夏場に最も活躍する家電といえば、エアコン。気になるのが電気代ですよね。節約のために弱風に設定したり、小まめに消したりしていませんか?実はそれ、最近のエアコンでは節約にならない場合もあるのです。
節約アドバイザーの丸山晴美さんに、今どきのエアコンの電気代節約術を教えてもらいました。

監修: 節約アドバイザー 丸山晴美
22歳の時に節約に目覚め、1年で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニ店長などを経て...
- エアコン電気代節約術1:熱をしっかり遮断する
- エアコン電気代節約術2:冷気を部屋中に「循環」させる
- エアコン電気代節約術3:湿度を下げると体感温度も下がる!
- エアコン電気代節約術4:フィルターと室外機のチェックも忘れずに
みなさまこんにちは。節約アドバイザーの丸山晴美です。
お金にはトレンドがあって、その情報をキャッチできるか否かで、得する人と損する人にわかれます。でも経済に関するお金の情報は、ちょっとむずかしいですよね。私はみなさまに“お金の旬の情報”を“わかりやすく”お届けしていきたいと思います。
今回のテーマは「エアコンの電気代節約術」!
エアコン電気代節約術1:熱をしっかり遮断する
電気代を抑えつつ快適にエアコンを使うには、冷房の効率を高める使い方をすること。それには「遮熱(しゃねつ)」「循環(じゅんかん)」「除湿」の3つを押さえるのがポイントです。
「遮熱」とは熱を遮断することです。夏場は窓ガラス(1枚ガラス)から、約73%もの熱が入ってくる(※1)というデータがありますので、窓に日陰をつくって、熱を入れないようにする「遮熱」対策が効果的です。
たとえば、朝顔やゴーヤーでつくる緑のカーテンは、日陰をつくるだけではなく葉が熱を吸収してくれるので、日当たりが強い窓のそばがおすすめです。今から始めるなら、窓の外に立てかけて使用する「よしず」や、軒先などにつるす「すだれ」、種類が豊富な「遮光ネット」などで、窓の外側から日陰をつくるといいでしょう。
住宅の事情などでどれもできない場合は、遮光あるいは「遮熱」カーテンを取りつけましょう。外出時にはカーテンを閉めておけば、室内に熱がこもるのをだいぶ抑えることができます。とくに西日が当たる部屋は、遮光・「遮熱」度の高いカーテンでしっかり熱を防ぎたいものです。
また、せっかく冷房で室内の温度を下げても、やはり窓ガラスを通して部屋の冷気が逃げてしまいます。冷房をつけているときも、カーテンを閉めておくのがベスト。日中、部屋にいるときはカーテンを閉めたくないというかたは、昼間はレースのカーテンを閉めて、日が落ちたらすぐにカーテンを閉めるなどして、冷房効率を上げるようにしたいですね。
エアコン電気代節約術2:冷気を部屋中に「循環」させる
エアコンで冷えた空気は足元、床にたまります。2つ目のポイント「循環」は、その冷気を部屋全体に行きわたらせることです。
環境省が推奨している「COOLBIZ(クールビズ)」のエアコンの設定温度は「室温28℃」ですが、それでは涼しく感じられず設定温度を下げてしまうかたが多いと思います。そういう場合は、温度を下げる前に扇風機やサーキュレーターを併用してください。下にたまった冷気が動き、部屋全体に「循環」することで、より涼しさを感じることができます。
ただし、このとき扇風機を上向きにしていると、冷気は下にたまったままになってしまいます。扇風機を下に向け、首振りにするのが正解。気流が体に直接当たらないようにすることが、快適さを保つポイントです。
ちなみに、冷房26℃運転と28℃運転+扇風機の場合とを比べると、28℃運転+扇風機のほうが約22%も節電効果がある(※2)といわれています。温度を下げる前に、まず扇風機のスイッチを入れましょう。
エアコン電気代節約術3:湿度を下げると体感温度も下がる!
