どうしても借金が必要になったらどこを選ぶべき? お金の専門家が安全なお金の借り方をアドバイス
2022/07/25
「急にまとまった額のお金が必要になったけど、貯金も手持ちもない!」というとき、どこから借りるのが賢い方法なのでしょう?その選択によって、返済のしかたやその後の生活が大きく変わります。できるだけダメージ少なく借金する方法について、節約アドバイザーの丸山晴美さんに聞きしました。
なお、今回ご紹介する情報はすべて2022年7月時点の取材情報を基にしています。
監修: 節約アドバイザー 丸山晴美
22歳の時に節約に目覚め、1年で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニ店長などを経て...
みなさまこんにちは。節約アドバイザーの丸山晴美です。
お金にはトレンドがあって、その情報をキャッチできるか否かで、得する人と損する人に分かれます。でも経済に関するお金の情報は、ちょっとむずかしいですよね。私はみなさまに“お金の旬の情報”を“わかりやすく”お届けしていきたいと思います。今回のテーマは「借金する方法」!
比較的安全な借金のしかた4選
借金をすることなく生活できれば、それがベストですよね。でも、人生では予想外の急な出費が起こることがしばしばあります。
そういうとき、最初に考えるのは親や兄弟などに借りることではないでしょうか?それが可能ならいいですが、できない場合は「どこかから借金」しなければなりません。
借金には「金利(利息)」がつきものですし、返済スケジュールも考えないと、あちこちに借金を重ねるような状況に陥ることに。今、借金の必要がない人も、いざというときのために考えておきましょう。
すぐ必要ならクレカの「キャッシング」か「2回払い」
もっとも早く手軽にお金を借りる方法は、クレジットカードのキャッシングでしょう。クレジットカードの設定でキャッシングを利用可能にしてあれば、コンビニのATMなどで簡単に現金を受け取ることが可能です。
クレジットカードのキャッシングは、面倒な審査もないので手軽。ただし、当然金利がかかります。クレジットカードのキャッシングの金利は、だいたい年率15.0~18.0%が相場です。
利息は、借入れた金額に金利をかけ、365日で割り、それに借り入れ日数(返済日数)をかけて算出します。例えば、金利が16.0%のクレジットカードの場合、20万円を2カ月(61日間)で返すつもりでキャッシングすると、利息は5,347円になります。
なかなか大きな額ではないでしょうか。クレジットカードのなかには、ホームページでキャッシングの返済額をシミュレーションできるものも多いので、借りる前にチェックすることも大切です。
なお、高額なものを買う必要があり、今は手元にお金がないけれど少ししたらお金が入るという場合は、クレジットカードで購入して2回払いにするという手もあり。クレジットカードの2回払いは、1回払いと同じく手数料がかからないことがほとんどです。さらに、2回に分けて支払いできるのも助かります。
一方、リボ払いは、確かに月々の支払い金額を抑えられますが、月額の返済額が1万円など低く設定していると、キャッシングと同じくらいの金利を長期間払い続けることになります。新たに買い物をするごとに元本が増え、それともない金利手数料分も増えることになり、最終的に多額の借金に追われるというケースが少なくないので注意しましょう。
生命保険の契約者貸付制度が利用できればおトク!
終身保険や養老保険など、保険料に生存保険料(加入者が生存時に受け取れる保険金)が含まれている積立型の生命保険の場合は、解約した際に「解約返戻金」が返ってきます。
この解約返戻金を担保にして、保険会社からお金を融資してもらえるのが「契約者貸付制度」です。
保険の契約者のみが利用できる制度で、借りられるお金の上限は、一般的に解約返戻金のおよそ7~8割。金利は保険会社や保険金額、加入時期などによって異なりますが、2~6%程度とほかよりもだいぶ安くなっています。
保険を解約することなく借り入れを行うことができるのもメリットです。毎月決まった日に決まった額を返済しなければいけないわけではなく、好きなタイミングで返済することができるので、該当する生命保険に入っている人はこれを利用するのも一案でしょう。
ただし、そのまま返さなくてよいものではなく、借り入れをしている間は所定の利息がかかります。貸付金の元利金が貸付を受けている契約の解約返戻金を上回る場合、契約の効力を失うので注意が必要です。
銀行から借りる方法は2つ。手間と時間がかかるけど安心
銀行からお金を借りる場合は、2つの方法があります。1つは住宅ローンや教育ローンなど、目的がはっきりしている場合。もう1つは、カードローンなどのローンサービスです。
前者は金利が低めで、その銀行に預貯金があったり、持ち家など担保があったりすると信用度が高くなり、より低い金利で借りられます。ただし、用途が限られており、審査には手間も時間もかかります。
後者の場合、使い道は自由ですが、住宅ローンなどに比べると金利が高め。それでも、年率3.5~14.0%前後と、クレジットカードのキャッシングなどよりは低めです。ただ、融資までのスピードは遅めで、返済方法の自由度もあまり高くありません。
それでも、借金する相手が銀行というのは安心感があります。ある程度の時間と労力がかかってもOKという人には向いているでしょう。
条件が合うなら低金利で借りられる公的融資制度という手も
公的融資制度とは、国や自治体などが融資を行う制度です。無利子または低金利で借りられるのがメリットです。
公的融資制度にはさまざまな種類がありますが、例えば以下のようなものがあります。
■生活福祉資金貸付制度
生活に困窮している世帯へ向けた貸付。用途に応じて生活支援費、住宅入居費などさまざまあり、貸付限度額もそれぞれ異なります。
■緊急小口資金
生活福祉資金貸付制度の1つで、急に入院しなければならなくなった、突然解雇されて当座の生活費がないなど、手持ちのお金がない人のための貸付。最大10万円ですが、現在は新型コロナウイルス感染症で休業・失業した人に対する、20万円までの特例貸付も行なっています。
■教育一般貸付
日本政策金融公庫による教育ローンで、高校や大学などへの進学・在学にかかる費用に対する貸付。低金利で借りられます。
ほかにもいろいろありますが、借りるにはそれぞれ条件があるので、事前に確認することが必要です。また、手続きや審査に手間と時間がかかるものがほとんどです。
以上の方法がすべて利用できない時、最後の手段となるのが消費者金融です。しかし、消費者金融の金利は18%が相場で、これはかなり大きな負担です。
そういうものに手を出さずにすむよう、普段から目的別の貯蓄や生活費とは別に、不意の出費に備える「特別費」を準備しておくことが大切です。特別費はだいたい50万円が目安で、これを常にプールして使えるようにしておくと、いざというときも生活を守ることができます。
取材・文/かきの木のりみ