生活費の高騰に不満を持つ高齢女性

貯まらない人には共通の口癖がある!?お金の専門家が解説する「貯まらない家計になる思い込み」

2023/11/21

「頑張っているのになぜお金が貯まらないのだろう」と思ったことはありませんか?

節約アドバイザーの丸山晴美さんは「貯まらない人に共通する思い込みがある」と言います。実は丸山さん自身、かつてその思い込みで貯められなかった時期を経験しているとのこと。その経験と「貯まらない人の思い込み」について聞きました。

なお、今回ご紹介する情報はすべて2023年10月時点の取材情報を基にしています。

22歳の時に節約に目覚め、1年で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニ店長などを経て...

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みなさまこんにちは。節約アドバイザーの丸山晴美です。

お金にはトレンドがあって、その情報をキャッチできるか否かで、得する人と損する人に分かれます。私はみなさまに“お金の旬の情報”を“わかりやすく”お届けしていきたいと思います。

今回のテーマは「貯まらない人の思い込み」!

貯まらない人がよく口にする「うちは○○だから」

多くの家計診断をしていて感じるのは、貯まらないと悩んでいる人ほど「うちは○○だから」という言葉をよく使うということ。

○○の部分は家庭によって異なり、「うちは給料が少ないから」「子どもが小さくて私が働けないから」「大学進学など子どもの教育費の負担が大きいから」などさまざまです。ただ、皆に共通しているのは「だからお金が貯まらなくても仕方がない」と決めつけている点です。

しかし実際には、子だくさんであっても収入が少なくても、しっかり貯めている家庭はたくさんあります。

つまり、「うちは○○だから」と決めつけてあきらめてしまうから、そこで思考も行動も止まり、その状態から抜け出せなくなるのです。これが最大の「貯まらない思い込み」だと私は考えています。

実は私自身も、かつて「うちは○○だから」と決めつけ、あきらめていた時期があります。自分が経験したからこそ、これが貯まらないスパイラルの原因になっていることがよくわかるのです。

20代のときにハマっていた「貯まらない思い込み」

私が「貯まらない思い込み」に縛られていたのは、20代の一人暮らしのときです。「一人暮らしで家賃や光熱費など出ていくお金が多いから貯まらない」というのが、最初の思い込みです。実家暮らしの人たちとは違うと、自分に言い訳をしていたのです。

当時はフリーターをしており、毎月の手取りは15~20万円ほどでした。「こんな給料じゃ貯まるわけがない」というのが2つめの思い込み。「借金しないだけで偉い」というマインドだったんです。

だから家計を見直したことはもちろんありません。給料日2週間前に生活費が5,000円しかなく、どうやって給料日までを乗り切るかを指折り数えて考えたこともありました。その一方で、「貯金もできず、万一病気など何かあったらどうしよう」という不安も持っていました。

そんなある日、親から「貯金もできない生活をしているなら実家に帰って来い」と言われ、いろいろな意味でショックを受け、初めて「生活の見直し」をしたんです。

同じ頃、知り合いから「1,000万円の頭金を用意できれば家を買える」と聞き、「1,000万円ってどうやったら貯められるのだろう」と思うようになりました。家計術の本を買い、本格的に節約に目覚め、職を探して正社員に。
そして、貯金をするために初めて大学ノートに1カ月の収支と買ったものを書き出し、チェックしたところ、ムダな買い物を3万円もしていたことがわかったんです。

これは裏を返せば「3万円の貯金ができる」ということ。それでさっそく先取り貯蓄を始め、その後「節約」のおもしろさに目覚めて、月10万円の貯蓄ができるようになりました。

私が貯まらなかったのは「一人暮らしで収入が少ないから」じゃありませんでした。でも、この時の私のような思い込みをしている人はたくさんいます。

だからもし今「うちは○○だから」と思っている人がいたら、いったんその思い込みを捨ててみてほしいのです。

貯まらない家庭は優先順位もあいまいに

貯まる家庭と貯まらない家庭との違いは何かというと、基本的なことですが「家計を見直してお金の管理をきちんとしているかどうか」と言えるでしょう。

家計を見直し、限られたお金の中でやりくりができている家庭は、家族が多くても収入が少なくてもお金が貯まる家庭です。

貯まらない家庭はどんぶり勘定のためお金の管理がしっかりしていないので、お金を使う優先順位もあいまいです。
「毎日晩酌をしないと元気が出ない」「好きなお菓子くらい買っておいてあげないと子どもがかわいそう」と言い訳をしつつ、目先や気分を優先して出費してしまう家庭が多く見られます。

しかし、それによって貯蓄ができずにいたら、子どもが成長したときに「お金が足りなくて進学をあきらめる」ことになってしまうかもしれません。嗜好品の量を減らすのと希望の進学先に行けないのとでは、どちらがショックでしょうか。

そうした5年先、10年先のことに備えるためにも、家計を見直し、お金をどう使うかを考えることが大切です。

「怖い」「わからない」「面倒くさい」も貯まらないワード

「うちは○○だから」の他にもう1つ、貯まらない人がよく口にしている言葉があります。それは「怖い」「わからない」「面倒くさい」の3ワードです。

例えば、通信料がぐっと安くなる格安スマホ。今では利用者が多く一般的な選択肢になってきています。でも、「貯まらない。家計が苦しい」と言いつつ通信料のプランを見直さず、高い通信料を払い続けている人は少なくありません。

家計相談などでなぜ格安スマホに乗り換えないのか尋ねると、「よくわからないから怖い」「乗り換えが面倒くさい」という言葉が多く返ってきます。中には、「通信料は夫が払っていて、すべて任せているから」と、考えることさえしない人もいます。

「怖い」「わからない」「面倒くさい」と逃げていては、お金が貯まるはずはありません。特に今はキャッシュレスやアプリ専用のサービス、投資など、お金の常識や活用法がどんどん変わっている転換期です。

自分なりのペース良いので、貯まる家計になるための情報をしっかりキャッチし、自分で調べ、必要なものを生活に取り入れていくことが大切です。

限られたお金の中で最高のパフォーマンスを出すにはどうしたらいいかを、その時々で考えているかどうか。それが、貯まる家計と貯まらない家計の大きな違いなのかもしれません。

教えてくれたのは・・・

丸山晴美さん

22歳の時に節約に目覚め、1年で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニ店長などを経て2001年、節約アドバイザーとして独立。ファイナンシャルプランナー(AFP)、消費生活アドバイザーなどの資格を取得。身の回りの節約術やライフプランを見据えたお金の管理運用のアドバイスなどを、テレビやラジオ、雑誌、講演などで行なっている。著書は「シングルママの『お金に困らない』本」(徳間書店)、「50代から知っておきたい!年金生活の不安、解消します」(共著)(幻冬舎)、「お金を活かす ハッピーエンディングノート」(東京新聞)「節約家計ノート2024」(東京新聞)steady.特別編集「知識ゼロでもまるっとわかるお金の基本」(宝島社)など多数。

取材・文/かきの木のりみ

 
 

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