ヒット小説『あなたの人生、片づけます』の作者にインタビュー「家を片づける意味」とは?

2020/09/08

散らかる家に住む人の心情をリアルに描いた小説家・垣谷美雨さんに、「家を片づける意味」を聞いてみました。返ってきた答えは、片づけに悩む私たちへのやさしいエールでした。

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<教えてくれた人>
垣谷美雨さん
1959年、兵庫県生まれ。05年「竜巻ガール」でデビュー。身近な社会問題をリアルに描いた作品が多い。『あなたのゼイ肉、落とします』(双葉社)、『老後の資金がありません』(中央公論新社)など。

『あなたの人生、片づけます』(双葉社)

社内不倫に疲れた30代OL、一部屋だけ片づいた部屋がある主婦……。「家を片づけられない人は心に問題がある」と考える片づけ屋・大庭十萬里が、原因を探りながら心を掃除し、汚部屋を片づいた部屋へとよみがえらせる。「読むと片づけたくなる」という声が続出!

物を減らすのは、自分を大切にすることなんじゃないか。それが本を書くきっかけでした

編集(以下、編) 小説『あなたの人生、片づけます』には、いらない物に埋もれて暮らす人たちが登場します。彼女らの散らかしっぷりも、片づけて人生が変わる様子もとてもリアルに描かれていますが、なぜこの本を書こうと思ったのですか?
垣谷さん(以下、垣) 私は東京で会社勤めをしながら2人の子どもを育てましたが、最初は片づけに苦労しました。田舎の一軒家とは違い、都心のマンションでは、スペースに限りがあるからです。
そうして片づけと向き合っているうちに、高価だったのに着ない服など、見るたびに後悔する物にも貴重なスペースを使っていることに、ふと気がついて。それを捨てたら気持ちがスッキリするんじゃないか、そう思ったのが本を書くきっかけです。そういう買い物で失敗した物は、だれの家にもあるはず。

残りの人生、探し物に費やすのはもったいない!

編 垣谷さんは今、家を片づけていますか?
垣 テーブルや床には物を置かないようにしています。体力に自信がないので掃除がすぐ終わらないと疲れるから。探し物も時間がもったいないから化粧品は透明ポーチに、旅行下着も透明のビニール袋に入れます。 
見ると嫌な気持ちになる物を捨てるのも、体力を消耗しない程度に片づけるのも、「自分を大切にすること」じゃないかな。限りある人生、物に構っていられませんよね。
編 片づけは苦行じゃなくて、自分をいたわることなんですね……!!

「私のせい」と自分をいじめないで

編 『サンキュ!』読者には、うまく片づけられずに悩む人がたくさんいます。
垣 子育て中はある程度散らかっていても仕方がないと思います。子どもの物ってたくさんあるし、自分で片づけられる子は少数派でしょう。片づかないのは収納スペースの狭さ、夫の協力度などいろんな要因があるもの。だから散らかるのは自分のせいだけではないです。私は早々に「子育て中は完璧に片づけるのは無理!」と割り切りました。子どもが独立するまで基準をゆるめたらラクになりましたよ。
「家が散らかってしまう」とむやみに反省して、自分をいじめる必要はないのでは。日本の女性は自己肯定感が低い人が多いと思うから、逆に「自分のせいじゃない」と毎日唱えるくらいでちょうどいいの(笑)。片づけは自分を大切にすることなのだから、自分がよければそれでいいんじゃないかな。

Have a try!

□嫌な物を捨てて気持ちをスッキリさせてみる
□「私のせい」と自分をいじめるのをやめてみる
□子育て中は完璧をめざすのをやめてみる

参照:『サンキュ!』2020年9月号「散らかる家vs散らからない家」より。

撮影/清水奈緒 編集/サンキュ!編集部

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