男と女の戦いを持っています。

妻の出世を許せない夫たちの残念すぎる実態

2022/03/29

共働きがあたりまえになった時代、妻が仕事で順調に出世することは家庭にとってよろこばしいことのはず。にもかかわらず、それを快く思わない夫が少なからずいるそうです。

そんな残念な夫の実態について、「恋人・夫婦仲相談所」の所長である三松真由美さんに解説してもらいました。

会員数1万3,000名を超えるコミュニティサイト「恋人・夫婦仲相談所」所長として、テレビ、ラジオ、新聞、We...

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時代錯誤の残念な思考にとらわれている夫は確実に存在する

いまや、すっかり定着した「ワーママ(ワーキングマザー)」という言葉。対してワーパパという言葉はそれほど聞きません。夫が生活費を確保し、妻が家のこと全般をこなすという、昭和の概念がまだ残っているのでしょうが、そろそろ「僕、ワーパパなので17時に会社出ます!」が、違和感なく受け入れられる時代になってもいいのではないでしょうか。

実際、「共働き」「ワーキングカップル」はもはや日本の標準。「2人で稼いで家計を支える」考え方があたりまえですが、時代錯誤の残念な思考にとらわれている夫も確実に存在します。

残念な夫が妻に求めるのは「家事に支障ない程度の働き」「夫の扶養の範囲内でのパート」「男のプライドを傷つけないステイタス」など。もし妻のほうが自分よりも仕事で活躍しようものなら……。

今回は、実際に仕事のできる妻が陥った夫婦の危機の事例に迫ってみましょう。

ケース1:「女性に男性の指導は無理」と断言する夫に失望

議論する男の手
kazuma seki/gettyimages

まず紹介するのは、典型的な“男尊女卑”思考の夫。

幸奈さん(40歳)は小規模アパレル会社に勤務。夫の隆行さん(48歳)は中堅IT企業で働いていて、小学3年生の息子がいます。社内の経理業務を一人で担う幸奈さんは、ボスから絶大な信頼を得ており、先月、管理部チーフへの昇進を打診されました。

ちょうど子どもも1人で留守番ができる年齢になり、ママより友だちと遊ぶ機会が多くなってきたころ。幸奈さん自身も今後の自分のキャリアについて考えていた時期。管理職に挑戦してみたい気持ちになっていました。

そこで会社に回答する前に、夫に管理職の件を相談しました。

「え?君が管理職。絶対やめたほうがいいよ。こき使われても残業代は出ないのに責任だけ増えるし。大体、子どもはどうするんだ。俺はいそがしいからこれ以上、家にいるのは無理だよ。子どもが1人で家にいるのはかわいそうだし、勉強もみてやってほしい。昇進は断ったほうがいいよ」

隆行さんは、子どもを理由に全力で否定。妻のキャリアアップには関心がないようです。
そのうえ「管理職なんて甘いもんじゃないよ。俺だって毎日大勢の部下を抱えて、苦労してるんだから。部下を育てるっていうのは、片手間じゃできない。君に男性の部下の指導なんてできないだろ。部下だって女性上司はやりにくいよ」と時代錯誤の発言も。

自分が管理職であることを理由にマウントをとってくるだけでなく、女性に男性の指導は無理など、セクハラまがいの発言までする夫に、幸奈さんはガッカリしたそうです。

「彼は自分も管理職だから、親身になって相談に乗ってくれたり、経験に基づくアドバイスとともに励ましてくれたりすると期待していたんですが、全然違いました。私が甘かったです。男性って、妻が出世するのが嫌なんでしょうか。妻が偉くなると、自分の優位性がなくなるような気持がするのかしら。彼の心の狭さに引いています」

夫が頼りにならないどころか、むしろ自分のキャリアの障害であると知った幸奈さんは、まずは周囲の人を巻き込むことをスタート。実家の協力を取りつけ、労働時間が増えたとしても、実家で息子の面倒を見てもらえるような体制を整えました。

「会社の昇進に配偶者の了承がいるわけではないのですが、夫を味方に巻き込んでおいたほうが今後も仕事を続けやすくなります。周囲を巻き込んで『昇進NGな理由』をつぶし、彼の自尊心を傷つけないようにしました」

