元外資系金融エリート 肉乃小路ニクヨ 流「かわいいお金ちゃんを堅実に育てる３つの心得」

証券会社、銀行、保険会社に勤務して金融や投資のマネリテ（金融リテラシー：お金についての知識と判断力）を磨き上げ、経済・お金についての発信が話題を呼んでいる肉乃小路ニクヨさんに、｢お金の育て方」を教えてもらいました！

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【マネリテUP大作戦】お金を育てる力を養おう

物価は上がるのに低金利が続く今、節約して貯金するだけでは、お金は増えません。金融や投資についての正しい知識が、手堅くお金を殖やすのに役立ちます。

ニクヨさんMEMO

・東京生まれ、千葉育ちの50歳
・3人きょうだいの末っ子
・ふたご座のB型
・身長180cm、体重ヒミツ
・資格／証券外務員1種、保険販売資格、ニューレディー検定1級
・好きな色／ネイビー
・好きな食べ物／いちご
・好きな歌手／中島みゆき
・趣味／散歩（1日1万歩以上）

“お金ちゃん”はわが子のように大切にしながら、時に冒険もさせなきゃダメなんです

――“お金をわが子のように育てる”とは、どういうことなのでしょうか？「インフレだと、銀行に預けているだけでは、お金の価値が目減りしてしまいます。『投資』とは、お金を奉公に出し、成長して帰ってきてもらうこと。

大事なわが子の奉公先だと思うといろいろ調べるし、ちょっと冒険もさせて、たくましくなって帰ってきてほしいと願うもの。そうやってお金を育てているうちに、親のマネリテも育って、豊かな未来につながっていくんだと思います」。

お金ちゃんも自分もどんどん成長させる方法 Q&A

Q 「お金」について本格的に学んだのはいつですか？

A 大学卒業後に金融業界で働きながら経済や金融商品について勉強しました。

大学卒業後、証券会社、銀行、保険会社に通算10年間勤務していたので、そこでの経験が私のマネーリテラシーの土台になっていると思います。仕事で個人のお客さまに商品を提案していたので、「証券外務員1種」などいろいろな金融商品の販売資格を取得するために学びました。

Q 「お金」に興味をもったのはいつですか？

A 小学生のころ、プロ野球選手の「年俸」と「成績」の関係が数字的に面白いなと思ったんです。

8歳のときに東京から千葉に引っ越して、友達と仲良くなるための共通の話題がプロ野球だったんですね。選手の成績が打率、打点、防御率などたくさんの数字で表され、それが年俸につながっている。数字で把握すると物事がスッキリ理解できると気づきました。

Q 「初めての投資」はいつ頃、どんなものでしたか？

A 銀行の営業時代に「外貨預金」と「投資信託」に合計で40万円ほど投資しました。

「お客さまに商品を提案するのに、自分も身銭を切って買わないと実感を伴ったプレゼンができない」と思って購入したのが最初です。当時、金利が良かった米ドルとNZドルの外貨預金、日経平均に連動するベーシックな投資信託、あと、そのころ人気のあった債券の投資信託に投資しました。

Q 新NISA、やってますか？

A もちろんやってます。

つみたて投資枠ではTOPIX（東証株価指数）に連動する投資信託を購入。成長投資枠では、ちょっと冒険して、今は無名でも将来、大化けしそうな会社の株を買ってます。NISAのメリットは利益が非課税なこと。株価が爆上がりして、そのメリットを最大限に生かせたらいいなと（笑）。

Q 「お金」の確かな情報はどうやって得ていますか？

A 「テレ東BIZ」、「NewsPicks」など質のいい有料コンテンツは信頼できるので課金してます。

今はお金に関しても無料の情報があふれていますが、私は有料の情報はそれだけ制作にお金と手間をかけられているはずなので、信頼がおけると思っています。それと有識者にしっかり取材して作られた書籍や雑誌などの活字情報も大事。そうした確かな情報はお金を払ってでも入手して、日々触れるようにしています。

Q 投資で失敗した経験はありますか？

A 「仕手株」に手を出して、500万円が紙切れになったことが（笑）。

昔、よくわからずに仕手株に手を出したら大損しました。「理解できないモノは買わない」という教訓になりましたね。30代前半の失敗だったので、その後、働いて挽回できましたけど。若いうちの失敗は取り返しがつくので、その意味でも、投資は早く始めた方がいいんです。


●仕手株とは
「仕手筋」と呼ばれる投資家集団が介入し、株価が乱高下する株式銘柄のこと。仕手筋は、潤沢な資金を背景に賭け事のような売買を行い、短期に大きな利益を得ることを目的としている。

