冬の電気代は夏の1.3倍!? 節約しつつも暖かく暮らす暖房費ダイエットテク
2022/12/08
夏と冬は光熱費が跳ね上がる時期。なかでも冬は室内外の温度差が大きく、数種類の暖房器具を組み合わせて使うケースが多いことなどから、夏よりも光熱費がかさみがちです。暖房費を節約するにはどんなことに気をつければよいのか、節約アドバイザーの丸山晴美さんに教えてもらいました。
監修: 節約アドバイザー 丸山晴美
22歳の時に節約に目覚め、1年で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニ店長などを経て...
みなさまこんにちは。節約アドバイザーの丸山晴美です。
お金にはトレンドがあって、その情報をキャッチできるか否かで、得する人と損する人に分かれます。でも経済に関するお金の情報は、ちょっとむずかしいですよね。私はみなさまに“お金の旬の情報”を“わかりやすく”お届けしていきたいと思います。今回のテーマは「暖房費の節約術」!
窓まわりの工夫が「暖房効率」に差をつける!
あなたの家の冬の電気代、どのくらいかかっているか把握していますか?
電気・ガスの比較サイト「エネチェンジ」が総務省統計局の家計調査を基に算出したところによると、4人世帯の冬の電気代の平均月額は1万4,329円。夏の電気代の平均月額1万867円のより3,462円も高く、1年で最も高くなる時期です(※1)。
これを節約するためには「暖房効率」を上げることが基本です。まずは「窓」を見直すことから始めましょう。
窓を閉めていても、空気は隙間などから出入りします。部屋の暖かい空気は窓ガラスを通して逃げ、外の冷たい空気が入ってきてしまいます。これを防ぐことが暖房効率をあげる第一歩です。
もしも現在、レースのカーテンのみにしていたり、薄手カーテンをかけているお宅は、すぐに厚手のカーテンに掛け替えることをおすすめします。遮光性能2級以上のものならば、なおいいでしょう。
昼間はカーテンを開け、太陽の光をできるだけ入れて部屋を暖め、夕方暗くなったらカーテンを閉めて熱を逃さないようにします。
また、冬は「コールドドラフト現象」と言って、室内の空気が窓面に当たって冷やされて下降し、室内に冷気が拡散します。ファンヒーターなどを置くときは、カーテンが燃えない程度の窓際に置きましょう。窓から降りてきて部屋に広がる冷気をファンヒーターが吸って温め部屋に送り出すので、暖房効率を上げることができます。
加湿することで体感温度をアップ+風邪予防
暖房を使う際には湿度も重要です。加湿をしながら暖房をすると体感温度が高くなるため、低い設定温度でも快適に過ごせます。
また、一般的に湿度を40%以上にすると、 ウィルスの死滅率が上がるといわれています(※2)。加湿は風邪予防にもつながるわけです。
湿度を上げるには加湿器の利用がおすすめですが、洗濯物を室内に干したり、リビングで鍋料理を食べるだけでも効果的です。
電気をムダ使いする服装をしていませんか?
さらに暖房効率を上げるためには、自分自身を暖めることも大切です。方法は簡単。上着を1枚羽織ったり、靴下などを履いたりするだけで体感温度が上がります。
以下は一般財団法人省エネルギーセンターが発表している、服による体感温度の変化です。これを参考に自分自身を上手に暖めましょう。
・薄手シャツ+ズボンからTシャツ+スウェット上下に着替える → 体感温度が1.5~2.3℃アップ
・フリース上下を着る → 体感温度が2.2℃アップ
・靴下を履く、スリッパを履く → それぞれ体感温度が0.6℃アップ
・ひざ掛けをする → 体感温度が2.5℃アップ
・スカートからパンツに履き替える → 体感温度が2.9℃アップ
・カーディガンを羽織る → 体感温度が2.2℃アップ
※参考文献:一般財団法人省エネルギーセンター「家庭の省エネエキスパート検定」テキストより
この他、首にスカーフやタオルを巻くのもおすすめです。
使う暖房器具はエリアによって選び分けて
上記の準備を整えたうえで、いよいよ暖房です。
よく「エアコンとストーブどちらがいい?」という質問をいただくのですが、エリアによって異なります。
雪の多い寒冷地はエアコンだけでは弱いので、直接暖房といわれるストーブやファンヒーターなどが必要となります。
ファンヒーターとこたつを併用する場合は、「こたつホース」などと呼ばれている専用のホースを使うのがおすすめ。ファンヒーターの吹き出し口にホースの口を近づけ、ファンヒーターの熱風をコタツに導入すればそれだけで温まり、こたつの電気代は0円という節約グッズです。
一方、日中は比較的暖かく雪も少ない地域であれば、エアコンだけ、こたつだけでも大丈夫なケースが少なくありません。心もとない場合は、ホットカーペットなどの補助暖房器具を加えるといいでしょう。最近はガスの床暖房にするお宅も多いですね。
エアコン&ファンヒーターの電気代は設定温度で変わる!