今もちょくちょく「部下を管理するコツ」を夫に教えてもらうなど、積極的に夫に頼り、アドバイスを求めて、夫をヨイショする会話を心がけているそうです。

ケース2:妻が異例の出世、そして自身喪失した夫は……

庭を見つめて考える中年男性
makotomo/gettyimages

続いての紹介するケースは、明確に妻の出世を否定したわけではありません。しかし「仕事で評価される妻」に対して、過剰に反応してしまっている時点で、やはりどこかに時代錯誤な考えがあったのでしょう。

あさみさん(34歳仮名)はメーカーの企画部門に所属。同い年の夫、光輝さん(仮名)も同じ会社で働く共働きカップルです。コミュニケーション能力が高く積極的なあさみさんを、控えめで優しい光輝さんが見守る。2人は、家事も平等にシェアしながら、結婚以来いいパートナーシップを築いてきました。

そんな2人の関係に変化が訪れたのは昨年の春。社長の肝いりでスタートした「女性による商品企画チーム」にあさみさんが選ばれ、そのチームの企画した新商品がその期、最高の売り上げを記録したのです

大ヒットに気をよくした管理職は新規に「女性活躍推進室」を立ち上げ、あさみさんが初代の室長に抜擢されました。課長の平均年齢が43歳というこの会社では異例の出世。女性活躍の象徴としてWEBメディアにとりあげられるなど、あさみさんは一躍「会社の顔」になりました。

しかし、妻のこんな活躍を苦痛に感じていたのが地味な研究部門にいる非管理職の光輝さん。

上司から「嫁に負けんなよ」とプレッシャーをかけられ、自虐ネタで「格差カップル」と笑っていましたが、しだいに自分に自信が持てなくなってきます。

しかし、優しい性格の光輝さんは、妻に不満をぶつけることもできず、なんとなく妻とのコミュニケーションを避けるようになりました。パチンコやネットカフェで時間をつぶして深夜に帰宅し、休日も自分の部屋に閉じこもってばかり。

様子が変わってきた夫のことをあさみさんはこう言います。

「最初は、遠慮なく文句を言いましたよ。だって急に家事放棄したりするし。話しかけても無視されることもあるし。もともと、彼は夫婦げんかすると黙り込むタイプ。

最近おかしいよって理由を聞いても何も言いません。たしかに私のほうが先に管理職になりましたが、仕事内容も違うし関係なくない?って思ってました。

でもそのうち『何をやってもあさみには勝てない』『僕は不要だ』『あさみの足を引っ張りたくない』とか言うようになってきたので、心療内科に連れて行ったところ、軽いうつ病と診断されました。想像以上にガラスのハートだったんだなと思いました。
早く気づいてケアしてあげればよかった」

その後、あさみさんは夫に家事をしてとは言わないようしました。食事はデリバリーですますなど、できるだけ家事の時間をけずり、いっしょにゲームをする、家で仕事の話はしないなどスタイルを替えました。

そして機会があるごとに、自分が仕事をできるのは光輝さんのおかげだと言うように。現在は、光輝さんも前の状態にもどっているとのことです。

妻の出世を認めない夫とは、将来設計を視野にいれた話し合いを!

残念ながら、理由はさまざまだとしても、妻の昇進を歓迎しない夫が一定数いるのは事実。また、どちらのケースも共通して、出世した結果「夫を定期的に立てる」というよけいな労力が生じてしまっています。

それはそれで、夫を納得させるための対策として有効ではありますが、根本的な解決にはなりません。「なぜ夫は喜んでくれないのか」の理由を考えて、キャリアアップについて自分の意見を伝えましょう。

昭和と令和では、経済の事情もまったく異なりますし、長生き時代でもあります。「ライフシフト」をしなければ余裕ある老後がすごせないかもしれないと、将来設計を視野にいれた話し合いに持ち込めば、かたくなな夫も理解を示してくれるかもしれません。


◆監修・執筆/三松 真由美
会員数1万3,000名を超えるコミュニティサイト「恋人・夫婦仲相談所」所長として、テレビ、ラジオ、新聞、Webなど多数のメディアに出演、執筆。夫婦仲の改善方法や、セックスレス問題などに関する情報を発信している。『堂々再婚』『モンスターワイフ』など著書多数。

 
 

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