白い背景にバスケットに卵

「卵は1日1個まで」はホント?管理栄養士が卵の栄養素とおすすめの食べ方、「気をつけるべき人」の特徴を解説

2021/11/27

卵は1日1個までしか食べてはいけない……とはよく聞く話ですが、本当でしょうか?

管理栄養士と食生活アドバイザーの資格を持つライターのゆかりさんに、1日に食べてもよい卵の量と、おすすめの食べ方について紹介してもらいます。

管理栄養士、食生活アドバイザー。一女のママで出張料理、料理教室、講演、栄養相談も手掛けるほか、ライターとして...

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卵は1日1個まで、その理由とは?

卵は、ひなが生まれてから成長するために必要な栄養素がギュッと詰まった食品です。
食物繊維とビタミンC以外のほぼすべての必須栄養素が含まれていることから、完全栄養食品と呼ばれることも。

そんな栄養価の高い卵ですが、それゆえに特定の栄養素のとりすぎが健康に害をもたらすという一面も持ち合わせています。そのひとつが、動脈硬化を促進するといわれている「コレステロール」。脳や神経、血管壁などの細胞膜をつくったり、ホルモンなどの材料となる大切な栄養素であることから、適量は必要な脂質です。

ところが、コレステロールの中でもLDLコレステロール(※)が血液中に多くなると、血管の内側を狭めたり柔軟性を失わせて詰まりやすい状態となる、動脈硬化を引き起こすとされているのです。

ちなみに、Mサイズの卵(約50g)1個には、190mgのコレステロールが含まれています。
厚生労働省が発表する日本人の食事摂取基準では、2004年に食品からのコレステロールの摂取目標上限量が1日300mg以下と定められました。コレステロールを多く含む卵を2個以上食べてしまうと、上限を超えてしまい、脳卒中や心疾患にかかる確率が上がるということが上限値の設定の背景でした。ところがその後の研究で、人間では卵の摂取量とそれらの病気に相関がないことが新たに示され、食品由来のコレステロールの目標値は2015年になくなったのです。

そのようなことから、以前まで卵の摂取は「1日1個」というのが定説でしたが、現在では事情が変わっています。


※…肝臓から全身に運ばれるコレステロールのこと。

コレステロール以外にも注意!とりすぎに気をつけたい栄養素

生卵ご飯、日本食
hungryworks/gettyimages

現在では、脂質異常症(※)の診断を受けている人の場合、日本人の食事摂取基準(2020年版)のなかで、脂質異常症の重症化予防の目的として食事からとるコレステロールは1日200mg未満に抑えることが望ましいとされているので、卵1個だけでほぼ満たしてしまうことになります。

それに対し、健康な人であれば体内でコレステロール値を一定に保つ機能が働くので、多くとったからといってもすぐにLDLコレステロール値は上昇しないと考えられています。また、卵には血液中のコレステロールを低下させる働きを持つオレイン酸やレシチンなどの脂質も同時に含まれているため、肉類などのように心配する必要はないともいわれています。

しかし、血液中のコレステロール値は、食品のコレステロール以外からも影響を受けるのです。

それが、「飽和脂肪酸」のとりすぎ。飽和脂肪酸とは、動物性食品に多く含まれている脂質の一種です。これをとりすぎてしまうと体内でコレステロールが多くつくられやすくなり、それが食事由来のコレステロールよりも血液中の数値に悪影響なのだとか…


※…血液中のLDLコレステロールや中性脂肪が多かったり、(血管にたまったコレステロールを肝臓へ回収する)HDLコレステロールが少ない状態のこと。動脈硬化を促進させて、心筋梗塞や脳梗塞などにつながるといわれている。

1日10個食べるとリスクあり⁉

ちなみに、Mサイズの卵(約50g)1個あたりに含まれる飽和脂肪酸の量は1.56g。身体活動強度中程度の30~40代女性の場合、飽和脂肪酸の適正摂取量は約16g以下となっています(推定エネルギー必要量の7%に相当)。

極論ですが、卵だけで飽和脂肪酸のとりすぎになるとすれば、約10個が相当します。卵以外にも脂身の多い肉や乳製品などの動物性食品をとるのが一般的なので、実際の適量はもっと少なくなるでしょう。

