「ホットケーキミックス」がないときに代用できる食材を検証!おすすめの組み合わせも紹介【管理栄養士が解説】
2024/03/26
レシピをチェックしていざ料理をつくろうとしたところ、必要な食材が切れていた……なんてこと、だれしも一度は経験があるでしょう。でもその食材、もしかしたら代用できるかもしれません!
今回ご紹介するのは「ホットケーキミックス」の代用アイデア。
管理栄養士と食生活アドバイザーの資格を持つライターのゆかりさんに、ホットケーキミックスの代用アイデアをレシピつきで紹介してもらいます。
「ホットケーキミックス」の原材料は?
ホットケーキとは、小麦粉、砂糖、膨張剤などを牛乳で混ぜ合わせ、両面を焼き上げた料理です。国内では甘味のついたものが一般的で、食事の一部やデザートとして食べられています。
卵や牛乳を加えて混ぜるだけで簡単にホットケーキの生地をつくることができるように配合されたものが、「ホットケーキミックス」と呼ばれます。ホットケーキミックスを利用することで、ホットケーキと生地の配合が似ているドーナツ、クレープ、スポンジケーキなどのほかの料理をつくることも可能です。
実際に、筆者の手元にあったホットケーキミックスの原材料を確認してみると、
・小麦粉
・砂糖
・ぶどう糖
・粉末水あめ
・食塩
・ベーキングパウダー
・香料
などが使われていることがわかります。
このほかにも商品によっては、でん粉、油脂、乳製品などが配合されていることもあります。また、アレルゲンやグルテンに配慮して小麦粉ではなく、米粉や大豆粉をベースにしたものも。
「ホットケーキミックス」の代用になる食材は?
それでは、具体的にどんな食材がホットケーキミックスの代用に向いているのか見ていきましょう。
まずは、ホットケーキミックスにも含まれている「ベーキングパウダー」。
これは、ふんわりとした膨らみと軽い食感を出すために必要なものです。小麦粉、砂糖とともにベーキングパウダーを合わせることで、似たような仕上がりが期待できるでしょう。
ちなみに、ベーキングパウダーは「天ぷら粉」にも含まれています。天ぷら粉は、小麦粉とベーキングパウダーが主に使われていて、砂糖が入っていないためそれを加えることで似たような仕上がりになるといえます。ただし、商品によっては揚げ色をきれいに仕上げるために着色料が入っていて色味が変わる可能性があるでしょう。
また、ホットケーキミックスは甘い仕上がりだけでなく、塩気のあるケークサレなどの料理に使われることもあります。
その場合は、小麦粉、ベーキングパウダー以外にも、あらかじめ多めの食塩やだしが配合されている「たこ焼き粉」や「お好み焼き粉」を使うことも可能です。商品によって塩分濃度(食塩相当量)が異なるため、利用する場合は表示を確認して加える調味料を加減することをおすすめします。
なお、ベーキングパウダーやそれが含まれたミックス粉がない場合は、「メレンゲ(泡立てた卵白)」や「バナナ」を使うという方法も。
見た目や食感にやや違いは出ますが、どうしてもホットケーキをつくりたい場合は試してみる価値はあると思います。
代用食材の実力は?ホットケーキで検証
ここからは実際に、代用食材として挙げたものでホットケーキミックスを代用してホットケーキをつくる場合、どんな違いが現れるのかを検証してみます。
今回は、筆者の家に合った食材を使って、次のような5種類の組み合わせを考案しました。括弧内は、実際につくった際の分量(g)となっています。
【A】小麦粉:砂糖:卵:牛乳:ベーキングパウダー(50:15:17:35:3)
【B】天ぷら粉:砂糖:卵:牛乳(50:15:25:25)
【C】小麦粉:砂糖:卵:牛乳(50:15:50:5)
【D】小麦粉:バナナ:牛乳(35:60:30)
【E】小麦粉:砂糖:マヨネーズ:牛乳(50:15:30:35)
【C】のみ、卵黄と卵白に分けて卵白だけをふんわりするまでよく泡立て、少しずつほかの材料を混ぜ合わせたところへ加え、泡を潰さないように混ぜています。
【D】については、皮の表面に黒い斑点が見られるような熟したバナナを潰し、ほかの材料と混ぜ合わせています。
また、いずれも小麦粉はダマにならないように、ふるいやザルなどを使ってふるっています。
【E】の組み合わせについては、過去に検証した「代用天ぷら粉」の組み合わせを参考にして取り入れています。
上記のポイントを押さえ、【A】~【E】のすべての材料をそれぞれボウルに合わせて混ぜ、できるだけ素早く弱火で熱したフライパンに丸く落とし、蓋をして両面3分ずつ焼きました。その後、皿に取り出し温かいうちに食べ比べてみました。
ホットケーキ作成時の注意点
小麦粉は、混ぜ合わせるほどグルテンというたんぱく質が多くでき、焼いたときにボテッとした重めの質感になってしまう性質があります。
そのため、ボウルの底をなでるようにお玉やシリコンヘラなどで大きく混ぜ、粉っぽさがなくなるくらいを目安に止めるようにしています。
また、バナナのやわらかさに不安がある場合は、皮をむいていくつかに切り分けて電子レンジで30秒ほど加熱すると、なめらかに潰しやすくなります。
代用ホットケーキミックスが完成!