Q 値上がり、値下がりするたび、やたらハラハラしちゃうんですが……

A 放っておいてもいいように「10年使わなくていいお金」を投資に回しましょう。

一時的に値下がっても、持ち直すまで10年は待てるように、投資は余裕資金で。そして「buy&forget」の精神で買ったら忘れること。あと「投資」はまとまったお金でするイメージがありますが、今は100円からでも始められます。少額から始めて、値動きに慣れることも大事です。

Q リスク資産（投資）と無リスク資産（預貯金）の割合は？

A 投資65％、預貯金35％くらい。今後もう少し、投資に回していこうかと思ってます。

私は今フリーランスなので、仕事が減った場合のことを考えて年収5年分くらいの預貯金がないと不安。でも、預貯金はインフレで目減りしていくから、もう少し投資にお金を回していこうかなと。私って、意外と保守的なんです（笑）。もし会社員だったら、もっと前からリスク資産の配分を多くしたかも。

Q 投資って、やっぱりやった方がいいですか？

A 投資は“未来”につながります。また「時間が最大の武器」なので、少しでも早く始めた方が有利です。

私は未来が良くなること、経済が成長して暮らしが豊かになることを信じたいと思っています。だから、投資をするんですね。投資することで、経済を応援したい。50歳から積み立て投資をしても間に合いますが、早く始めるほど投資期間が長くなり、その分、お金が大きく育つ可能性を期待できます。

Q 円安・円高をくりかえす中、どんな投資をするのがいいんでしょう？

A 手堅い投資のお手本、「GPIF（ジーピーアイエフ）」のやり方をマネしてみるのも手です。

2020年から、GPIFでは国内外の株式と債券に4分の1ずつ投資しています。株よりも値動きがマイルドな債券を組み入れることでリスクを小さくしつつ、目標の運用利回りを確保しています。これをマネして、債券を組み入れたバランス型の投資信託でお金を育ててもいいかも。


●GPIFとは
GPIF（年金積立金管理運用独立行政法人）とは、公的年金の積立金を管理・運用している国の機関。年金財政上、必要な利回りを満たしつつ、最もリスクの小さいポートフォリオで年4％超の収益率を上げている。

Q NISAの成長投資枠で個別株にトライしたいです。銘柄選びはどうしたらいいですか？

A もう1人の自分を就職させるつもりでその企業について調べてみましょう。

お金ちゃんはわが子であり、自分の分身。株の銘柄選びは、いわば就活です。安定した大手企業がいいのか、未来に可能性を感じるベンチャー企業を選ぶのか、経営者はどんな人か、長く働けそうかなど、投資先の会社についてじっくり調べてみましょう。

かわいいお金ちゃんを堅実に育てるためのニクヨ流三カ条

一、思いきって奉公に出す

かわいいからと手元に置いておくだけでは、お金ちゃんは育ちません。奉公に出すべし。ただし、お金ちゃんを小分けしていろいろな先に、長い目で奉公に出して。危険が少ない「長期・分散」がお金ちゃんを上手に育てるポイント！

一、奉公先からすぐに全員を呼び戻さない

小分けして奉公に出したら、わが家に戻すのも少しずつにすべし。積み立てた投資信託をいっぺんに現金化するのではなく、必要な分をその都度、ちょこちょこ換金するのが◎。残りを続けて運用することで、資産が長持ちします。

一、見守りながら自分もなるべく長く働く！

お金ちゃんに稼いでもらいながら、自分も元気なうちはしっかり働いて稼ぐべし。働くことで経験値が上がり、経済活動に参加することでマネリテも培うことができます。それが巡り巡って、投資でお金を育てることにも役立つはず！

＜教えてくれた人＞
元外資系金融エリート・ニューレディー 肉乃小路ニクヨさん
慶應義塾大学卒業。在学中に女装を開始。外資系の証券会社、銀行、保険会社で経験を積みながら並行してショーガール・ゲイバーのママに。『いま必要なお金のお作法 幸せを呼ぶ40のマネープラン』（KADOKAWA）。

※投資に元本保証はありません。損失のリスクも検討し、自己責任の上で行ってください。

参照：『サンキュ！』2025年5・6月合併号「マネリテ上げて、お金に振り回されない人生を始めよう！」より。掲載している情報は2025年3月現在のものです。撮影／有馬秀星　構成／竹下美穂子　取材・文／村越克子　編集／サンキュ！編集部