例文あり!転職エージェントの内定辞退は可能!しつこい理由や伝え方も解説
2022/04/25
転職エージェント経由で内定を順調に獲得……いくつかある内定からよりいい会社を選びたいと思っても「内定辞退なんてできるの?」「伝え方がわからない…」と悩まれるかたも多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、内定辞退について、業界の裏情報まで含め分かりやすく解説している転職情報メディア『Career Theory』の編集部に解説してもらいます。
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執筆: CareerTheory編集部
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1.転職エージェント経由でも内定辞退はできる
転職エージェント経由で転職をしている場合、「内定を断ったらエージェントに申し訳ない…」「内定辞退は気まずいし、拒否されないか不安…」という思いから、内定辞退を戸惑ってしまうこともあるでしょう。
内定辞退をすることは、たとえ転職エージェント経由の転職であっても問題ありません。
しかし、内定承諾後の内定辞退については注意が必要なこともあります。
ここでは、転職エージェント経由での転職でも内定辞退ができる理由について解説します。
損害賠償請求についてもくわしく解説しているので、参考にしてください。
最終的な意思決定は転職者本人が決める
転職エージェント経由の内定を辞退できる理由として、転職するかどうかの最終的な意思決定をする権利は、転職者本人にあることがあげられます。
転職活動を通して「やっぱり現職のままでいたいな」と思った場合は、転職しないという選択も可能です。転職エージェントはあくまでも、転職希望者に対して条件に合う求人を紹介することが仕事です。
複数の内定を断ることもできる
転職活動を進めていく中で、複数の企業から内定を得られるという場合もあるでしょう。
内定は複数社からであっても、自分の理想の条件と合わなければ辞退することも可能です。
実際に人材紹介会社のエン・ジャパンが、選考辞退の経験がある人に対して行った調査によると、選考を辞退したことがある人は全体の70%近くにもなっています。
以上のことから、たとえ複数の企業からの内定であっても、内定辞退しても問題ないと言えるでしょう。
損害賠償を請求される可能性はかなり低い
転職の内定辞退を考えた際に「損害賠償を請求されたらどうしよう」と不安になることもあるでしょう。
結論から言えば、内定辞退に対して企業が損害賠償を請求した事例はあるものの、内定承諾前の内定辞退であれば、可能性はかなり低いと言えます。
実際に内定辞退を巡って、企業が個人に対して損害賠償請求を行った事例としては「アイガー事件」が有名です。
■アイガー事件とは
【概要】
平成23年にY社が新卒者Xの内定辞退に対して、損害賠償請求を行った事案。
Xは内定済みのY社の入社前研修の際、課長の発言等に不信感を覚え研修後に内定辞退を行った。
これに対しY社は、Xの内定辞退を著しく信義に反した不法行為又は債務不履行として損害賠償請求を求めた。
「参考:https://www.zenkiren.com/Portals/0/html/jinji/hannrei/shoshi/90001.html」
この事件の最終的な判決は以下の見解に基づき、企業の請求を棄却する命令が下されています。
【見解】
内定辞退の申入れは、信義則上の義務に著しく違反する態様で行われたとまではいい難く、Xは債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償請求を負うものではない。
「参考:https://www.zenkiren.com/Portals/0/html/jinji/hannrei/shoshi/90001.html」
つまり、判例として「信義則上の義務に著しく違反する態様」でない限り、内定を辞退することは法律上なにも問題がないことが示されています。
しかし、以下の場合には「信義則上の義務に著しく違反する態様」として、損害賠償請求が認められる場合も考えられるため、注意が必要です。
・内定承諾後の入社日直前になって内定を辞退した
・内定承諾後、入社日になっても出社せず連絡も取れない
上記の状況に対して実際に損害賠償請求が認められたという判例はありませんが、明らかに転職者側に非がある場合は認められる可能性も否定できません。
内定承諾前に内定辞退をしただけで損害賠償を請求される可能性は低いですが、内定辞退の連絡すら入れずに逃げるなどはやめましょう。
内定承諾後の辞退はリスクが大きい
転職エージェントの内定辞退を伝える時期として、内定承諾後に行うことは避けた方がいいでしょう。理由としては、内定承諾後の内定辞退は「信義則上の義務に著しく違反する態様」として損害賠償を請求されてしまう可能性もあるからです。
ただし、人材紹介会社のエン・ジャパンが発信する「人事のミカタ」では、以下のような見解も示しています。
つまり、内定承諾後の辞退は労働契約の解除となるため、退職と同様の扱いになるということです。
しかし、実際の判例等がまだないだけでなく、どちらにせよ担当してくれている転職エージェントにも多大なる迷惑をかけることにもなるため、避けた方が無難です。
トラブルを避けるためには内定辞退を早く伝えることが大切
内定辞退でのトラブルを避けるためには、内定承諾の前後に関わらず、辞退を決めた段階でなるべく早く伝えることが大切です。
内定企業への迷惑を避けるためにも、内定辞退の連絡については、最低限、以下のスピード感を持って行動することが必要です。
・内定承諾前なら、承諾書受取から3日以内
・内定承諾後なら、即時対応
転職エージェント経由での転職の場合は、担当のエージェントになるべく早く連絡を入れましょう。
2.内定辞退は理由・謝罪・連絡方法が大切!
