【管理栄養士監修】「くわい」の主な栄養素とカロリーまとめ!おすすめな調理方法は?
2021/02/12
この記事では、「くわい」について紹介します。頭から角が出ているような形が、「芽が出る」ようで縁起がよいため、おせち料理に重宝されています。栄養成分はカリウムが豊富に含まれています。調理方法を知っていれば、お正月以外でも家庭でくわいを楽しめます。
くわいの種類
一般に出回っているのは、皮が青色の「青くわい」です。独特なほろ苦さと、火を通したときのホクホク感が特徴です。定番の含め煮だけでなく、素揚げや、クリーム煮などの和食以外のメニューでも楽しめます。
ほかにも、なにわ野菜として大阪で栽培される「吹田くわい」もあり、青くわいよりも小さく皮が赤紫色に近いですが、苦味が少なくおいしいとされています。
なお、くわいとは異なる種類ですが、「大黒くわい」と呼ばれる皮が黒いものもあり、サクサクとした触感で、中華料理の炒め物によく使われています。
くわいのカロリーと栄養素
可食部100gに含まれる、生のくわいの栄養価についてご紹介します。くわい100g当たりエネルギーは126kcal、たんぱく質は6.3gです。栄養価がほかの野菜と比べても高いのが、カリウムで600mg含まれています。
そのほかの無機質には、亜鉛2.2mg、ナトリウム3mg、カルシウム5mg、マグネシウム34mgなどがあり、ビタミンには、ビタミンB6が0.34mg、葉酸140μgなどが含まれています。
くわいの栄養素
・カリウム
・たんぱく質
・ビタミンB6
・葉酸
・亜鉛
くわいの栄養素1:カリウム
カリウムは細胞の状態や血圧を調節しながら、常に一定したよい体の状態を維持する役割のある栄養素です。
ナトリウムの体外への排出を促進することから、高血圧を防いだり、むくみを解消する役割があります。また、カルシウムを骨に蓄積する効果を高めてくれるため、骨粗しょう症の予防効果も期待できます。
WHO(世界保健機構)からは、成人の血圧と心血管疾患、脳卒中、冠動脈性心疾患などの生活習慣病のリスクを減らすために、カリウムの摂取量を増やすことが強く推奨されています。
くわいの栄養素2:たんぱく質
たんぱく質は、体内で筋肉や臓器、皮膚や髪、血液や酵素などの材料となって、健康な身体をつくる役割のある栄養素です。また、エネルギー源として使われたり、ホルモン、免疫物質、ヘモグロビンなどを構成して、体の機能を調整したり、酸素を全身の細胞へ運ぶ役割もあります。
カロリー制限などで食事量が減ると不足しやすくなるため、意識をして摂取する必要があります。
くわいの栄養素3:ビタミンB6
ビタミンB6は、たんぱく質からエネルギーを産生したり、筋肉や血液などがつくられたりするときに必要な栄養素です。
ビタミンB6が不足すると、口内炎や貧血を起こしやすくなります。腸内細菌によって体の中でもつくられるので一般的には不足しにくいといわれていますが、たんぱく質を多くとる人ほどビタミンB6が必要になるため、意識して摂取するようにしましょう。
くわいの栄養素4:葉酸
葉酸は、タンパク質や細胞をつくるのに必要な核酸を合成する栄養素です。ビタミンB12とともに血液をつくる造血作用があり、赤血球の細胞形成を助ける役割もあります。
妊娠を望んでいたり妊娠中の人が葉酸を摂取すべきと言われる理由は、葉酸が細胞分裂が活発な胎児の発育を助ける効果があるため、授乳中も含めて必要量が増加します。また、脳卒中や心筋梗塞などの循環器疾患を防ぐ効果も期待できるため、年齢や性別を問わず、積極的に摂取するようにしましょう。
くわいの栄養素5:亜鉛
亜鉛は、新陳代謝に関わる酵素の成分になったり、古い細胞を分解し、新しい細胞を合成することから、成長期には欠かせない栄養素です。
亜鉛が不足すると、肌荒れや味覚障害、免疫力の低下、亜鉛欠乏による貧血などを起こしやすくなります。とくに、ダイエットなどで食事量が減ったり、偏った食事が続く場合は、不足しやすくなるので注意しましょう。
くわいはダイエットに効果がある?
くわいに多く含まれるカリウムには、細胞内外でナトリウムとバランスを保つ働きがあることから、むくみの解消や高血圧を予防する効果があります。
しかし、糖質制限の食事をする場合は、あまり向いてないでしょう。くわいの主成分は水分と炭水化物で、デンプン(糖質)が多く含まれています。炭水化物の量を比較すると、ジャガイモやサトイモよりも、くわいのほうが多く含まれています。
おすすめのくわいの食べ方
くわいは火を通すとホクホクの食感が楽しめます。おせち料理にも煮物として入れられています。レシピの検索結果も煮物が多いですが、調理方法はそれだけではありません。
「揚げる」調理をすれば、外はカリっと中はホクホクになります。素揚げやから揚げにして軽く塩を振れば、お酒のおつまみとしてもおすすめです。お子さま用には、薄く切ったものを使ってチップスしたものをおやつにするのもいいでしょう。
また、一度すりおろしてから揚げると、ふわふわとした食感を楽しむこともできるでしょう。
くわいをおいしく食べよう!
くわいに含まれるカリウムがむくみの解消を助けてくれたり、たんぱく質とビタミンB6をいっしょに摂取でき、効率よく筋肉をつくったりエネルギーをつくり出すことができると言われています。
おせち料理以外ではなかなか使うことがありませんが、煮物だけでなく、揚げたりすりつぶすなどの調理法でよりおいしく楽しむことができます。ぜひ、くわいを見かけたら、新しい食べ方を試してみましょう。
監修者ミニコラム:もっともっとクワイのことがよくわかる!賢い選び方&保存方法&調理法とは?
くわいは一般的におせちの重箱に詰められることから、小さいと高価なことが多く、大きいと安価なのだとか。ただし、大きすぎると中に空洞がある場合もあるので、ほどほどのサイズを選ぶと◎。
●選び方
色は鮮やかなもの、ツヤがあり、ふっくらと丸い◎(芽もピンとしていること)
●保存方法
蓮根のように水中で栽培されるくわいは、水に浸して冷暗所で保存すると長持ち!毎日水は交換してくださいね。冷蔵保存は、新聞紙+ポリ袋で乾燥対策をして野菜室へ。
●調理法
煮物調理は、何度かゆでたり米のとぎ汁を使って下ゆでが必要ですが、揚げたり丸焼きする場合は下処理不要!
冬の味覚として、ホクホクとしたくわいの食感を取り入れてみては?