「ケチャップ」の代用になる調味料を検証!おすすめの組み合わせも紹介【管理栄養士が解説】
2022/07/02
レシピをチェックしていざ料理をつくろうとしたところ、必要な調味料が切れていた……なんてこと、だれしも一度は経験があるでしょう。でもその調味料、もしかしたら代用できるかもしれません!
今回ご紹介するのは「ケチャップ」の代用アイデア。
管理栄養士と食生活アドバイザーの資格を持つライターのゆかりさんに、ケチャップの代用アイデアをレシピつきで紹介してもらいます。
「ケチャップ」の原材料は?
「ケチャップ」とは、本来は野菜、果物、きのこ、魚介類などを原料としてつくれた調味料を指します。日本でケチャップと言えば、トマトを多く使用したトマトケチャップを指しますが、バナナケチャップや大豆を使ったものなども存在します。この記事では、トマトケチャップについて言及していきます。
ケチャップのつくり方は、完熟トマトを加熱してなめらかにし、トロっとするまで煮詰めたものに味付けしたものが一般的です。
一般的なケチャップの原材料には、
・トマト
・糖類(砂糖など)
・醸造酢
・食塩
・玉ねぎ
・香辛料
といった表示が多く見られます。
このことからケチャップの味を決定づけるのは、トマトのうま味、調味料によるバランスの取れた甘味・酸味・塩味ということが考えられます。
ケチャップの代用になる調味料は?
ケチャップを使わずに、ほかの調味料で味を再現する方法はいくつもあります。
今回、代用レシピのために筆者が用意したものは以下のとおり。
■トマトが原材料に含まれるもの
・トマト缶
・トマトジュース
・ウスターソース
■甘味
・砂糖
■酸味
・酢
■塩味
・食塩
・ハーブソルト
これらの中から、いくつかを組み合わせて代用ケチャップをつくってみることにしました。
3通りの組み合わせで代用ケチャップを考案
いくつも試作をした上で、代用ケチャップとなりそうな以下の3通りを選びました。
【1】 トマト缶 × 砂糖 × 酢 × 食塩(50:15:10:1)
【2】 トマトジュース × ハーブソルト × 酢 × 砂糖 × コーンスターチ(40:1.2:5:3:1.5)
【3】 ウスターソース × 砂糖(35:5)
括弧内は、実際につくった際のグラム数となっています。なお、メーカーによって風味や味のバランスに差があるため、使う調味料によっては分量の微調整をおすすめします。
ミートソースやピザソースのように具が混じっているものを代用にする案もありましたが、今回はそれらを除いたものを選んでみました。
※同じメーカーであればウスターソース、中濃ソース、とんかつソース(濃厚ソース)の原材料は同じことが多いため、ウスターソースがなくてもほかの種類のソースを置き換えることができます。今回は、味の違いが判別しにくいため、各種の比較は省略しています。
代用ケチャップの調理時のポイント
【1】鍋に酢以外の材料を入れ、程よいとろみが付くまで煮詰めたら酢を加え、同じとろみになるまで加熱する。(酢は長時間の加熱で酸味が弱まるため、最後の方に加える)
【2】鍋にすべての材料を加え、程よいとろみが付くまで煮詰める。(コーンスターチによってすぐにとろみが付くため、分離を防ぐためにも酢は最初から加える)
【3】鍋にすべての材料を加え、程よいとろみが付くまで煮詰める。焦げ付きやすいため、特にゴムベラでこまめに鍋底をなぞるように加熱する。
いずれも、調理中は弱~中火で加熱し、ゴムベラで鍋肌にこびりつかないように混ぜ続ける。
代用ケチャップが完成!