転職エージェント経由の転職において内定辞退を行う場合は、何よりも伝え方が大切です。
いくら内定辞退が可能だからといって、転職エージェントに対して適当な態度で連絡してしまうと担当エージェントからの心証を悪くしてしまうことにもなりかねません。
ここでは、内定辞退を転職エージェントに伝える際のポイントについて解説します。
内定辞退の理由を明確に説明する
企業への内定辞退の連絡に関しては「内定辞退の理由をわざわざ言う必要はない」という情報も見られます。
しかし、転職エージェントに対して内定辞退の連絡を行う際は、明確に辞退理由を説明した方がいいでしょう。理由としては、以下の2つが挙げられます。
・辞退理由を次に紹介する案件に活かしてくれる
・しつこく引き止められることを予防できる
以下でくわしく解説します。
辞退理由を次に紹介する案件に活かしてくれる
転職エージェントに内定辞退の理由を明確に説明しておくことで、内定承諾前であれば、次に紹介してくれる案件に活かしてくれる場合もあります。
たとえば、辞退理由が「内定通知書に記載の給与が想定よりも低かった」という場合には、より年収が高い案件を探してくれたり、企業側と条件面での交渉を行ってくれたりもするでしょう。
理想的な求人と出会うために転職エージェントが協力してくれることもあるため、内定辞退の際は理由をしっかりと説明することがおすすめです。
しつこく引き止められることを予防できる
内定辞退の理由をしっかりと説明することで、しつこい引き止めを予防することも可能です。
詳しくは「内定辞退を伝える際に引き止められたら担当者を変更する」でも解説していますが、転職エージェントの中には内定辞退をしつこく引き止めてくる人もいます。
理由をしっかりと説明できないとエージェント側も納得してくれず、なんとか内定辞退をやめさせようと食い下がられる場合もあるでしょう。
しっかり謝罪する
転職エージェントに内定辞退を申し入れる際は、しっかりと謝罪することも大切です。転職エージェントはあなたの転職活動を支援するために、以下のような作業を行ってくれています。
・キャリアカウンセリングや悩み相談
・カウンセリング内容から合う求人を探す
・企業側にあなたを提案し、推薦する
転職エージェント側からすれば内定辞退をされるということは、これらの努力がムダになることでもあります。
気を遣って内定を承諾する必要はありませんが、がんばってくれたことに対するお礼や謝罪はしっかりとしておきましょう。
あまりにも適当な態度で内定辞退をしてしまうとエージェントとの関係性も悪くなり、求人紹介の優先順位を下げられてしまうこともあるため、注意が必要です。
連絡は電話でもメールでもよい
内定辞退の連絡方法については、担当のエージェントや企業の立場を考えるのであれば、電話で伝えた方が親切です。
しかし、エージェントが不在な場合や「直接、内定辞退を伝えるのは気まずい…」と感じてしまう場合は、無理に行う必要はありません。
電話であってもメールであっても、誠心誠意、感謝や謝罪を行えば納得して貰える可能性は高いでしょう。連絡を行う際のくわしいポイントについては、後述します。
3.転職エージェントへ内定辞退を伝える例文集
それでは、実際に転職エージェントに内定辞退を行う際の例文を紹介します。転職エージェントに内定辞退を伝える際は、内定承諾の前後にかかわらず、以下の2点を盛り込むことが大切です。
・辞退するに至った明確な理由
・担当エージェントに対する感謝や謝罪
上記を踏まえたうえで、内定承諾前と後では以下のポイントにも気をつけましょう。
・内定承諾前:今後も転職活動を続けるのかを明記する。
・内定承諾後:内定辞退だけでなく、内定承諾後の辞退についても謝罪する。
以上の点を踏まえて、電話とメールそれぞれの例文を見ていきましょう。
電話で伝える際の例文
まずは、電話で内定辞退をする際の例文を紹介します。内定辞退をする場合は、内定承諾前と内定承諾後で辞退理由に違いもあるでしょう。
以下は、人材紹介会社のエン・ジャパンが発信している「人事のミカタ」が内定承諾前の辞退理由について調査した結果です。
上記の調査の通り、内定承諾前の内定辞退の理由としては「勤務地・給与などの条件の折り合いがつかなかった」が46%といちばん多いです。
ここでは、内定承諾前に条件面を理由に内定辞退する際の例文を紹介します。
