【管理栄養士監修】「ふぐ」の主な栄養素とカロリーまとめ!おすすめな調理方法は?
2021/02/02
高級食材として知られるふぐですが、じつはダイエット向きの食材でもあることはご存じでしょうか。低カロリーでありながらタンパク質やミネラル、ビタミンなども豊富に含まれており、栄養価の高い機能的な食材です。さまざまな料理法で、ふぐをおいしく食べましょう。
ふぐの種類
高級魚として知られるふぐですが、世界には100種類以上、日本近海でも約50種類のふぐが存在します。そのうち、日本で食用として許可されているふぐは22種類(うち3種類は地域限定)です。
トラフグ、シマフグ、マフグ、アカメフグ、ショウサイフグといった種類がなじみのあるフグではないでしょうか。フグの内臓や血液などには毒が含まれていて、種類ごとに、身(筋肉)、皮、白子(精巣)の中から、安全に食べられる可食部位が定められています。
ふぐのカロリーと栄養素
代表的なフグの種類であるマフグは、身と白子が可食部とされています。マフグ(白子を含まない)のカロリーは、可食部100gあたり84kcalで、ダイエット食としておなじみの食材である若鶏のささみが100gあたり約110kcalなので、低カロリーな食材と言えます。
ふぐの主な栄養素はたんぱく質で、皮の部分には豊富なコラーゲンも含まれています。ほかにも、カリウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、ナイアシン、ビタミンD、ビタミンB12など、さまざまな栄養素を含んでいます。
ふぐの栄養素
・カリウム
・ナイアシン
・鉄
・亜鉛
・たんぱく質
ふぐの栄養素1:カリウム
カリウムは細胞の状態や血圧を調節しながら、つねに一定したよい体の状態を維持する役割のある栄養素です。ナトリウムの体外への排出を促進して、高血圧を防いだり、むくみを解消する効果があります。
近年の食生活の変化やナトリウムの過剰摂取などにより、カリウムの摂取は重要視されています。
また、カルシウムを骨に蓄積する効果を高めてくれるともいわれているため、骨粗しょう症の予防効果も期待できます。
WHO(世界保健機構)のガイドラインでは、成人の血圧と心血管疾患、脳卒中、冠動脈性心疾患などの生活習慣病のリスクを減らすために、カリウムの摂取量を増やすことが強く推奨されています。
ふぐの栄養素2:ナイアシン
ナイアシンは、体内にいちばん多く存在する水溶性ビタミンで、体内で酸化還元酵素の補酵素の構成成分として働き、糖質、脂質、タンパク質をエネルギーに変えるときに必要な栄養素です。また、肌や粘膜の健康を保つ働きもあります。
欠乏すると皮膚炎や下痢、精神神経障害などを引き起こすと言われています。
ふぐの栄養素3:鉄
鉄は、体内で半分以上が血液中のヘモグロビンの構成成分として存在し、全身に酸素を運ぶ重要な働きをします。
月経や妊娠・出産のある女性は、体内から鉄が失われやすいため、男性より必要量が多くなります。成人女性の5人に1人が鉄欠乏性貧血と言われていることからも、積極的に摂取する必要があります。
ふぐの栄養素4:亜鉛
亜鉛は、新陳代謝に関わる酵素の成分になったり、タンパク質の合成などに関わる働きがあります。
古い細胞を分解し、新しい細胞を合成することから、成長期には欠かせない栄養素の1つです。亜鉛が不足すると、肌荒れや味覚障害、免疫力の低下、亜鉛欠乏による貧血などがを引き起こすと言われています。
ダイエットなどで食事量が少ない状態が続くと、とくに不足しやすいため注意が必要です。
ふぐの栄養素5:たんぱく質
たんぱく質は、体内で筋肉や臓器、皮膚や髪、血液や酵素などの材料となって、体をつくります。酵素・ホルモンなどの元となるほか、栄養素を運搬したり、エネルギー源としても重要な三大栄養素の1つです。
近年ではダイエットをする際のたんぱく質摂取の重要性が唱えられており、ダイエットなどで食事量が減ると不足しやすいため、意識して摂取するようにしましょう。
ふぐはダイエットに効果がある?
ふぐは高たんぱくでありながら、低カロリーな食材です。また、食べたものをエネルギーに変えるために必要なミネラルやビタミン類も含まれています。
カロリーをあまり気にする必要がなく、不足しやすい栄養素をとることもできるため、ダイエットに役立つ食材と言えるでしょう。
おすすめのふぐの食べ方
美味で栄養価の高いふぐですが、おすすめの食べ方はやはり鍋でしょう。昆布ベースの出汁にふぐの切り身や骨、季節の野菜、豆腐などのお好みの具材を加えて火にかけると、ふぐの旨味だけでなく、野菜からも旨味が出てくることで味わい深いおいしさが楽しめます。
鍋の具材に火が通ったら、ポン酢でいただくと相性がよいでしょう。また、鍋の〆には余った汁を使って溶き卵とごはんを煮込んだ、旨味たっぷりの「おじや」もおすすめです。
ふぐをおいしく食べよう!
鍋や唐揚げのほかにも、刺身や皮の湯引き、干物の焼き物といった定番の料理から、カルパッチョやムニエル、オイル漬けまでさまざまな味わい方があります。
昔から高級魚として知られており、栄養価が高くカロリーは控えめなふぐを、ぜひおいしく食べましょう。
監修者ミニコラム:「てっちり」や「てっさ」の通称の由来とは?
ふぐを食べると毒に当たって死ぬことをしゃれて、「たまに当たる/当たると死ぬ」ということから、鉄砲(テツ)=ふぐのことを表す言葉として使われるように。ふぐ食禁止令が出されていたこともあり、江戸時代では全国で隠語として使われていたそう。
それぞれの単語の頭文字取り、
・鉄砲の刺身→ てっさ
・鉄砲のちり鍋(水炊き)→ てっちり
・鉄砲の皮の湯引き→ てっぴ
と呼ばれるようになったのです。
食用フグの産地で有名な下関では高級魚のふぐを福とかけて「フク」と呼びますが、毒に当たって死んだり苦しむことから、棺桶を意味する「ガンバ」、十転倒がなまった「ジュッテントン」、縁起の悪い「キタマクラ」などの名が各地に多く存在しています