各種のお料理に高い砂糖

酒は食費?娯楽費?家計を膨らませない「嗜好品代」のやりくり法とは【お金の専門家が解説】

2023/10/21

酒代や菓子代、子どもが好きな清涼飲料水などの費用を「食費」から出している家庭は多いのではないでしょうか。しかし、節約アドバイザーの丸山晴美さんは、「それをしていると上手なやりくりはなかなかできない」といいます。
値上げが続いている今、嗜好品代の考え方、やりくりのコツについて聞きました。

なお、今回ご紹介する情報はすべて2023年10月時点の取材情報を基にしています。

22歳の時に節約に目覚め、1年で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニ店長などを経て...

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みなさまこんにちは。節約アドバイザーの丸山晴美です。

お金にはトレンドがあって、その情報をキャッチできるか否かで、得する人と損する人に分かれます私はみなさまに“お金の旬の情報”を“わかりやすく”お届けしていきたいと思います。今回のテーマは「嗜好品のやりくり」!

10月の値上げの中心は「酒類・飲料」そして「菓子」

2023年10月、また多くの食品が値上げされます。国内の主な食品メーカー195社を対象にした帝国データバンクの調査によると、10月に値上げされる食品は4,634品目。2023年1月からの累計で3万1,887品目となり、去年1年間の品目数(2万6,237品目)を大きく上回っています。

10月の値上げは、第3のビールなどの「酒類・飲料」が最も多く全体のおよそ7割。他にもハムやソーセージなどの「加工食品」、アイスやチョコレートなどの「菓子」の値上げが目立っています。

「酒類・飲料」や「菓子」などは、「必要な栄養を摂取するためでなく、個人の嗜好を満たすために飲食するもの」で、タバコやコーヒなどと同じ「嗜好品(しこうひん)」です。ここ数年の値上げにより、嗜好品は「ぜいたく品」になりつつあると言えるでしょう。

食費から酒代を出している家庭の中には食費がかなり膨らんでしまっているところが多く、今のままの家計でいいのか悩む声を多く聞きます。そこで、嗜好品をどう家計に取り入れるのがよいのか、改めて考え、整理しておきましょう。

酒代は食費に入れるのではなく、原則「飲む人がお小遣いで買う」

「食費」とは基本的に、米や野菜、肉や魚介類など「自炊」に必要な材料に使うための費用です。酒代やつまみ代をここに入れている家計は、管理が難しくなりどんぶり勘定になってしまう傾向が多く見られます。

では、酒などの費用はどうしたら良いかというと、私は「飲む人が買う」方式をおすすめしています。たとえば夫が毎日晩酌をするのであれば、夫のお小遣いを3,000円アップし、「この中で自分で酒代とおつまみ代をまかなってほしい」と交渉しましょう。

妻はお小遣いを持たないという家庭が意外と多いですが、それだと妻の嗜好品代が生活費や食費に入って、家計が膨らむ原因になりがちです。妻もしっかりお小遣いを決め、自分が食べるスイーツや酒などはお小遣いから出しましょう。

夫婦でお酒を飲むという家庭は、家計の中に食費とは別に「酒代」を立てるのも一案です。「酒代」の予算を決め、その中でやりくりする習慣をつけましょう。

最もいけないのはうやむやに食費に混ぜ込んでしまうこと。お酒を楽しみながら家計も管理したいのであれば、しっかり予算を立て、その中でやりくりすることが大切です。

子どもの飲み物は、食費で用意するものとそれ以外をルール化

子どもが飲む飲み物、家に常備する飲み物については、種類によって線引きをするとよいでしょう。線引きの基準は、各家庭の習慣や好みによりますが、わが家では「水と麦茶と牛乳は食費から買い、その他に飲みたいものがあったら子どもが小遣いで買う」というルールにしています。
麦茶はもちろん、ペットボトルではなく煮出し用麦茶です。

これにより、子どもは「ジュースやお菓子は特別な日に楽しむもの」とするようになりました。

嗜好品にありがちな「だろう買い」サイクルを断ち切って

嗜好品で家計が膨らむ家庭の傾向としては、「夫が飲むだろう」「子どもが食べるだろう…」と「だろう」買いをしていて、「どうせ買うならケース買いやお徳用パックで…」となりがちです。

一見、気を利かせているつもりでも、それが当たり前になってしまえば誰も感謝も喜びもしなくなります。「あって当たり前」の状態になり、また補充のために買うという「嗜好品による出費膨らむがサイクル」ができてしまうのです。

嗜好品の扱いを整えることは、家計だけでなく食習慣を整えることにもつながりますから、一度見直してみることをおすすめします。
自分の嗜好品代は自分で出す、ということを習慣化することで、家族それぞれが嗜好品の「優先順位」を考え、買うようになります。

家計のやりくりをする主婦(夫)だけががんばってもなかなか節約できませんが、家族を巻き込めば、皆で節約できるようになります。それが家計のムダ遣いを減らすことに繋がっていきます。

これを機に、家族全員で家計について話してみるのもよいのではないでしょうか。
ただムダ遣いを責めるものではなく、やりくりの先にレジャー費用や教育費、家電やスマホ、PCなどの買い替えといった「家族にプラスになるお金の使い道」を話し合うこともあわせて行いましょう。

教えてくれたのは・・・

丸山晴美さん

22歳の時に節約に目覚め、1年で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニ店長などを経て2001年、節約アドバイザーとして独立。ファイナンシャルプランナー(AFP)、消費生活アドバイザーなどの資格を取得。身の回りの節約術やライフプランを見据えたお金の管理運用のアドバイスなどを、テレビやラジオ、雑誌、講演などで行なっている。著書は「シングルママの『お金に困らない』本」(徳間書店)、「50代から知っておきたい!年金生活の不安、解消します」(共著)(幻冬舎)、「お金を活かす ハッピーエンディングノート」(東京新聞)「節約家計ノート2024」(東京新聞)steady.特別編集「知識ゼロでもまるっとわかるお金の基本」(宝島社)など多数。


取材・文/かきの木のりみ

 
 

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