利益率に差がつく!?始める前に知っておきたい「投資運用の手数料」のこと【お金の専門家が解説】
2023/10/14
資産形成や老後の資金づくりのために、投資運用を始める人が増えています。しかし、投資にはいろいろな手数料がかかることを知っていますか?節約アドバイザーの丸山晴美さんは「投資で利益を出すには、手数料をしっかり考えることもとても重要です」と言います。
投資にはどんな手数料があり、どういう方法をとれば手数料を安く抑えられるのか聞きました。
なお、今回ご紹介する情報はすべて2023年9月時点の取材情報を基にしています。
監修: 節約アドバイザー 丸山晴美
22歳の時に節約に目覚め、1年で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニ店長などを経て...
みなさまこんにちは。節約アドバイザーの丸山晴美です。
お金にはトレンドがあって、その情報をキャッチできるか否かで、得する人と損する人に分かれます。私はみなさまに“お金の旬の情報”を“わかりやすく”お届けしていきたいと思います。今回のテーマは「投資の手数料」!
投資運用にかかる「口座管理料」と「売買手数料」
投資運用にかかる主な手数料は「口座管理料」と「売買手数料」です。
投資を行うには、証券会社で口座を開設する必要があります。口座管理料は、開設した口座の維持・管理にかかる手数料です。
金額は証券会社によってさまざまですが、年間1,500〜4,000円が中心でしょう。
売買手数料は、株式などの売買を、証券会社を通じておこなう際にかかる手数料です。金額は、証券会社の営業形態や証券の取引回数、取引金額などによって異なります。
投資信託の場合はおもに購入時に販売手数料が徴収されるなど、扱う商品によっても異なる場合があります。
これらの手数料は、投資運用の利益から引かれます。手数料が大きいほど利益が減るので、手数料の額はとても重要なポイントです。
手数料を安く抑えるなら「ネット証券」を選んで
口座管理料は、実はすべての証券会社でかかるわけではありません。必要なのは店舗型の証券会社の一部で、SBI証券や松井証券など店舗を持たない「ネット証券」では、口座をつくったからといってお金はかかりません。
売買手数料も、店舗型に比べて「ネット証券」の方が大幅に安い傾向があります。
9月30日からSBI証券と、10月1日から楽天証券が国内株式の取引手数料が無料化されました(※1)。どちらももともと口座開設手数料や管理手数料は無料で、人気のあるネット証券でもあります。国内株式の取引手数料が無料になる=利益が出やすいとも言えます。
手数料を抑えながら投資運用をするなら、「ネット証券」を選ぶのがおすすめです。楽天証券は楽天ポイントを、SBI証券はTポイント、Pontaポイント、Vポイントを使って投資することもできます。
売買手数料は「ネット証券」のなかでも差があるので、よく比較して選ぶようにしましょう。また、運用のしやすさも大切なポイントなので、株取引をする際に利用するトレードツールが充実しているか、アプリが使いやすいか、パソコンでの操作感がいいかもチェックしましょう。
ただし、「ネット証券」は店舗型と違って、専門家によるアドバイスはもらえません。少額で始める場合はそれでも大きな問題はありませんが、まとまったお金を使う場合は、店舗型の証券会社でしっかりアドバイスを受ける方が安心な場合も。状況に応じて使い分けましょう。
※1:SBI証券は、取引報告書など交付書面を「電子交付」に設定することが条件。楽天証券では新たな「ゼロコース」に変更することが条件となります。
「iDeCo(イデコ)」は独自の手数料がある
老後の年金積立として、税制が優遇される投資運用の「iDeCo(イデコ)」が人気ですが、「iDeCo」は初回のみ発生する加入手数料2,829円と、運用期間中には以下の3つの手数料がかかります。
・国民年金基金連合会へ支払う加入者手数料105円
・信託銀行へ支払う66円
・証券会社へ支払う運営管理手数料
管理手数料は口座を開く金融機関によって異なり、毎月171円〜589円とかなりバラツキがあります。
例えば、毎月の積立額が5,000円なのに、手数料が500円かかったら、それだけでマイナス10%です。4,500円の元手で500円の利益を出すのは、とても大変なこと。
「iDeCo」を始める際には、運営管理手数料をよくチェックして金融機関を選びましょう。
すでに「iDeCo」をやっていて運営管理手数料が高いと感じている人は、金融機関の乗り換えを考えるのもよいでしょう。
子どもにも口座を開いていっしょに投資の勉強を
今は政府が投資運用を推進しており、来年からは「新NISA」も始まります。まだやっていない人は、この機会にスタートしてみてはどうでしょう。
ジュニアNISAの新規口座開設は9月30で終了、投資可能期間は2023年末ですが、証券口座自体は「未成年口座」を子どもも開くことが可能なので、いっしょに口座を開いて投資の勉強をしていくのもおすすめです。
未成年口座は、基本的には親が取引主体となって管理を行いますが、証券会社によっては子ども本人が運用できるものもあります。
うちの息子は中学生ですが、未成年口座を開設して本人に運用をさせています。使用するお金は本人のお年玉などお小づかいのなかなので少額ですが、私は口を出さず、息子の自由にやらせています。
最近は「どうして減るのかな。なんで増えたんだろう」と言いながら、自分でいろいろ工夫しています。
そうやって疑問を持ち、自分で答えを考えて、金融リテラシーを身につけてほしいと思っています。それが、子どもの将来にもきっと役に立つと考えています。今、中学生の息子が老後を迎えるときの年金制度を考えると、早いうちからお金に働いてもらう資産運用にも目を向けることはとても大切だと思います。
※投資には元本保証はありません。損失のリスクも検討し、自己責任のうえで行ってください。
取材・文/かきの木のりみ