3つ目のポイントは「除湿」です。空気が含むことのできる水蒸気量は、温度が高くなるほど多くなります。そのため夏は、ムシムシした不快な暑さを感じます。
また、湿度が高いと汗が蒸発しにくくなり、体温を下げる機能も働きにくくなります。つまり、湿度が高いと体感温度が上昇し、不快感も高まるのです。上手に「除湿」することが重要です。
エアコンには「除湿」機能がついていますが、「除湿」量が多いのは、実は「除湿運転」よりも「冷房運転」のほう(※4)。快適に過ごしつつ節約もしたいなら「冷房運転」にして、少し寒いなと思ったときは、弱冷房「除湿」にするよりも設定温度を上げて調節するのがおすすめです。
エアコン電気代節約術4:フィルターと室外機のチェックも忘れずに
上記の3つは効率的にエアコンを使うためのポイントですが、おおもとのエアコン本体がしっかり働かない状態だと、思う効果は得られません。まず、2週間に1回程度はエアコンのフィルターのほこりを掃除機で取るなどして、お手入れを欠かさないようにしましょう。
そして多くの人が見落としているのが室外機です。一般的なエアコンは冷房の際には、室内の熱を室外機から外へ吹き出すことで涼しくしています。そのため、室外機の吹き出し口近くに障害物があると、熱が周辺にとどまって冷房効果が弱まり、電気がムダにかかってしまうだけではなく、故障の原因にもなるので注意しましょう。室外機の前後をものでふさいでいたり、大きな植物を置いていたら片づけましょう。
室外機に直射日光が当たっている場合も、室外機の排熱効率が悪くなり、電気をムダに消費してしまいます。室外機のまわりが日陰になるように工夫するのも、大きなポイントです。最近は室外機の上だけをカバーする日よけも市販されていますし、上から「すだれ」などを垂らすのもいいですね。室外機から1メートルほど離して植木を植えるのも効果的です。
エアコン電気代節約術5:節約を考えるなら「自動運転」に
エアコンを使う際、電気代を気にして弱運転にしているかたも少なくありません。でも、これは10年以上前の、「自動運転」機能がまだよくなかったエアコン時代の節約方法です。今のエアコンは「自動運転」やエコ機能が高くなっているので、この方法ではムダに電気代がかかってしまいます。
エアコンの電気代を節約するには、常に「自動運転」にするのが正解です。エアコンの「自動運転」機能は、室温が設定温度になるまでは強風運転、その後は微風運転と、いちばん電気代が抑えられる効率のよい運転を行ってくれるのです。
「家電製品から出る熱」も工夫すれば、節約効果は大!
家の中には「家電製品から出る熱」というのもあります。快適に、しっかり節約しつつ夏を乗り切るには、「できるだけ熱を出さない工夫」をすることも大事です。
たとえば、照明の電気代は高い順に白熱電球>電球形蛍光灯>電球形LEDランプとなります。一方、1個あたりの購入価格はLEDランプがいちばん高価。価格差はここ数年で徐々に縮んできているものの、やみくもにLEDランプにするとコスト高になります。
リビングなど長時間使う場所はLEDランプ、廊下など短時間しか使わない場所は電球形蛍光灯など、消費電力と導入コストのバランスを見て使いわけるとよいでしょう。
つい忘れがちなのが、トイレの暖房機能つき便座の温度です。便座が「保温」になっているせいで、トイレ空間がよけいに暑くなっている場合があります。夏は電源をオフにしましょう。座ったときのひんやり感が苦手な場合は、便座シートやカバーを利用するのがおすすめです。
そのほか、熱を発しやすいテレビやパソコン、ゲーム機などもむやみにつけず、時間を区切って使うなどの工夫を。寝るときには冷感マットを取り入れるなど、少しでも快適な環境をつくりましょう。
以上のことをすべて実践すれば、この夏は電気代をずいぶん抑えることができると思いますよ。
エアコンだけでなく、電気代全体の節約を考えるなら、電力会社そのものの乗り換えを検討することが大きなポイントになります。
取材・文/かきの木のりみ