ただし、次のことに当てはまる人は注意が必要です。
・糖尿病や慢性腎臓病などの基礎疾患がある
・喫煙、高血圧、低HDLコレステロール血症、耐糖能異常などに複数当てはまる
これらに該当する場合は、そうでない人に比べると脂質異常症のリスクが高いといわれています。そのため、飽和脂肪酸の摂取量を抑えることに加え、コレステロールを多く含む食品を食べたり食べる予定がある際には卵を控えることも考えたほうがいいでしょう。(とくに多いもの:するめ、ほたるいかの燻製、からすみ、フォアグラ、あんこうの肝など)

このほかにも、体質によっては卵からコレステロールを多くとった場合、血液中のコレステロールが上昇する人も3割ほどいる可能性が指摘されているため、一律に何個までなら大丈夫と言い切れないのが現状です。

ちなみに、「自分が何個まで大丈夫か」をたしかめる方法としては、卵を食べるのを1カ月控え、コレステロール値に影響があるか検査すればよいとのこと。(あまり、現実的ではありませんね…)

どうしてもコレストロールが心配なら……

卵白と黄身を分けるために卵を壊す女性の手
svehlik/gettyimages

卵は、卵黄(黄身)と卵白(白身)に分けられますが、コレステロールや飽和脂肪酸が含まれているのは卵黄のみ。卵白にはほぼ含まれないので、心配であれば卵白だけを選ぶのが賢明といえます。

卵白には、卵黄に比べると全体的に栄養素が少なくなっていますが、卵1個分の卵黄と卵白で比べると卵黄よりもやや多くタンパク質を多く含んでいます。その点、カロリーは卵黄の1/3以下となっているのでヘルシー。カロリーはとりたくないけれど、タンパク質をとりたい場合には卵白の積極的な摂取をおすすめします。

ただ、卵黄を食べないで捨てるのはフードロスの観点からも防ぎたいもの。卵黄を食べるのは1日1個に抑え、卵白だけを多く食べて余った分は、別の日に食べるようにしてみてはいかがでしょうか?

その場合、卵を割ったあとは、生のまま取り置きすると食中毒の危険が高まります。必ず加熱し、固まるまで十分に火を通すようにしたうえで、冷蔵や冷凍保存するようにしてくださいね。

偏りを避けて卵を食べよう!

卵の食べ方について紹介しましたが、管理栄養士の立場から正直な意見を言えば、卵の栄養素のほとんどが卵黄に含まれていることを考えると、卵黄と卵白はいっしょにとってほしいところ。

それでも卵の食べすぎが不安という人には、LDLコレステロールを低下させる働きのあるオレイン酸が多い「オリーブオイル」をふだんの料理に使用するようにしたり、コレステロールの吸収を抑えてくれる働きのある「食物繊維」を積極的に摂るようにしてみるのも一つの方法です。食物繊維は、穀類(全粒粉、大麦、オートミールなど)・豆類・ナッツ類などにも多く含まれていますよ。


結局のところは、卵を食べる際に限らず食材の偏りを避けて食事をすることが、健康を維持するうえで大切です。
卵を食べすぎてしまったからといっても、健康な人であればすぐに体へ悪影響があるわけではありませんが、個人個人でどれだけとっても害がないのかが判断しにくい以上、1週間のうちで平均して安心な量に収めるなどして、とりすぎないように調節するようにしましょう。(たとえば、卵を1日1個に抑えるのであれば、卵3個を使用したオムライスを食べた場合、2日間空けてから卵を食べるようにすればOK)

また、すでに気をつけなければいけない持病があったり、生活習慣を送っているという人は、卵を含めて動物性食品の摂取は控えめにすることもお忘れなく。

むやみに恐れず正しく理解して、卵を食卓に取り入れてみてくださいね!

■記事執筆・・・

管理栄養士・ゆかりさん

管理栄養士、食生活アドバイザー。4歳女児のママで出張料理、料理教室、講演、栄養相談も手掛けるほか、ライターとしても活動。

 
 

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