無添加生活はほどほどに〜子ども時代を振り返り思うこと〜
2024/03/02
こんにちは、サンキュ!STYLEライターのNICOです。
お家の洗剤を全て手放し、ナチュラルクリンネストとして環境にやさしい暮らしを整えています。
ナチュラルなお掃除、サステナブルな暮らしをしていると、向かう先は自然と無農薬無肥料のお野菜だったり、無添加の食品だったり、なるべく自然のままのものを、そんな気持ちにたどり着きます。
私も例に漏れずその一人。
だけどタイトルにもあるように、「無添加」といった食品についてはほどほど……、実はやや積極的ではない事情があります。(というと語弊があるかも?)
もちろんなるべくして無添加の食生活をしていきたい気持ちは大いにあるけど、私には子ども時代の苦い思い出が蘇るのです。
今まで触れたことはなかったけど、こうして文章を書く機会に恵まれたのもきっかけ。
少しほどほど無添加生活のお話しをしてみようと思います。
アトピーと過ごした子ども時代
まずは私の子ども時代の体のことから。
私は産まれて程なく「アトピー性皮膚炎」という皮膚疾患を発症。現代でも悩む方はとても多いですよね。
1歳の誕生日に撮った家族写真は、アレルギー症状によって髪の毛が静電気のように逆立っているんだと、その写真の私を見る度に両親は口をそろえます。私は特になんとも思わずかわいいと眺めていたんですけどね。
そのアトピーという症状は私を長きに苦しめ、高校生の終わり頃までは体のどこかしらに湿疹やかさぶたを拵えたり、痒みやひび割れを引き起こし痛みを伴ったり、今思うとアトピーと共に子ども時代、青春時代を成長してきたような、それ程までに色々な思い出が蘇ります。
小学生の頃は特に膝裏の肌荒れがひどく(この頃が一番悪化していた時代)ケロイドのようにぐちゃぐちゃだった皮膚は今思い出しても最も酷く辛い症状の時期でした。
何よりも、当時スカートが履きたくて仕方なかった私は、ある時はハンカチを広げて、膝裏を隠すように歩いていた記憶もあるほど。
「誰かに見られたくない」
そんな当時の自分の心境を思い出すと今でも胸が締め付けられる思いです。
おもしろいことに、思い出に端々に、その皮膚疾患を「醜いもの」「可哀想なもの」と、ため息をつく母の姿が一緒になって出てくるのです。
私と同じように……、もしくは私以上に母も悩んでいたのだと、今となれば理解が及ぶものの、当時私の荒れた皮膚を見る母の視線や曇った表情、疲弊した姿は、子どもながらにヒシヒシと伝わり、皮膚疾患と同じくらい私を苦しめていたようにも思います。
学校ではどのように過ごしていたかというと、腕や脚を隠すように長袖と長ズボンを着て生きていた私に、春や夏といった季節、さらに「体育の時間」というのは、本当につらいものでした。
当時、あたかい季節の体育の女子はブルマ着用!
嫌でも露わになってしまう膝裏や足の付け根(ここも疾患が多かった)に、恥ずかしさやら劣等感やらで、何度も心を抉られてきました。とはいえ性格は明るく、友達関係も良好だった思い出があるので、私自身が一番皮膚疾患を気にしていたのかもしれません。
そんな傷心で家に帰るわけなのですが、残念ながら私においしいご飯は待っていませんでした。
子ども時代の食生活
同じように思い出すのが食生活。
体に悪いと言われるものは徹底的に排除され、体にいいとされるもの中心の食事。これは子ども心に本当に苦い思い出でした。
お米は、ぼそぼそして硬く、色も黄色い五分付きのご飯。お弁当を持って行くとき、「みんなみたいに白いお米がいい!」と泣きついた思い出すらあります。
もちろん出来合いのおかずはなく、母なりに手作りに懸命になっていたことは大人になってからやっと理解できたものの、見た目や彩りといった部分は母の最も苦手とするところで、お弁当ともなると、周りの子の冷凍食品がちょこっと入ったお弁当がそれはもうキラキラして羨ましくてたまらず、フタで中身を隠して食べるのが常となっていたくらいです。
小学生、中学生の運動会や遠足など楽しいはずのイベントは、私にとっては「はずかしいお弁当がみんなに見られてしまうかもしれない……」といったハラハラする一日だったんです。中身以上に盛り付けなどが大いに関わっていたのですけれどね。
それも高校生になった頃には、友だちと我が家のお弁当に大爆笑するほどに開き直っていました。そして皮膚疾患もだいぶ落ち着いてきていました。
これを書いているうちに気がつきましたが、この頃から私は“人にどう見られるか”という誰かの視線をかなり気にして生きていたのかもしれません。
そんな食生活が毎日続き、子どものお楽しみ「おやつ」がどんなものだったかというと……
「かんぱん」
「味噌おにぎり」
「蒸しパン」
買ってきたようなものはほぼなく、自然食品の店にあしげく通っていた母に同行していた思い出も残ってはいるものの、そこに当時の私が胸躍らすようなおやつは置いていなかったこと、それははっきりと覚えています。
