私も投資をやるべき? お金の専門家が解説する「預貯金だけの家庭が危ない理由」
2022/08/03
最近あちこちで耳にする「投資」という言葉。そもそも国が政策として「貯蓄から投資へ」を進めようとしています。節約アドバイザーの丸山晴美さんも「今のインフレ時代にとても大事」と投資をすすめます。なぜなのか、その理由を聞きました。
なお、今回ご紹介する情報はすべて2022年7月時点の取材情報を基にしています。
監修: 節約アドバイザー 丸山晴美
22歳の時に節約に目覚め、1年で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニ店長などを経て...
みなさまこんにちは。節約アドバイザーの丸山晴美です。
お金にはトレンドがあって、その情報をキャッチできるか否かで、得する人と損する人に分かれます。でも経済に関するお金の情報は、ちょっとむずかしいですよね。私はみなさまに“お金の旬の情報”を“わかりやすく”お届けしていきたいと思います。今回のテーマは「あなたも投資をするべき理由」!
「NISA」と「iDeCo」の制度が変更されるかも!?
「NISA(ニーサ)」と「iDeCo(イデコ)」。名前は聞いたことがあるという人も多いと思います。
この2つは、投資運用で得た利益を非課税とすることでより資産形成をしやすいようにと、国が作った制度です。今、これらの加入年齢や利用期間をもっと長くするなどの改革案が検討されています。国の方針として、「貯蓄から投資へ」というシフトを強めていきたいと考えているからです。
実は「貯蓄から投資へ」というのは、20年ぐらい前から言われてきました。しかし、安定を求める傾向がある日本人は預貯金重視で、これまで投資はなかなか浸透しませんでした。
でもこれからは、貯蓄だけではいよいよ家計や生活が危なくなる可能性が高くなっているのです。
教育資金を「学資保険+つみたてNISA」で貯める家庭も
日本はここ数十年、税金や物価がじわじわと上がり続け、所得はほとんど上がっていません。給料の額面から社会保険料などの税金を引いたものを「可処分所得(かしょぶんしょとく)」と言いますが、これが増えるどころか減っているのが現実です。
手持ちのお金は増えていないのに、そのお金で買えるモノの量やサービスはどんどん減っているということ。これがいわゆる「お金の価値が目減りしている」という状況です。
現在、大学進学には学費だけで約500~600万円が必要と言われていますが、このまま物価が上がり続ければ、0歳の子どもが大学生になる18年後には、今よりもずっと多くのお金が必要になるでしょう。
現在の感覚で「18年後までに500万円貯める」を目標に手堅く預貯金を積み立てても、いざその時には足りなくて、教育ローンを組んだり奨学金を借りたりという状況になる可能性も少なくないのです。
自宅から大学へ通えなければ一人暮らしも必要となり、下宿費用もその時の貨幣価値に連動するように多めに用意する必要があるでしょう。
だからこそ、投資を併用して、将来のインフレリスク(物価が上昇してお金の価値が減るリスク)に備える対策が必要と言えるでしょう。
事実、最近はお子さんの教育資金を学資保険だけで準備するのではなく、「つみたて NISA 」を併用する家庭が増えています。これはとても上手な方法だと考えています。
預貯金と投資運用どちらか1つではなく、2つを併用してメリット・デメリットをうまく中和させながら資金を作ることが大事。教育資金だけでなく、老後資金や資産形成全般でも同じです。
働く+節約を実行したら、次は「投資でお金に働いてもらう」
では、知識のない初心者は何から始めれば安全でしょう?最初の一歩は、やはり税金の優遇措置がある「NISA」口座(非課税口座)や「iDeCo」(個人型確定拠出年金)でスタートするのが安心でしょう。
一般的な投資運用は、利益の約20%が税金で引かれてしまいますが、「NISA」口座は投資信託や株式などを年間120万円まで購入でき、最大5年間非課税で保有できます。「つみたてNISA」も一定の投資信託を年間40万円まで購入でき、最大20年間非課税になります。
「iDeCo」は公的年金にプラスして給付を受けられる私的年金の一つです。加入は任意ですが、自分で掛け金を決めて、自分で運用方法を選びます。
運用益はすべて非課税で、さらに掛け金も全額所得控除の対象。年金を受け取る際も、税制上の優遇措置が講じられています。
また、「つみたてNISA」は月々の積立金額100円からできますし、iDeCoも月々5000円から始められます。まとまったお金がなくてもすぐ始められる点もメリットです
「貯蓄から投資へ」というのは、今後のインフレ時代にとても大事な考え方の1つ。「自分が働く」「節約する」を実行したなら、次は「投資運用でお金に働いてもらう」ことが必要なのです。
怖い、面倒くさいと投資運用を避けず、まずは一歩を踏み出してみることをおすすめします。
取材・文/かきの木のりみ