【お金の専門家が解説】現金派と電子マネー派、損しやすいのはどっち?
2021/04/24
ふだん、スーパーなどで買い物をするとき、どんな決済手段を使っていますか?電子マネーなどのキャッシュレスが進む一方で、「現金派」を貫く人もまだまだ少なくありません。これからの現金とキャッシュレスの使い方について、節約アドバイザーの丸山晴美さんに聞きました。
なお、今回ご紹介する情報はすべて2021年3月時点の取材情報を元にしています。
監修: 節約アドバイザー 丸山晴美
22歳の時に節約に目覚め、1年で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニ店長などを経て...
みなさまこんにちは。節約アドバイザーの丸山晴美です。
お金にはトレンドがあって、その情報をキャッチできるか否かで、得する人と損する人に分かれます。でも経済に関するお金の情報は、ちょっとむずかしいですよね。私はみなさまに“お金の旬の情報”を“わかりやすく”お届けしていきたいと思います。今回のテーマは「現金とキャッシュレスの損得」!
4割の女性が電子マネーをまったく利用していない!?
法人向けクラウドサービスを提供するリスクモンスター株式会社が、2020年12月に、20~69歳の男女500人を対象に行った「電子マネー利用実態調査」の結果によれば、電子マネーを「利用している」人は全体の59.8%で、半数以上が利用していることがわかります。
利用している人は女性より男性のほうが若干多く、「利用していない」女性は4割以上にのぼります。また、年代別では30代(61.0%)と40代(65.0%)の利用が多いそうです。
電子マネーを利用していない人の理由の割合としては、1位が「現金支払いで十分」で36.3%、2位「設定するのが面倒」35.8%、3位「セキュリティーが不安」33.8%でした。ただし第1位の理由は年代によって異なり、20代と60代は「現金支払いで十分」、30代と50代は「アプリの設定やチャージが面倒」、40代は「セキュリティーが不安」という声が多数を占めていました。
ちなみに、利用している電子マネーの種類は、1位が「交通系電子マネー」で47.8%。2位は「PayPay」40.1%、3位「WAON」34.1%でした。
家計の決済手段もキャッシュレスの割合が過去最多に
ではスーパーでの買い物など、家計の決済手段としては何が使われているのでしょう?
日銀に事務局を置く金融広報中央委員会では2020年8〜9月、2人以上の世帯2052世帯を対象に「家計の金融行動に関する世論調査」を行いました。その結果、1,000円以下の決済では、現金の割合は2019年の84%から70.8%に低下したものの、クレジットカードは9.1%から14.1%に、電子マネーは18.5%から29.6%にそれぞれ上昇しています。
1~5万円の決済でも、現金の割合は前年の48.5%から33.9%に低下。しかしクレジットカードは58.5%から65.1%に、電子マネーは3.4%から6.4%にそれぞれ上昇しました。
いずれも比較可能な2007年以降で、現金の割合は過去最低に、クレジットカードと電子マネーの割合はともに過去最高という結果になりました。
流れに乗らずにいると、お得な情報などにも乗り遅れることに
これらの調査結果から、広くキャッシュレス化が進んできているのがわかります。しかし、上記の内容を見ればわかるとおり、半数近くはまだ現金にこだわっている、という実情もあります。
ここ数年、銀行でも紙の通帳を有料化したり、窓口での両替はもとより、両替機を使った両替も手数料を取るなど、現金でのやりとりにお金がかかるようになってきています。つまり、現金でのやりとりにはコストがかかるということ。そのコストを削減するため、各銀行が強力にキャッシュレス化を進めているのです。
日本ではまだまだ現金派も多いですが、海外ではキャッシュレス化がどんどん進んでおり、中国では通貨の「人民元」をデジタル化した「デジタル人民元」の運用が試験的に始まっています。
日本では2024年に、1万円札、5千円札、千円札の紙幣デザインを一新することが発表されていますが、お金のデジタル化が進むことは間違いなく、新しいデザインの紙幣が出るのは2024年のものが最後になる可能性も無きにしもあらず。
このような流れのなかでは、私たちも「流れに上手に乗って活用する」ことが大切です。新しい習慣を取り入れるのは、ときに面倒くさかったり、わかりにくかったりします。しかし、だからといって乗らずにいると、お得な情報や生活の改善にも乗り遅れることになりかねません。
新しいサービスに振り回されるのではなく、利用されるのでもなく、ちゃんと理解して生活に取り入れていくことが、上手に節約したり貯蓄していくことにもつながるのです。
といっても、現金を使うのが悪いわけではありません。ただ、「現金一択」にはならないよう注意することが大切です。まだキャッシュレスを活用していないならば、ぜひこの春から、サブ的な使い方からでもいいので活用してみてください。
キャッシュレスならATMでお金をおろしたりする手間や手数料もなくなりますし、決済も早くスムーズにでき、ポイントも貯まってお得です。とくに子どもや高齢者には、キャッシュレスは安全で扱いやすい利点もあります。ぜひ家族でいっしょに上手な使い方を身につけたいですね。
取材・文/かきの木のりみ