なので、ごくたまに歯を強くする目的の「かみかみゼリー」といったグミのようなおやつが届いた日には、天にも昇るような喜びを感じていた記憶があります。
おいしいお菓子をずっと我慢して過ごしていたのでしょうね。
リバウンド
そんな食生活を繰り返していた私に“小さな経済力”を持つときがやってきます。
それは高校生になって始めたアルバイト。当時PHSが持ちたくて親にバイトを懇願しました。
少しのお給料を手にした私がどうなったかは、想像がつきますでしょうか。
「チョコレート」
「グミ」
「チップス」
「クッキー」
「アイス」
まるでタカが外れたようにお菓子を買い漁るようになりました。
「今まで自由に食べさせてもらえなかった!」というネガティブな反骨精神も重なり、これ見よがしにお菓子を食べまくり、ファストフードやファミレス、今まで食べたいと思っていたあらゆるものを食べたのは、間違いなく子ども時代のストレスの捌け口だったのだと自分でもわかるほど。
その後の20代では外食や友達や彼氏の家で好んで食事をするようにもなり、あまり家に帰りたくなくなっていた、というのは家庭で食べた食事の影響やアトピーを通じての親子関係もあったように思います。
私の求めていた家庭と、私の皮膚疾患を思う母の気持ちは、すれ違って大きな溝を作ってしまっていたのでしょうか。
小学生、中学生、高校生と、毎日のように食べていたはずの「食事」の風景も、今となってはまるで思い出せない不思議な話。きっと記憶のどこかに閉じ込めてあるのだと思います。
振り出しに戻る
さて、そんな私は大人になるにつれ、今まで苦しめられてきた皮膚疾患がどうなっていったのかというと、もうどんな服装をしても恥ずかしくないと思えるほどに、ほとんどがきれいに消え、いつの間にか手荒れや指のひび割れを残す程度となっていたのです。
こんな未来が待っていることがわかったのなら、子ども時代の胸の支えももっと軽くなったのに!
以降、本当に心から楽しい!と思える人生を取り返すように20代では好きなファッションを楽しみ、海外旅行をしたり、まるで羽が生えたように自由な人生をスタートさせたように思います。
最後まで治らなかった手荒れに指のひび割れは、長く勤めた会社を辞めると、睡眠不足やストレスからも解消され、その後の出産によってまた大きく暮らしが変わり、一切の合成洗剤のない生活が始まる頃にはなんの悩みもなくなるほどにきれいになっていたんです。
今は娘9歳、息子5歳と二人の子どもに恵まれ、私も親として子どもの食事や生活を選択していく立場となり、思うのです。子ども達はというと、娘はピカピカのお肌ですが息子は私と同じく、カサカサのアトピー体質。だけど2023年でほぼ完治したように思います。
無添加や無農薬などの『本当のおいしさ』に触れ、一周まわって再び手に取るようになった一方で、子ども達が本当は何を食べたいのか、親からのどんな視線を求めているのか、ということをなおざりにしていないか、といつも自分自身に問います。果たして皮膚疾患と食事は関係あったのか?と疑問も残りますしね。
もちろん親になった私も、“体に良くないものをとってほしくない”という当時の母の気持ちはありありと理解できるようにもなりました。だけど、幼かった自分も忘れません。
今はゆる〜〜く、子どもたちの食べたいお菓子にも寛容、体はもちろん、子どもだった私に足りていなかった「心の健康」「心の栄養」も忘れずに、日々過ごしていきたいと強く思っています。
エシカル、サステナブル、環境にやさしい暮らし、実は全部が同じ。
地球の健康も、自分の体と心の健康も、どちらも大切にする暮らしが今の私のベース。
さまざまな知識が付き、食べるもの、使うものを変えると、こんな声もよく聞こえてきます。
「時々苦しくなってしまうんです」
そんな時はもっと心の声を聞いて。
自分だけじゃなくて家族の心の声も。
ゆるっと、心地よく、完璧じゃなくてもいい。
カップラーメン食べる日があってもいいじゃない。ファストフードに行ったっていいじゃない。
それを食べるときは体じゃなくて、心に栄養を上げていると思って。
その完璧じゃない、とても小さいと思う一歩は、きっと目指す未来へ向いている。
心地いい拠り所が心を満たしてくれる。
一番は自分自身がサステナブルである状態。
この思いが、苦しむ誰かに届いたら、と今回は昔話を綴ってみました。
ちなみに母との関係は現在は比較的良好。
私の胸に残るわだかまりはとれないけど、過去の自分がしてほしかったことと向き合うことで、少しずつ消化しています。驚くことに孫には嘘のようにチョコレートだの飴だのを与えているくらい!
◆この記事を書いたのは・・・NICO
環境にやさしいお掃除と暮らしを作る、ナチュラルクリンネスト。
※記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。