当記事の執筆は、管理栄養士 前間弘美が担当しました。
甘くてジューシーな赤いトマト。
トマトは大人だけでなく、子供が好きな野菜の上位に入り、彩りも良いため食卓に並ぶことも多いのではないでしょうか。そこで今回はトマトの栄養と効能をわかりやすくお伝えしていきます。
さらに、トマトジュースやケチャップなどの加工品の栄養についてもご紹介しますので、最後までお付き合いください。

教えてくれたのは: シンクヘルスブログ編集部
糖尿病に強みを持つ健康管理アプリを展開するシンクヘルス社のオウンドメディア。ダイエット、糖尿病の食事、マイン...
トマトの栄養と効能
トマトにはリコピンやビタミンC、βカロテン、食物繊維といった健康によい栄養素が含まれます。
実はトマトの90%以上は水分なのですが、残りの10%にたっぷり栄養素が入っています。それでは、順番に解説していきますね。
●美容に良いリコピン
リコピンはトマトの赤色成分で強い抗酸化作用があり、動脈硬化の進行を遅らせ生活習慣病の予防効果が期待されています。さらにリコピンの効力は、同じく抗酸化作用を持つβ-カロテンの2倍、ビタミンEの100倍とも言われています。
そしてリコピンは、熱に強く加工しても効能を損なうことが少なく、油と一緒に調理することで体に吸収されやすくなるのも特徴です。
●身体の抵抗力を強めるビタミンC
トマトは、抗酸化作用が強くストレスや風邪に対する抵抗力を強めるビタミンCが豊富で、大きめのトマト1個(約250g)で1日に必要なビタミンCの約1/3も摂れます。
さらにビタミンCは、鉄やカルシウムの吸収をよくする働きも期待できますよ。
●身体機能を調整するβカロテン
トマトは、抗酸化作用の強いβカロテンの含有量も多いです。
βカロテンは体内で必要な分だけビタミンAに変換され、免疫機能や視力を調整してくれます。
●コレステロール値にも効果的な食物繊維
トマトは、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の両方を含みます。ちなみに肉厚なトマトの独特の食感は、ペクチンという水溶性食物繊維が豊富なためです。
ペクチンは血中コレステロール値を下げる働きが期待できます。ペクチンを積極的に摂りたい方にはトマトの丸かじりがオススメですよ。
さらに不溶性食物繊維は、便のカサをふやす働きが期待できるため、便通を整えたい方にもトマトは嬉しい食材ですね。
ミニトマトの栄養成分はどう?
ミニトマトは普通のトマトと比べて、ビタミンCやβカロテン、食物繊維などの栄養素が多く含まれています。
それでは普通のトマトとミニトマトの栄養素を比べてみましょう。
■カロリー
トマト(赤):20kcal
ミニトマト(赤):30kcal
■糖質
トマト(赤):3.1kcal
ミニトマト(赤):4.5kcal
■ビタミンC
トマト(赤):15mg
ミニトマト(赤):32mg
■β-カロテン
トマト(赤):540μg
ミニトマト(赤):960μg
■食物繊維
トマト(赤):1.0g
ミニトマト(赤):1.4g
※100gあたり
このようにミニトマトのβ-カロテンやビタミンCは、普通のトマトの約2倍も多く含まれていることがわかりますね。
さらに、ミニトマトは洗うだけで手軽に食べることができる点も嬉しいです。ただし、ミニトマトはトマトと比べてカロリーや糖質が高いです。食べすぎると体重増加につながる可能性があるので、多くても1日7~10個程度にしましょう。
トマトは栄養がないのは本当か?
トマトにはリコピンやビタミンC、βカロテン、食物繊維など栄養が豊富に含まれるため、栄養がないとはいえません。
トマトに栄養がないといわれるのは、おそらくカロリーが低いからです。
トマトを食べすぎると健康に悪い?
栄養豊富なトマトですが、食べすぎると健康によくありません。というのも、トマトは水分が多く体を冷やす作用があるためです。
さらに、トマトは食物繊維も含むため、食べすぎると便がゆるくなる原因にもなります。
●トマトは毎日だとどのくらいの量を食べると良いのか
Mサイズのトマトなら1日1個を目安にするとよいでしょう。というのも、1日に必要な緑黄色野菜の120g(※)を満たすことができるからです。
しかしトマトは体を冷やす作用もあるため、トマトだけでなくほうれん草や人参といった他の緑黄色野菜も合わせてバランスよく摂るとよいですね。
(※)厚生労働省が定める「健康日本21」では、成人における1日の野菜摂取推奨量を350g以上(内120gは緑黄色野菜)としています
【生・焼く・煮る】トマトの栄養を効果的に摂る方法は?
トマトの栄養の中でも、摂りたい栄養によって効果的な調理方法が異なります。
ビタミンCは熱に弱く加熱すると壊れてしまいます。そこでビタミンCを効果的に摂りたい方は、サラダのように生で食べるのがオススメです。
一方でリコピンの栄養を効果的に摂りたい場合は、焼く・煮るといった調理法がよいと考えられます。なぜならトマトを加熱すると細胞壁が柔らかくなって壊れ、中に入っていたリコピンの吸収率がアップするからです。とくにトマトソースのようにトマトを潰しながら加熱すると、よりリコピンの吸収がよくなるでしょう。
また、βカロテンは油と一緒に摂取すると吸収されやすくなります。そこで油を使ったドレッシングを使ったサラダや、油で炒める調理法がよいです。
このように必要な栄養素によって調理方法を変え、トマトの栄養を効果的に摂りたいですね。
●加工品(トマトジュース・トマト缶・トマトケチャップ・乾燥粉末)に栄養価の違いはあるの?
生のトマトと加工品の栄養に大きな違いはありませんが、含まれる量がやや異なります。
加工品は生のトマトと比べてビタミンCは減ります。ただし加工しても、トマト缶やケチャップはβカロテンや食物繊維はあまり変わりません。トマトジュースはβカロテンや食物繊維がやや減るものの、手軽に摂取できる点がポイントです。
ケチャップは、加工時に食塩を使っているため塩分が多いです。使いすぎないよう注意しましょう。
なおドライトマトは乾燥させて水分が抜けた分、生のトマトに比べてカロリーや食物繊維が増えています。トマトを干すことで栄養やうまみが凝縮しているのがわかりますね。
まとめ
トマトには、リコピンやビタミンC、β-カロテン、食物繊維などの栄養素が豊富に含まれていることがわかりましたね。
しかし水分の多いトマトには体を冷やす作用があるため、Mサイズのトマト1日1個程度を目安にすると良いでしょう。
トマトは摂りたい栄養素によって効果的な調理方法が異なります。ビタミンCを摂りたい時は生、リコピンを摂りたい時は加熱、βカロテンを摂りたい時は油と一緒に食べるとよいですよ。
それでは当記事を参考に、トマトを美味しく食べて健康に役立てていただけると嬉しいです。
参考文献
日本食品標準成分表 2020年度版(八訂)
厚生労働省 e-ヘルスネット
J-STAGE リコピン摂取時間帯がラット及びヒトにおける体内吸収に与える影響 特定の野菜との加熱調理によるトマトリコピンのcis異性化の促進