資源エネルギー庁によれば、暖房費を節約しつつ快適に過ごす室内設定温度は「20℃」が目安とされています(※3)。
20℃にするとどのくらい節約できるか金額を算出したものが以下。いずれも外気の温度が6℃の時に1日9時間使用した場合の金額です。
【エアコン】設定温度を21℃から20℃にすると、年間で約1,650円節約
【ガスファンヒーター】設定温度を21℃から20℃にすると、年間で約1,320円節約
【石油ファンヒーター】設定温度を21℃から20℃にすると、年間で約880円節約
室温20℃にすると、決して侮れない金額の節約になるわけです。
暖房のつけっぱなしは、アリ?ナシ?
近所のスーパーに買い物に出るときなど、暖房を消したほうがいいのか、つけっぱなしのほうが暖房費の節約になるのか、悩むところですよね。
冷房の場合、エアコンは起動する際に最も電力がかかるので、20分〜30分程度の短時間の外出であればつけたままカーテンを閉めて出たほうが節電になります。
でも、暖房は冷房よりもエネルギーがかかるので、エアコンのつけっぱなしはNG!30分までの外出ならつけたまま、それ以上の外出なら早めに消した方が節約になります。(※4)
なお、暖める面積が広くなればなるほど多くのエネルギーがかかります。どの暖房器具を使う場合でも、ドアを閉めたり仕切りをつくるなどして、できるだけ暖める部分を狭くすることを忘れずに。暖房をつけているときは家族がひと部屋に集まるようにし、出かけるときはこまめに切ることで、使うエネルギーを減らすことができます。
また、ヒーターやエアコンのフィルターを2週間に1度は掃除をするなどのお手入れも、暖房効率をあげることにつながります。
こたつ&ホットカーペットの電気代を抑える使い方テク
ホットカーペットは床に直に敷くと、熱が床に逃げて暖房効率が下がります。断熱マットなどを敷いて、設定温度を低めにするのが節約のコツです。ただし、基盤部分は熱を持つため、基盤の下には断熱マットは敷かないようにしましょう。
設定温度は「中」にするのがおすすめ。3 畳用ホットカーペットで設定温度を「強」から「中」にして1日5時間使用した場合、5.5カ月で約5,770円もお得になります。
また、3畳用と2畳用のホットカーペットを比較すると、設定温度「中」の状態で1日5時間使用した場合、2畳用のほうが年間で約2,790円も節約に。分割して暖める機能があるホットカーペットの場合は、人が使う範囲だけONにするなど上手に使い分けをしましょう。
こたつも温度調節を「強」から「中」に下げると、1日5時間使用した場合、年間で約1,520円が節約。さらに、こたつ布団の上に上掛け布団をかけ、こたつの下に敷布団を敷くようにすると、こたつ布団だけの場合よりも年間で約1,010円が節約(1日5時間使用の場合)できますよ。
お風呂や食べ物などの工夫で体の中からも温めて
生活の中での工夫も電気代節約につながるものがあります。
例えばお風呂。お風呂は寝る1時間〜30分前に入り、身体が温かいうちに布団に入れば、暖房をつけずに済んで寝付きもよくなります。ポットに残ったお湯は湯たんぽとしてムダなく使いましょう。
また、身体が温まる飲料としては、紅茶、プーアル茶といった色の濃いお茶がおすすめ。冬はスープを片栗粉などでとろみをつけたり、しょうがや唐辛子などの香辛料をお料理に使うようにすると、身体の中から温まります。
こうしたちょっとしたひと工夫を加えて、楽しく快適に電気代を節約しましょう。
取材・文/かきの木のりみ