「離婚は一日にしてならず」増える“熟年離婚”を回避するために40代がやるべき5つの技
2022/10/25
厚生労働省が8月に発表した、人口動態統計特殊報告 2022年度「離婚に関する統計」には、2020年までの離婚の動向について様々なデータが示されています。
例えば、離婚件数は2002年の約29万組をピークに減少傾向にあり、2020年は19万3,253組でした。また、離婚した夫婦について同居期間別にみてみると「5年未満」の割合は1996、1997年の40.1%をピークに低下傾向にあります。
一方で、20年以上同居したいわゆる「熟年離婚」の割合は上昇傾向にあり、2020年は1950年以降で最も高い21.5%に達したことがわかりました。
「熟年離婚」というと50代、60代夫婦の問題のイメージがあり「まだまだ私たちには関係ない話」と感じる読者の方も多いかもしれません。
しかし「離婚は一日にしてならず」。
長い間に積み重なった小さなマイナス要素が、熟年世代になって、離婚という形で顕在化するのです。つまり30代、40代のうちから、熟年離婚を生み出す原因を潰しておかなければなりません。
庭に生えてくる草を見つけたらその都度抜き取るように、日々の地道な作業が必要なのです。
子どもの手が離れる時期に「なんで我が家はこんなことに…」とならぬよう、気を付けておくべき5つのポイントをご紹介します。
1.毎日意識して「変化」を注入する
様々な人との付き合いや行動、ふれあいに制限が課されたコロナ禍の3年間。多くの家庭において、夫婦関係に重大な影響を及ぼしています。
本来、外出や外食、友だちとの交流、旅行など、家の外での「非日常体験の共有」は、夫婦の絆を強くするアクションです。様々な体験を通じて、パートナーの意外な一面を発見したり、相手を尊敬したり、惚れ直したり。また思い出を共有することで会話がはずむなど、非日常のもたらす刺激は夫婦関係をリフレッシュするのに必要なアイテムでした。
しかし、コロナ禍の3年間は、多くの夫婦からこのような「非日常体験」が生み出す刺激を奪ってしまいました。3年間の「刺激不足」はボディーブローのようにじわじわと効いて、将来の熟年期の夫婦のマンネリ、そして離婚につながっていくことが懸念されます。
行動制限が解除されつつある今こそ「非日常体験」を積極的に補給するのです。ちょっとした「変化」でかまいません。散歩コースを意外な場所に設定する、発泡酒をビールに変えてベランダで飲む、子どもを預けて2人で数キロ先の街に出かけるなど、思いつくことを書き出してください。
2.対話を増やす
夫婦の間に「マジな対話」はあるのか?と立ち返ってみてください。
喧嘩や議論、連絡や報告といった「会話」はあっても、対話のない夫婦が増えています。対話とは風呂、メシ、子どもの習い事のお迎えなどにまつわる事務連絡の会話とはちがい、自分の行動や発言の根源にある感情や考え方、価値観などについて掘り下げて語る機会です。目に見える行動や表情だけでなく、その深層にある価値観や人生観など、普段の生活ではあまり意識することのないものを言語化し、お互いの違いを発見する時間です。
「相手の言っている意味がよくわからない」
「この行動の裏にはどんな意識があるのだろう」
といった疑問は、会話でなく対話をすることで、解消されます。ときにはスマホを手から離し、じっくりとパートナーと対話する時間を作りましょう。スマホとテレビは「対話」を遮るツートップアイテムです。1時間、2人で電源をオフにしてみてください。
3.子ども抜きの“男女時間”を増やす
子育てがもっとも忙しい30代、40代は生活のすべてが子ども中心に進みがち。平日の生活時間も、週末の予定も、長期休みもいつも子ども中心に過ごしていると、父親・母親という役割でしかパートナーを見ることができなくなってしまう。そんな夫婦は、熟年期になり、子育てが一段落すると一気に自分たちの存在意義を見失い、カラッポ夫婦に。夫婦関係を無意味に感じるのは、子どもの手が離れる頃が一番多いようです。
今のうちから子ども抜き、夫婦2人の“男女時間”を持つようにしましょう。パパとママではなく、ひとりの男性と女性に戻って過ごす時間を30代から意識している夫婦は老後も手をつないで散歩できるホノボノ夫婦になります。
4.モテたい力を再燃させる
体形が変わって、昔のようにおしゃれが楽しめなくなったり、子育てで忙しくて自分の身の回りのことは後回しになったり、子どもにお金がかかるために経済的に余裕がなく、身だしなみにお金をかけなくなったり……そんな傾向が表れるのが40代。
そのため、40代で「一気に老け込む人」と「いつまでも若々しい人」との差がグーンと開いてきます。「夫婦なんて長い付き合いなんだから、今更おしゃれなんて必要ない」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが「見た目」は何歳になっても大事。
若さと活力が失われる年代だからこそ、身だしなみに気を使い、服装や髪形を自分に合ったものを選ぶ。「美しい」あるいは「かっこいい」自分でありたい、という気持ちをキープすることが熟年になってもパートナーを惹きつける力になるのです。
つまり「モテ力」です。10代、20代の頃、モテるためにパワーを使ったかたは、それを必死で思い出し再燃させてください。
5.「引き出し」を増やす
熟年世代を生き生きと輝いて日々を過ごせるかどうかは、その人自身の「引き出しの多さ」にかかってきます。
打ち込んでいる趣味がある、好奇心が強く知識が豊富、友だちの枠が幅広いなど多彩な魅力やスキルのある人が「引き出しの多い」人といえます。
引き出しが少ない夫・妻だと人生後半戦が退屈で陳腐な日々になりそうです。妻の引き出しが増えれば、つられて夫も増えてゆく。引き出し増やしは相乗効果があるので、まずは妻側が仕事以外の世界を広げてみてはどうでしょう。
今や人生100年時代。50代、60代の熟年世代は、人生の後半戦のスタート地点にすぎません。果たしてそのとき、数十年連れ添った目の前の相手と激しいハグができるか?
熟年離婚を避けるためには、30代、40代の生き方が重要です。今回ご紹介した5つのポイントを意識しながら、日々の暮らしを充実させていきましょう。
◆監修・執筆/三松 真由美
会員数1万3,000名を超えるコミュニティサイト「恋人・夫婦仲相談所」所長として、テレビ、ラジオ、新聞、Webなど多数のメディアに出演、執筆。夫婦仲の改善方法や、セックスレス問題などに関する情報を発信している。『堂々再婚』『モンスターワイフ』など著書多数。