妻に「指示」されているうちは 夫の家事スキルは上がらない。 このまま年をとって大丈夫？

男性の家事参加が当たり前になってきた今、「サンキュ！コメつぶ」では、妻に夫の家事に関する満足度を聞いてみました。その平均点は60点以上。でも妻からは、頼んだことしかしてくれない、ツメが甘い…などモヤっとコメントが。前回に続き、どうすれば夫の家事スキルが上がるのか、元商社マン、現「主夫」ブロガーの河内瞬さんと一緒に考えます。

かゆいところに手が届かない、なんか抜けている……満点には遠い夫のスキル

前回、夫の家事は完成度が低いし主体的じゃないという声を紹介しました。

20点以下　お皿洗いした後、最後にシンク、コンロまわりまで拭いてくれない。痒い所に手が届かない感じ（福岡県　38歳）

20点以下　ゴミを出す以外何もしない。ゴミも玄関にまとめてあるのを持っていくだけで、ゴミ出しの日が何曜日かすら知らない（愛知県　47歳）

21～40点　トイレ掃除を継続してやってくれるが、トイレ用掃除シートの箱は開いている(大阪府　39歳)

21～40点　夫は洗い物と洗濯ものを干す担当。洗い物は泡が流し切れていない、洗濯はただ干すだけでシワを伸ばしたり一切しません(青森県　39歳)

41～60点　頼んだことはしてくれるけど、自分から気づいて動くことができない。特に料理が苦手 (滋賀県　28歳)

61～80点　頼んだことしかやってくれない。テーブル拭いてと言ったら、拭いた後に箸や取り皿まで並べてほしい (岐阜県　45歳)

＜アンケート結果より＞

河内さん（以下、河内）：妻から指示されているうちは、夫の家事スキルって上がらないんですよね。

編集部：むむ、そうなんですか？

河内さん(以下、河内)：手伝う側(夫)からすると、指示されているうちは、この域出ません。

編集部：自分で考える脳になっていないってことですね。じゃあ、どうすれば？

河内：妻は、夫に任せたことは任せるしかない。トイレ掃除の後、シートの箱の蓋が開いていても妻は閉めちゃダメ。これやっちゃうと夫は気づかないので。

編集部：確かに。

河内：夫が次、トイレ掃除をする時にシートが乾いていて意味ない、と自分で気づいて初めて、蓋を閉めることの大切さを知る、みたいな。

編集部：そこはあえて放っておかないとなんですね…。

河内：あくまで頼んだ家事は、私の仕事じゃないからあなたが最後まできちんとしてよ、と意識を持たせることが大事。

例えば、子どもが漢字を勉強しているとき、書き方を間違えたら大人が口を出して直しちゃうけど、それをしている限り、子どもは一生漢字を覚えない…それと同じことですよね。

編集部：そっか～。文句言いながら、代わりに蓋を閉めちゃ夫のためにならん！ってことですね。

河内：そうです。

編集部：あと、アンケートを読んでみんな同じこと言っているなあと思ったのは洗濯物のシワ問題。

夫はどうして洗濯もののシワとか気にならないの？シンク掃除を頼んだのに排水口掃除はしてくれないの？妻としては言わなくてもそれくらいわかってほしい…という声がたくさんありました。

河内：ああ、男はそこの想像力が弱いんですよね。

男は察するのが苦手。時系列で想定できる結果を伝えてあげた方がイメージしやすい

河内：例えば、夫にこう言います。

「あなたは服のシワが気にならなくても、子どもはこのシワシワTシャツを着て学校に行ったら、からかわれるかも。いじめられたらどうする？あなたの分はいいけど、子どもと私の分はきちんとシワを伸ばしてから洗濯物を干してほしいの」
そう言えば夫も納得するかもしれません。

編集部：そこまで具体的にイメージを伝えるっていうことですね。

河内：排水口掃除も、排水口は見えづらいから気づかないと思うけど、時間が経てば経つほど掃除の手間がかかるもの。

「今やれば5分で済む掃除が1週間たてば10分かかる、1カ月経てばその4倍汚れをきれいにするのに手間がかかるのよ、どう思う？臭いだって気になるでしょ」って。

編集部：なるほど。そのくらい伝えたらわかってもらえそう。でもそこまで言わなきゃいけないのか～と思うと面倒です。

河内：面倒だと思います。でも最初はみんなそんなもの。妻だって最初から家事が完璧にできていたわけじゃなく、やっていく中でこうすると後がラクになる、と学んできたはず。毎日培ったスキルだと思うんですよ。

編集部：確かにそうかも。
今は妻の方がスキルは上だけれど、低かった時代はありますね。

河内：学校の先生が子どもに教えるような感じで、手間だけど夫に伝えてあげてほしい。あと、伝え方にもポイントがあります。

男はプライドが高いから、「できてないよ」って言われると次やらなくなる

河内：まず、ダメ出しは厳禁です。男はプライドが高いから「できてないよ」って言われると次にやらなくなる。

編集部：ああ、やっぱり。

河内：言い方も大切で、「ここ、こうするともっとよくなる、あなたの仕事の出来栄えが変わるよ」って。おだてるような声掛けも重要かも。面倒くさいけど、この積み重ねが、夫の家事レベルの向上につながるんだと思います。