【内定承諾前の内定辞退の例文】 いつもお世話になっております。 転職の仲介をしていただいております〇〇です。 今回は先日ご紹介頂きました株式会社〇〇の内定を辞退したく、ご連絡致しました。 理由としましては、〇〇社よりご提示いただいた年収がこちらが希望していた年収よりも低かった点を踏まえ、もう少し転職活動を続けたいという思いが強くなったからでございます。 〇〇社には大変魅力を感じており、年収以外の点について素晴らしい会社だと感じておりました。 しかし、今後、家庭を築いていくことなどを考えると、年収は妥協できない点であると判断致しました。 〇〇様にはご尽力いただいており、大変感謝しております。 また、このような結果になってしまい申し訳ございません。 転職活動自体は今後も続けていきたいと考えておりますので、またご相談させていただければ幸いです。
上記のように、明確な理由を述べるとともに、感謝や謝罪、今後も転職活動を続けるかどうかにおいてもしっかりと明言することが大切です。
また、内定承諾後に「別の転職エージェント経由でよりよい企業からの内定が出た」という理由で内定辞退をしたい場合もあるでしょう。
そのような場合においても、内定辞退の明確な理由や感謝などを伝えることが大切です。
具体的には、以下の例文を参考にしてください。
【内定承諾後の内定辞退の例文】 いつもお世話になっております。 転職の仲介をしていただいております〇〇です。 今回は先日ご紹介頂きました株式会社〇〇の内定を辞退したく、ご連絡致しました。 内定承諾後の辞退となり、大変非常識であるということは承知しております。 しかし、ご紹介頂きました企業と同時期に選考を進めていた企業からも内定を頂き、そちらの企業で頑張ってみたいと決意致しました。 〇〇様にはご尽力いただいており、大変感謝しております。 また、このような結果になってしまい申し訳ございません。 本来なら直接お詫びに窺うべきところですが、取り急ぎお電話でのご連絡をさせて頂きました。
ポイントとしては、内定承諾後の辞退についてしっかりと謝罪することです。
内定承諾後の内定辞退は、内定企業だけでなく転職エージェントにも多大なる迷惑がかかります。誠心誠意お詫びをし、内定辞退を納得してもらいましょう。
メールで伝える際の例文
メールでの連絡を行う場合は、電話と同様の流れを意識し、メールでの連絡に対してのお詫びも忘れないようにしましょう。
内定承諾前と内定承諾後の例文をそれぞれ紹介いたします。
【内定承諾前】 件名:〇〇株式会社(内定先の会社名)のご連絡とお詫び 〇〇株式会社(転職エージェントの会社名) 〇〇様(担当エージェントの名前) いつもお世話になっております。 転職の仲介をしていただいております〇〇(自分の名前)です。 先日ご紹介いただきました、株式会社〇〇の内定ですが、今回は辞退したくご連絡を差し上げました。 理由としましては、こちらが想定する年収よりも提示された年収が低いためです。 〇〇様のご尽力には大変感謝しておりますが、今後の将来のため、年収は妥協したくないという思いが強くあります。 転職活動は今後も続けていきたい所存ですので、今後ともご相談させていただければと思います。 取り急ぎメールでのご連絡失礼致しました。
転職エージェントは人材紹介会社が行うサービスの1つではありますが、担当エージェントも人間です。たとえメールであっても誠意のある謝罪や、感謝を述べることは大切です。
過度にへりくだる必要はありませんが、相手の気持ちも考慮することで、内定辞退をしても良好な関係を維持することができるでしょう。
また、内定承諾後の内定辞退については、下記の通りです。
【内定承諾後】 件名:〇〇株式会社(内定先の会社名)のご連絡とお詫び 〇〇株式会社(転職エージェントの会社名) 〇〇様(担当エージェントの名前) いつもお世話になっております。 転職の仲介をしていただいております〇〇(自分の名前)です。 先日ご紹介いただきました、株式会社〇〇の内定ですが、今回は辞退したくご連絡を差し上げました。 内定承諾後の辞退となり、大変非常識であるということは承知しております。 誠に申し訳ございません。 主な理由としましては、かねてより並行して選考を進めていた企業からも内定を頂いたからでございます。 社風や職務内容などが、株式会社〇〇よりも自分の理想とする環境であると感じております。 〇〇様(担当エージェントの名前)にはご尽力頂き、大変感謝しております。 このような結果となってしまい、申し訳ございませんでした。 また、取り急ぎメールでの連絡となりましたことも重ねてお詫び申し上げます。
電話と同様、内定辞退の明確な理由や尽力してくれたことに対する感謝、辞退に対する謝罪だけでなく、内定承諾後の辞退についてもしっかりと謝罪しましょう。
内定承諾後の内定辞退の場合は、今後も良好な関係を築くということはむずかしいです。
