6人の子を持つFP。子どもが全員「大学に行きたい」と言っても大丈夫と言える備えとは?
2023/08/13
見せてもらうのは、「棚」と「引き出し」と「冷蔵庫」の中。今回は、お子さんが6人いながら、人気ファナンシャルプランナー(FP)として活躍中の橋本絵美さん宅に伺いました。3回目の最終回は、気になる教育とその費用の考え方についても聞きました。
中学受験のための塾通いは、特待生になることを条件に
「どうしても受験させたいとかじゃなくて、本人が希望しなければ、私は公立でいい派なんです。
これは私自身の経験なのですが、私も小学生の時、友人のお姉さんが私立中学に行ったことを知り、受験したいと思ったことがありました。母に話したところ「問題集1冊を自分で解けたら塾に行っていいよ」と言われましたが、自分で選んだ問題集が難しすぎてできず。それで中学受験は断念しました。でも結果的に、中学・高校と部活に燃え、充実した学生生活を送れたので、それはそれで良かったと思っているんです。
長男が中学受験したいって言い出したのは、クイズ番組に出ていた東大王に憧れて。その方が難関校から東大だったのがきっかけでした。その時、私はかつての母と同じように、「入塾のテストを受けてみて、特待生だったらいいよ」と話しました。受験して彼の場合は特待生になれたので、通わせることにしたんです」。
長男は特待生となり、中学受験が始まります。とはいえ子ども10人を目指している橋本家としては、その後の教育費について不安はないのでしょうか?
「私は地方出身で中高は公立だったので、そこまで中学受験に関心はなくて。ただ、本人のやる気と努力があれば、私立にも行けるように準備はしておこうと思っていました。10人産もうと初めから決めてたので、当初からちゃんと教育費の準備を10人分考えていました。大学の費用は、公立大学に行けるお金は10人分用意して、私立に行きたい場合は残りの費用は自分で出してもらうつもりです。
私自身もバイトをして自分で出しましたから。なので、大学の公立の学費相当分までは親の務めとして出すけど、それ以上に留学したいとか大学院に行きたいとかになったら、そこは自分でやりなさい、ということにしています」。
本を読んだりカルタ取りをしたり。家族仲良く過ごすのが教育方針
そうはいっても、教育熱心なご家庭では?と思いきや、橋本さんは笑います。
「それがそうでもなくて(笑)。できれば、友達と遊んだり読書をして欲しいんですけど、今は学校からもパソコンを支給されるので、やっぱり子どもはそちらに時間かけちゃいますよね。うちは夜8時以降はデジタル禁止にしているんです。テレビ、スマホも含めて8時以降は禁止です。なので、本を読むか、あとは、大きい子たちとは、みんなで百人一首で遊びます。我先にとお風呂に入って、毎日のようにやるんです」。
撮影中、実際に百人一首大会が始まったのですが、家族全員が真剣にかるたに向かっていました。確かに、暗記力が付きそうです。
家族全員、本も大好きだそうですが、本棚には伝記が多いように見受けられます。
「確かに、伝記は読ませたいんですよね。子どもって、親の職業に結構影響されるじゃないですか。うちの場合は、子どもたちに将来なりたいものを聞くと、FPになりたいとか経営者になりたいみたいなことを言うんです。やっぱり親と近しい人とか、知ってる範囲でしか職業って知れないからだと思うんですね。
私も田舎出身で、両親が教師だったんです。だから、いざ大学に来た時に先輩とかいろんなリクルーターの方に、うちの会社に来ませんか?みたいな感じで誘われたのですが、仕事のことが当時は全然わかりませんでした。証券会社って言われても、証券会社って何するところなの?とか、広告代理店って何?みたいな。市役所と教師ぐらいしか知らないからわからないんですよね。いろんな人がいて、いろんな世界があって、いろんな職業があってっていうのを、伝記とか本を読むとわかるなと思って、子どもたちの選択肢が広がるなと思って、伝記は揃えてあります」。
勉強よりもお手伝いをしっかりするのが橋本家の掟
勉強だけでなく、お手伝いもしっかりするのが橋本家の掟。
「私の1日のスケジュールで言うと、朝は5時頃に起きて、長男のお弁当を作ります。3つのスープジャーにご飯、汁物、おかずを詰めています。朝食はみんな自分で用意して食べます。だから、私は準備はしないです。そこから9時ごろには仕事を始め、午後3時くらいまでは1人で集中します。それからは、小学生組が帰ってくるので宿題を見たりしながら仕事。6時10分になったらタイマーが鳴るので保育園にお迎えに行き、7時ぐらいからご飯を食べさせてお風呂に入って、もうあとは寝るだけかな」。
片付けや掃除の時間は取っていませんが、それはママではなく、子どもたちがお手伝いとして分担してくれています。
「ご飯は私が作りますが、食洗機を回すのは子どもたちのお手伝い。そのほかの家事も「名のある家事」は分担してくれています。家事の係表を作って見える化しています。私は取りまとめ役。子どもなので係表を作っても完璧にはできませんが、少しでもやってくれるととても助かりますし、家族みんなで橋本家を作っているので一体感も出ます」。
本当に子育てに必要なお金は、真剣に考えれば自ずとわかるもの
最後に、6人のママでありFPの橋本さんから、子どもの教育費やお金のことが心配な人へ、心強いアドバイスをいただきました。
「教育費はかかるといえばかかります。けど、もし3人目が欲しいけど経済的に難しいと思っている人がいたら、産んでから本当に必要な教育を考え直してもよいのではないか?と伝えたいです。子どもが1人、2人のときにたくさん習い事をさせたり受験をさせたりとお金を使いがちでも、3人になったら改めて3人を真っ当な人間に育てるために本当に必要な教育って何だろう、っていうのを真剣に考えると思うんです。うちもそうでした。そうすれば、必要なことって自ずと見えてくるんです。例えば仕事頑張ろうとか、お金をかけていたものをやめようとか」。
そして、最終的にどうしても必要なことは?と聞いてみたところ、こんな答えが返ってきました。
「子どもを育てるのに、どうしても必要なことは、家族が仲良いってことだと思います。それが一番大事。そのために、みんなで揃ってできるゲームをしたり、ハンバーグや餃子など夜ご飯をみんなで作ったり。家族団らんを大切にしています」。
●PROFILE
橋本絵美(東京都 39歳)。ファイナンシャルプランナーとしてFPオフィス「ハピママlabo」主宰。長男(13歳)を筆頭に、長女(12歳)、二女(10歳)、三女(7歳)、四女(5歳)、二男(3歳)と夫の8人家族。
撮影/tsukao 取材・文/尾崎真佐子 企画/サンキュ!コメつぶ