日本円とドルのイメージのバランス

円安が家計に与える影響とは?物価高騰から始まる最悪のシナリオを節約の専門家が解説

2022/05/21

ニュースでよく聞く「円安」という言葉。「海外での取引が不利になる」「株価にも影響」などと言われるけど、私たちの生活や家計には、具体的にどのような影響があるのでしょう?節約アドバイザーの丸山晴美さんに、そもそも円安とは?という基本から、家計への影響と今後の見通しなどを聞きました。

なお、今回ご紹介する情報はすべて2022年5月時点の取材情報を基にしています。

22歳の時に節約に目覚め、1年で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニ店長などを経て...

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みなさまこんにちは。節約アドバイザーの丸山晴美です。

お金にはトレンドがあって、その情報をキャッチできるか否かで、得する人と損する人に分かれます。でも経済に関するお金の情報は、ちょっとむずかしいですよね。私はみなさまに“お金の旬の情報”を“わかりやすく”お届けしていきたいと思います。今回のテーマは「円安が家計に与える影響」!

「コロナ禍による値上がり+輸入品の高騰」に円安が追い打ち!

2022年4月末、「1ドル=130円台円まで安が進んだ」とニュースで大きく取り上げられました。

円安とは、文字通り日本円の価値が安くなること。例えば、1ドル=100円の場合は100ドルの商品が1万円で買えますが、1ドル=130円になると1万3,000円払う必要があるということです。

国内ではさまざまな商品の値上げが続いていますが、6月くらいまでに実施される値上げは、コロナ禍による物流の混乱や燃料費の高騰、中国などが大量購入している影響で価格が上がったことなどが主な要因です。

そこに2月の後半からウクライナ情勢という要素が加わり、小麦粉や各種ブランド品など、ヨーロッパから輸入している商品も高騰。そして今、アメリカの金融引き締め政策から円安が加速しているのです。

これにより日本の消費者は、より厳しい状況に立たされています。円安が私たちの生活や家計にどのような影響をもたらすのか、知っておきましょう。

食料品を始めあらゆる商品が円安の影響を受けている

農林水産省が発表している総合食料自給率(※1)によれば、日本のカロリーベースでの食料自給率は38%で、残りの62%は輸入に頼っているのが現状です。

円安になると、海外の商品を買うのに今までより多くの日本円が必要ですから、当然、輸入食品の価格は上がることになります。

国内でつくられている野菜や肉も、無関係ではありません。ハウス栽培で温度を保つための燃料類、家畜の飼料などのほとんどは輸入に頼っているためコストがかさみます。その結果、国産でも値段を上げざるを得ない商品が多く出てくるのです。

食料品以外でも、海外ブランドの化粧品や洋服、バッグや靴など、軒並み値上がりが起こっていますし、当然、海外旅行も割高になります。

所得は上がらないのに物価は上がる最悪のシナリオも!?

そしてこの円安は、さらに悪い状況をつくってしまう可能性もあります。

というのも、日本人は値上げした商品は買い控える傾向があるため、企業はできるだけ価格を維持しようと努力をします。すると、どうしても人件費を削ってコストを下げざるを得なくなり、巡り巡って私たちの所得が上がらない状態を生んでしまうのです。

所得は上がらないのに物価は上がるという「ねじれ」、いわゆる「スタグフレーション」という悪いインフレが起こる可能性は大。今後はそのあたりも心配すべき点と言えるでしょう。

今後値下がる見込みはナシ、必要な物は今のうちに買うのも一案

今後、コロナ禍やウクライナ情勢が収まれば値が下がるかというと、一度上がった価格はまず下がらないでしょう。

そもそも日本の物価は海外に比べると、今でも低く抑えられている状態です。企業もぎりぎりまで努力して値上げするわけですから、一度上げたものは下げたくないでしょう。逆に、コロナ禍やウクライナ情勢が長引けば長引くほど、状況は悪くなるかもしれません。

そう考えると、必要な物、買うべき物は早めに買っておくことも検討すべきでしょう。例えば10年以上使って古くなった家電など、近々買い替えを予定している物があるなら、まだ使えるからと先延ばしにせず、今買い替えるのも一案です。

家の中を今一度チェックし、必需品の買い物がないかどうか、いつ買うか、よく検討してみましょう。

教えてくれたのは・・・

丸山晴美さん

22歳の時に節約に目覚め、1年で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニ店長などを経て2001年、節約アドバイザーとして独立。ファイナンシャルプランナー(AFP)、消費生活アドバイザーなどの資格を取得。身の回りの節約術やライフプランを見据えたお金の管理運用のアドバイスなどを、テレビやラジオ、雑誌、講演などで行なっている。著書は「シングルママの『お金に困らない』本」(徳間書店)、「50代から知っておきたい!年金生活の不安、解消します」(共著)(幻冬舎)など多数。

取材・文/かきの木のりみ

 
 

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