完成した代用ケチャップを並べてみました。画像左から順にケチャップ、【1】~【3】となっています。
この中から、組み合わせを伏せた状態で、筆者とその家族で食べ比べた結果が以下のとおりです。
見た目で比べた場合は【1】
まず、見た目が一番ケチャップに近かったものは、写真を見てわかるように【1】でした。
香辛料こそ加えていませんが、それ以外はほぼケチャップと同じ原材料を使っていることからも予想通りの結果に。
【2】は、トマト缶よりも濃度の薄いトマトジュースを使ったことと、コーンスターチでとろみを付けたことが、ケチャップよりも鮮やかな色に仕上がったのだと考えられます。【3】は、もともとのウスターソースの黒っぽい色がそのまま残ったため、ケチャップには見えなくなっていました。
とろみ(粘度)に関しては、煮詰めたりコーンスターチを加えることで調整可能であったため、いずれもケチャップに近い仕上がりにすることができました。
スクランブルエッグにつけて食べた場合は【1】
ケチャップは、料理の味付けとして加えられるだけでなく、ポテトやソーセージなどにつけて食べられることもあります。そのため、今回は代用ケチャップの味の違いがわかりやすいよう、油で炒めただけの味付け無しのスクランブルエッグをつくり、それにつけて食べ比べてみました。
その結果、【1】、【2】、【3】の順に好評価となりました。
【1】はケチャップそのものと食べ比べても、あまり遜色のない味わいを感じることができました。
【2】はトマトの濃度がほかよりも薄いせいか、ケチャップとしては物足りない味わいに。
【3】はウスターソース由来の風味と香辛料が強い印象を受けました。
シンプルな味わいのものと合わせる場合は、ダイレクトに代用ケチャップの味が感じられるため、そういった使い方をする場合は【1】が一番おすすめできると言えます。
ナポリタンをつくった場合は【1】【2】【3】どれも◎
ケチャップを使う料理として、スパゲッティにからめて炒めるナポリタンを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。今度はゆでたスパゲッティにそれぞれを加えて混ぜ、具無しのナポリタンをつくって食べ比べてみました。
その結果、【1】【2】【3】いずれもおいしく食べることができました。
ただし、ナポリタンとしての味わいに言及するのであれば、【1】か【2】ということになりますが、【3】はソース風味を感じるもののナポリタンっぽさを感じる点で合うと判定しました。
味の濃さでは、塩分量に比例して【3】がひときわ強く感じるため、同じように調味料として料理に使うのであれば、【1】【2】よりも少なめにすることをおすすめします。
代用ケチャップの結論
代用ケチャップとしていくつもの視点からおすすめできるのは【1】ということができます。
比較的家庭に常備されている食材でつくれる、というのも大きなポイントとなりました。
手作りする場合は「煮詰める」という手間と時間が少々かかりますが、好みの甘味や酸味に整えることが可能になるため、ケチャップがない時以外にもおすすめです。
また、次点でおすすめな【2】ですが、こちらはコーンスターチがあれば時短でつくりやすいという点がポイントに。加えて、ケチャップそのものに比べ、カロリーを半分ほどに抑えることが可能です。カロリーをあまりとりたくない場合に選ぶといいでしょう。
ただし、ハーブソルトだけで塩分を調整しようとするとハーブの香りが強くなりすぎたり、スパイスが加わったものはケチャップの味から遠ざかってしまう懸念があります。それらが心配な場合は、ハーブソルトの2/3くらいを食塩に置き換えてもいいかもしれません。
最後に、この中では最下位となった【3】ですが、全体に混ぜ込む料理であればケチャップと合わせてソース類が使われることもあるため、その際は問題なく使えると感じました。今回はウスターソースを使用しましたが、濃度の違いがある中濃ソースやとんかつソースなども置き換えて使うことができます。
粘度があるソースは煮詰める必要性があまりないですが、砂糖が溶けにくいのため、温めるとなめらかに仕上げることが期待できるでしょう。少ない材料でつくりたいのであれば、【3】がおすすめと言えます。
代用ケチャップの楽しみ方は?
揚げ物などにそのまま付けたりマヨネーズと混ぜ合わせてオーロラソースにするほか、ピザトーストに使ったり、炒め物や煮込み料理のベースに使うなど、幅広い用途のあるケチャップ。
組み合わせでは取り入れていませんでしたが、代用ケチャップの味がなんとなく物足りない場合は、一般的なケチャップにも含まれている「玉ねぎ」を少量すりおろして加え、うま味をアップさせるのもおすすめ!
手作りしたケチャップは、消毒した清潔な容器に密閉して冷蔵庫で保管すれば2週間ほど保存が可能です。そのため、まとめてつくった分でさまざまな料理に使い、使い切るごとに別の代用レシピをつくって食べ比べるという楽しみ方もできます。
ケチャップがない時はもちろん、手作りをしてみたい……というのであれば、ぜひ記事で紹介した組み合わせを試し、代用ケチャップをつくってみてはいかがでしょうか?