編集部：ちなみに、今まで家事をやってこなかった夫はもう手遅れだと思いますか？

河内：結婚10年目であってもできないことはないと思います。
ただ、夫婦の価値観が固まっていると思うので、「明日から家事やってね！」って言っても難しいかもしれません。
まずは、家事をやってほしいと、夫婦で会話を始めることが大切。

編集部：確かに会話が大切ですよね。そうはいっても、なかなか会話する余裕もないかも…。

自分に余裕がないとできないので、自分に余裕を持たせることも大事

河内：夫に家事をしてほしいのは、自分の手が回らないからだとすると、ついピンポイントで家事を頼み、出来栄えが悪くてイライラ…。優しく教える余裕なんてないですよね。

編集部：ないです。教えているくらいなら自分でやった方が早いってなる。

河内：だから、夫に家事を教える必要があるときは、教える側に余裕を作る必要があるんですよ。

編集部：余裕、作りたいのはやまやまですけど。

河内：妻は、やらなくていい家事をやめてみる。料理の品数を減らしてみる。毎日布団干したり、シーツを洗っている人は毎日するのをやめて、週末だけやるようにする。やめていいことって結構あるはずですよ。

あとは最新家電に頼る。例えば、洗濯はドラム式にして干すのをやめる。

編集部：家電に頼る、いいですね～。

気にならない所の家事を夫にまるっと任せる

編集部：あとは、夫に任せるとは言っても、どうしても掃除の出来栄えが気になって見逃せない時はどうすればいいですか？たとえば、夫は排水口の掃除が甘くて、私は匂いが気になってしょうがない、みたいな…。

河内：自分のこだわりが強い所は自分が担当。気にならない所を夫にまるっと任せる。

編集部：なるほど。

河内：夫がどんなに上達しても、妻の満足には届かないかもしれません。夫の満点が妻の100点とは限らない。

それなら、洗濯もののシワが気になるなら自分で洗濯ものはする、床のほこりなんかはあまり気にならないなら、床掃除は夫に任せる。譲れるところと譲れないところを見極めるのが重要かも。

編集部：分担制いいかもですね。

買い物させるなら、家計管理まで共有したほうがいい

編集部：あとですね。夫の変な方向での完璧主義への不満もよく聞くんです。
夫に料理を頼んだら有機野菜のにんじん買ってきた、高い調味料買ってきてビックリ…、道具が揃ってないとできない、なんて声も。

河内：夫はよかれと思って買っているんだと思いますよ（苦笑）。多分、家計の管理をしていないから、高い物を買う、余計なものを買ってしまうんじゃないでしょうか。

編集部：確かに。高いものを買ってほしくなかったら「〇〇を〇〇円で買ってきて」と細かく指示を出さないといけないけど、それだといつまでたっても妻はラクにならない。
自分で判断して上手に買い物するようになってほしいです。

河内：家計までコミットしてもらわないと、自主的に買い物の工夫なんてできないでしょうね。

このコミットって日ごろの会話が大事なんですよ。今月の収支知らなかったら「今月食費5万円以上かかってどうしよう…」って言っても、「すごいね～」で終わってしまう。

編集部：そうですね。
でも、今回のアンケートでも点数が低い人の声は、会話も諦めてそうなコメントが目立った気がします。

20点以下　ゴミを出す以外何もしない。玄関にまとめてあるゴミを持っていくだけで、ゴミの日が何曜日かも知らない (愛知県　47歳)

20点以下　何がどこにあるのか理解する気がない。○〇のお皿を出してって言っても分からず、子どもがパパに教えてあげている。洗濯機の使い方も何度教えてもちゃんと使えず。毎度のことなのに言わないとできないし、言ってもあまりできない (兵庫県　44歳)

21～40点　ゴミの分別がいまだできない。ペットボトルをつぶして捨ててと言ってもそのままゴミ箱に捨てる、洗わないで捨てる、飲んだら飲みっぱなし。トイレットペーパー、ゴミ袋、洗剤等の補充をしない(神奈川県　39歳)

41～60点　何もしないんですが、手伝ってくれるときは文句も言ってくるので何もしてくれない方がラク　(神奈川県　46歳)
＜アンケート結果より＞

夫の家事スキルに対する満足度を聞いたけれど 実は夫そのものへの満足度が見えちゃったかも

河内：これ、もともと家事スキルが低いうえに、夫婦関係で減点されていますね。おそらくこの点数は、家事スキルの基礎点＋夫婦仲の加点も含まれた数字な気がします。

編集部：え？夫婦仲の加点ですって!?


夫の家事の点数は、実はスキルだけによるものではない!?次回は、気になる夫婦関係にも着目し、どうすれば夫の家事スキルが向上するのか、ブロガー河内さんと一緒に考えたいと思います。

【回答者】
主夫ブロガー
河内　瞬さん

元はバリバリ商社マンの主夫。妻、娘2人(中3・小5)の4人暮らし。著書『主婦をサラリーマンにたとえたら想像以上にヤバくなったマンガ』(主婦の友社）

イラスト／河内　瞬　取材・文／西田有紀　企画／サンキュ！コメつぶ編集部