しかし、誠心誠意、謝罪することで、内定辞退を納得してもらうことは目指せます。
4.内定辞退を伝えた際に引き止められたら担当者を変更する
内定辞退を転職エージェントに伝える方法について解説しました。
しかし、転職エージェントの内定を辞退する際は、伝え方以外にも注意が必要です。
ここでは、内定辞退を伝えた際の転職エージェントからの引き止めや、伝える時期などの注意点について解説します。
引き止めがしつこいエージェントもいる
多くの転職エージェントは、内定辞退に至った明確な理由を説明し、誠意ある対応を心がければ納得してくれます。
しかし、なかにはあなたの内定辞退をやめさせようとしつこく引き止めてくるエージェントもいます。転職エージェントが内定辞退をしつこく引き止めてくる理由は、以下の3つです。
・転職者が内定しないと利益が発生しなくなるから
・紹介先企業との関係が悪化する恐れがあるから
・担当者に課されているノルマから遠のくから
ひとつずつ、くわしく見ていきましょう。
転職者が内定辞退しないと利益が発生しなくなるから
転職エージェントは人材を紹介することで、企業から紹介料をもらい、利益をあげています。
つまり、転職希望者が企業に入社しない限り、転職エージェントの利益になることはありません。
転職希望者が内定辞退してしまうと、転職エージェントが利益を上げる機会を損失してしまうことになります。
エージェントの中には、利益が失われてしまうことを避けるために内定辞退をしつこく取り下げようとしてくる人もいるのです。
紹介先企業との関係が悪化する恐れがあるから
転職エージェントは転職者だけでなく、実際にお金を支払う企業との関係性も重要です。
内定辞退の中でも、内定承諾後の内定辞退の場合には、転職エージェントと企業の信頼関係が特に悪化する可能性が高いでしょう。
企業側から「せっかく内定を出しても、また内定辞退をされてしまうのでは?」と思われてしまい、別の転職エージェントに乗り換えられてしまう危険性もあります。
エージェントの中には、このような企業との関係悪化を恐れて、しつこく内定辞退を取り下げようとしてくる人もいます。
担当者に課されているノルマから遠のくから
転職エージェントの中には、エージェント一人ひとりに売上ノルマを課している企業もあります。転職者から内定辞退をされてしまうと、売上が立たず、ノルマが達成できない場合もあるでしょう。
ノルマが達成できないと、自身の会社での評価が下がったり、上司に責められたりすることもあるため、必死に辞退を止めようとしてくる人もいます。
内定承諾前であれば担当者を変えてもらう
もし、内定承諾前にしっかりと辞退理由を説明し、謝罪したにも関わらず、エージェントがしつこく食い下がってくる場合は、担当者の変更がおすすめです。
転職エージェントでは、運営側に連絡することで担当者を変更することも可能です。あまりにもしつこい場合は、運営を通じて担当エージェントの変更を依頼しましょう。
内定承諾後の場合は違う転職エージェントを利用する
内定承諾後に内定辞退をした場合は、違う転職エージェントの利用がおすすめです。
なぜなら、いくら誠心誠意謝罪したとしても、信頼関係を回復することまでは不可能だからです。
場合によっては、転職エージェント側から「今後の取引は行えません」という旨を伝えられることもあるでしょう。
どちらにせよ、今までと同等のサービスを受けられることは期待できないため、新しい転職エージェントを利用した方が賢明です。
5.まとめ | 転職エージェント経由の内定辞退はよく考えてから!
今回は、転職エージェントの内定辞退についてくわしく解説しました。たとえ転職エージェントを利用した転職であっても、内定辞退をすることは可能です。
しかし、以下の点に注意することも大切です。
・内定辞退の理由を明確に説明する
・しっかり謝罪する
・連絡は電話がおすすめ
とくに内定辞退の理由を明確に説明することは、次回の求人紹介に活かしてくれることにも繋がります。
内定辞退をする際は、「本当はどんな求人と出会いたいのか」をじっくり考えてから伝えることを意識しましょう。
■執筆・・・CareerTheory編集部
最高の転職を実現するために、転職コンサルタントが業界の裏情報まで含め分かりやすく解説している転職メディア
入社承諾書にサインをした後に、内定を辞退することは「労働契約を解約する」ということになります。こちらは民法において、いつでも解約の申し入れができることになっています。会社に対して解約の意思を伝えてから2週間後には契約が解消されると定められています。