それぞれの代用ホットケーキミックスでつくったホットケーキについて、見た目や食感などを検証した結果は次のとおりです。
生地が扱いやすかったものは【A】【B】【C】
完成した代用ホットケーキミックスでつくった生地をフライパンに落としてみました。画像上段左から順が比較対象の【ホットケーキミックス】、そこから時計回りに【A】【B】【C】【D】【E】となっています。
【A】【B】【C】はいずれも同じような感覚で混ぜ合わせることができました。
丸く形をつくりやすかったのも、これらの組み合わせとなりました。
それに対し【D】は表面的な水分が少なく、バナナの潰し方が大きい場合は小麦粉と混ぜ合わせにくく感じられました。また、【E】はマヨネーズの油分が多いためか、ねっとりと調理器具に張りつくような感じがありました。
いずれも、これらはきれいに丸く落とすのが難しく、いびつな形となってしまいました。
焼き色がおいしそうだったのは【A】【C】
【A】【C】は、いずれもうすく茶色に色づき、食欲をそそる色に仕上がりました。ホットケーキミックスと比べてもよく似ています。
【D】については、もともとのバナナの色とは異なり、灰色がかった色味となってしまいました。材料に何が使われているかわからないと心配になってしまいそうな見た目であったため、「バナナを使うと変色しやすい」ということは知っておくべきだと思います。
ココアや抹茶パウダーを混ぜて濃いめに色づけすれば気にならない程度になる可能性はあるので、気になる場合は試してみるといいでしょう。
【B】【E】については、【A】【C】と同じく卵を含んでいるにもかかわらず、薄い焼き色となりました。これらについては、焼き時間や火加減を調整することで、いくらか色をコントロールすることができる可能性が考えられました。
食感がいいのは【A】【C】【D】
焼いたものを皿に取り出して並べてみました。画像中央左が比較対象の【ホットケーキミックス】、上段左から順に【A】【B】、下段左から順に【C】【D】【E】となっています。
実際に食べ比べてみると、食感に違いがみられました。
ふんわりとした食感が好きであれば【A】【C】、もっちりとした食感が好きであれば【D】がおすすめです。
なかでも、【C】はメレンゲの泡を含んだまま焼き上がっていることから、比較対象よりもさらにふんわりとした食感となっていました。
【B】についてはずっしりとして水分が少なめ、【E】についてはべったりとして崩れやすい点が気になりました。
一般的なホットケーキをイメージすると、これらは仕上がりに違和感がありました。
代用ホットケーキミックスの結論
以上のことから、ホットケーキをつくる場合におすすめできる代用ホットケーキミックスの組み合わせは、
【A】小麦粉:砂糖:卵:牛乳:ベーキングパウダー
【C】小麦粉:砂糖:卵:牛乳
ということができます。つくる手間を惜しまないのであれば、卵白をメレンゲにして使った【C】がおすすめです。
ホットケーミックスでは、ホットケーキ以外にもさまざまな料理に応用することができます。ふんわり感を求めるのであれば、今回の検証結果を応用することができると思います。
反対にそうでない場合は、おすすめ以外の組み合わせでもイメージ通りに仕上がる可能性が考えられるでしょう。
なお、いずれの料理に使う場合であっても、料理に使う材料全体の水分や油分のバランスが大きく崩れないように、代用ホットケーキミックスの分量を調整することをおすすめします。
代用ホットケーキミックスの楽しみ方は?
代用ホットケーキのメリットとしては、自分の好みで甘さの加減がしやすいということが挙げられます。また、少しだけ使いたいという場合やベーキングパウダーを避けたい場合などにもおすすめです。
小麦粉を使った多くのお菓子づくりに利用できるだけでなく、余った野菜や総菜などを混ぜ込んで焼くことでお手軽な一品をつくることもできるホットケーキミックス。筆者は今回の検証で余った生地に、刻んだ小松菜、にんじん、プロセスチーズをそれぞれ分けて混ぜ込み、クッキングシートを敷いた天板の上に並べて広げてオーブンで焼き、「薄焼きケーキ風」にアレンジしてみました。
これ以外にも、中華まんの皮やガレットとして利用することで、肉や魚などさらに多くのお好みの食材と合わせておいしく食べることもできるでしょう。
これらの料理づくりのときにも、ぜひ気軽に代用ホットケーキミックスを活用してみてくださいね!