で洗ったり、短時間で加熱したりなど「もったいない」食べ方によって、その旨味や栄養の恩恵を十分に受けられないことも…。今回ご紹介したポイントをおさえて、キノコを存分に味わいながら、栄養もしっかり摂取してくださいね。
■執筆/植松愛実さん
気象予報士と出張料理人の両面で活動中。気象・防災に関するヒントのほか、野菜ソムリエ・食育インストラクターとしておいしい食材のおいしい食べ方を発信中。
編集/サンキュ!編集部