いつもの「野菜炒め」を劇的においしくする「ひと手間」とは?野菜ソムリエが解説!
2024/07/25
いろいろな野菜を強火のフライパンでサッと炒めて完成する野菜炒め。でも、単純な料理のはずなのになかなかおいしくならない…そんな経験はありませんか?
今回は、いつもの野菜炒めがほんの「ひと手間」でさま変わりする方法を、野菜ソムリエ・食育インストラクター・気象予報士として活躍する植松愛実さんに教えてもらいます!
「野菜炒め=強火」ではなかった!
一般家庭で野菜炒めをおいしくつくるコツは、強火ではなく中火で炒めることです。それ以外のつくり方はいつもと同じで大丈夫。「え、それだけ?」と思うかもしれませんね。でもじつは、すごく大事なことなのです。
よく聞く、野菜炒めを強火で一気に…というのは、中国料理屋さんにあるような鉄のフライパンと火力の強いコンロでつくる場合の話です。つまり、一般家庭の"中途半端な強火"で炒めても、なかなかうまくいきません。
"中途半端な強火"で野菜を炒めると、野菜の中心部分に火がとおる前に野菜表面の組織が溶けてきてしまい(専門的には「ペクチン」と言います)、べチャッとした仕上がりになってしまいます。そのため、一般家庭でつくる際は中火がおすすめです。
そもそも中火って?
ここまで読んで、「そういえば中火って正確にはどんな状態だっけ…?」と思った人もいると思います。じつはこれ、意外と間違えて覚えている人も多いのです。
強火は、火がフライパンの底に勢いよく当たって、火が左右にしっかり広がり底全体に当たる状態。つまり、使うフライパンの大きさによって何が強火なのか変わってくるので、必ずしもコンロのツマミを最大まで回す必要はありません。
中火は、火がフライパンの底にギリギリ当たる高さで、左右の広がりはフライパンの底全体よりもひとまわり小さい状態。じつはこの中火は、野菜炒めに限らずさまざまな炒め物にもっとも適した火加減です。
最後に弱火は、火がフライパンの底に届くか届かないかの状態です。ちなみに弱火はコンロの火の"最弱"状態ではありません。"最弱"はとろ火と言います。
弱火を使うバージョンも
最近、ネットなどで「野菜炒めは弱火で」という情報を見聞きした人もいるかもしれません。これは近年言われるようになってきたことで、一般家庭で"中途半端な強火"でべちゃべちゃした野菜炒めになってしまうのを避けるために、弱火でじっくり炒めるという方法です。
じつは弱火でももちろんおいしくつくれるのですが、前述のとおり「弱火でじっくり」なので、ちょっと時間がかかるという難点が。今回は「ひと手間」でおいしくする方法をお伝えしたいので、あえて中火をおすすめしています。もちろん、時間のあるときは、ぜひ「弱火でじっくり」も試してみてください。仕上がりのよさにびっくりすると思いますよ!
例外的に強火を使うべきときもある!
ここまで、野菜炒めを中火でつくるべし!という話をしてきたわけですが、例外的に強火を使うべきときもあります。調味料に液体のものを使う場合です。
野菜炒めは、塩コショウだけでつくる人もいれば、鶏がらスープの素などの中華ダシを入れる人、あるいは醤油や酒を入れる人もいると思います。醤油などの液体の調味料を使う場合、最後に水分を飛ばす必要があるので、はじめは中火で炒めて、だいたい火がとおった段階で醤油を入れたら、強火で一気に水分を飛ばしましょう。
ちなみに液体かどうかに関係なく、いずれの調味料を使う場合も、調味料は最後に入れてくださいね!
コツはいろいろあるけれど…やっぱりまずは火加減から!
野菜炒めは単純なようで深~い料理なので、もちろんこだわろうと思えばコツは無限にあります。野菜を同じ大きさに切るとか、切った野菜の水分をしっかり切ってから炒めるとか、油をしっかり高温に熱してから炒め始めるとか、炒める量に合った大きさのフライパンを使うとか、炒める最中に水分が出てきたらふき取るとか…もう数え出したらキリがないくらいです。
でもやっぱり、最初かつ最大のポイントは火加減。「野菜炒め=強火」という固定概念とはサヨナラして、ぜひ中火でつくってみてください!
■執筆/植松愛実さん
気象予報士と出張料理人の両面で活動中。気象・防災に関するヒントのほか、野菜ソムリエ・食育インストラクターとしておいしい食材のおいしい食べ方を発信中。インスタグラムは@megumi_kitchen_and_atelier。
編集/サンキュ!編集部