【管理栄養士監修】「鰯(イワシ)」の主な栄養素とカロリーまとめ!おすすめの調理方法は?
2020/10/27
鰯(イワシ)は、地域や種類によって異なりますが、関東では夏が旬とされています。さまざまな栄養素が含まれ、健康効果が期待できます。
この記事では、イワシの主な栄養素と得られる効果、おいしく食べられるレシピをご紹介します。イワシのおいしい食べ方を知って、日々の食卓に取り入れてみてはいかがでしょうか。
イワシの種類
イワシは日本のまわりでよく獲れる魚の一種で、お刺身や塩焼きのほか、各地の郷土料理でも多く使われています。現在、日本で流通しているイワシは主に3種類です。
脂ノリがよくうま味が凝縮された「マイワシ」はお刺身に、脂が少なく小型の「ウルメイワシ」は煮干しや干物に向いています。また、ほっそりとした小さめの体型が特徴の「カタクチイワシ」は、アンチョビやオイルサーディンなどに加工されたり、稚魚がしらすとして食べられています。
イワシのカロリーと栄養素
イワシは脂肪分が多く、魚のなかでは高カロリーです。生のマイワシの場合、100gあたりのカロリーは169kcalです。
また、イワシにはさまざまな栄養が含まれています、マイワシ100gあたり、カルシウムが74mg、ビタミンDが32.0μg、不飽和脂肪酸が4.39g、カリウムが270mg、リンが230mgです。
イワシの栄養素
・カルシウム
・ビタミンD
・不飽和脂肪酸
・カリウム
・リン
イワシの栄養素1:カルシウム
カルシウムは、骨や歯の構成成分で、健康な体づくりには欠かせない栄養素です。カルシウムを上手に摂取すると、骨粗しょう症の予防、精神を安定させるなどの効能が期待できます。
とくに発育期の子ども、妊婦、高齢者は、カルシウム不足により骨の発育障害や成長不良などを引き起こすこともあるため、積極的に摂取したい栄養素と言えるでしょう。
イワシの栄養素2:ビタミンD
ビタミンDは、カルシウムの吸収を促して骨を丈夫にする栄養素です。ビタミンDは、紫外線を浴びることによっても、体内で作られます。そのため、日光に当たる機会が少ない人や日焼け止めを日常的に使用している人などは、意識して食事からビタミンDを摂取する必要があります。
ビタミンDが不足すると、骨が弱くなったり筋力が低下することがあるので、ビタミンDの栄養素を豊富にとれるイワシは、美容と健康によい食品と言われています。
イワシの栄養素3:不飽和脂肪酸
不飽和脂肪酸には、一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸があります。多価不飽和脂肪酸のなかには、体内で合成されない必須脂肪酸もあり、食品から摂取する必要があります。イワシには、多価不飽和脂肪酸のDHAやEPAが多く含まれ、悪玉コレステロールを低下させて、動脈硬化を防ぐ効果が期待できます。また、血液中の中性脂肪も低下させることから、特定保健用食品(トクホ)にも利用されています。
イワシの栄養素4:カリウム
カリウムは細胞の状態や血圧を調節しながら、体を良好な状態で維持する役割のある栄養素です。カリウムは高血圧を防ぐ役割があり、むくみを解消するとも言われています。
カリウムは、カルシウムが骨から分解されたり、尿へ排泄されるのを抑える働きから、骨粗しょう症の予防効果にも期待できます。
イワシの栄養素5:リン
リンは骨や歯の正常な発達に不可欠な成分で、カルシウムとともに体を丈夫にする働きがあります。リンとカルシウムの摂取比率はほぼ同量が望ましいとされています。
リンが不足すると脱力感や筋力の低下、溶血などの症状が出る可能性があります。しかし、リンは多くの食品に含まれるため、不足することはほとんどないでしょう。
イワシはダイエットに効果がある?
イワシに含まれる不飽和脂肪酸であるDHAやEPAには、血液中の中性脂肪やコレステロールを低下させる働きが期待できるため、ダイエットに適した食材と言えます。
ただし、魚のなかではカロリーが高いほうなので、食べすぎには注意が必要です。ほかの食材とのバランスを保ちながら、栄養素を上手に摂りましょう。
イワシを使ったおすすめのレシピ
イワシ料理は、昔から日本で親しまれています。味つけや手順も簡単で、一度覚えてしまえば家族に喜ばれるレパートリーになるでしょう。
ここからは、3つのイワシを使ったレシピをご紹介します。ぜひ試してみてはいかがでしょうか。
イワシのおすすめレシピ1:イワシの塩焼き
塩焼きは素材のおいしさを生かせるメニューです。
調理法はシンプルですが、最初の下ごしらえをきちんとしておくことで、うま味と栄養素をギュッと閉じ込めます。ごはんのおかずやお酒のおつまみにもおすすめです。
イワシのおすすめレシピ2:鰯(いわし)の生姜煮・煮付け
イワシの下処理は、切り身を使えば手間が省けます。生姜と酒をきかせた一品です。
煮汁を少し濃いめに煮詰めると、ごはんにぴったりです。冷蔵庫で3日、冷凍だと1カ月保存が可能です。
イワシのおすすめレシピ3:簡単ヘルシー。いわしのはんぺんバーグ
調味料をあまり使わなくても、イワシのうま味が詰まった一品料理に仕上がります。はんぺんを合わせることで食べ応えが増します。お子さんのお弁当のおかずにもおすすめです。
レシピではオーブンを使っていますが、フライパンでもおいしくつくれます。盛りつけを工夫すれば、お客様へのおもてなし料理としても使える万能なメニューです。
イワシをおいしく食べよう!
イワシはほぼ1年を通して市場に出回っていますが、梅雨に入ってから旬を迎える夏の魚です。秋になると脂のノリがさらによくなり、おいしくなるとも言われています。
スーパーや鮮魚店で購入するときには、目がきれいで丸々と太っているものを選びましょう。また、イワシの栄養素をあますことなく摂取するためには、揚げたり、酢を加えて長時間煮込むなど、骨までやわらかくして丸ごと食べるのが理想的です。
ぜひおいしいレシピで食卓やお弁当に取り入れてみましょう。
監修者ミニコラム:イワシは大衆魚?高級魚?
イワシは、世界各国の沿岸を回遊している魚で、日本での魚介類の中では、サバ類に次いでトップの漁獲量を誇ります。令和元年で約50tもの漁獲量があるイワシですが、昭和63年のピーク時には現在の約9倍(450t)も獲れたことから、とても安価な魚だったようです。
ところが、それ以降は急に獲れなくなってしまい、一番漁獲量が少なかった年には、高級魚並みの価格になったのだとか。
冬季の低気圧や潮流が海洋環境の変化に関係しているとみられて、その影響もあってか、イワシの漁獲量は、数十年単位で変動を繰り返すと考えられています。
これから数年くらいの間で、漁獲量が回復して、毎日でも食卓に取り入れやすくなってくれることを期待しましょう。