家とお金

節約のプロが実践している「引っ越しハイシーズンでも費用を安く抑えるポイント」とは?

2021/12/20

年が明けると急に活発になる引っ越しの動き。そこから春にかけて、引っ越しのハイシーズンがやってきます。引っ越しをできるだけ安く済ませるにはどういう点を工夫すればいいのか、2021年10月末に引っ越ししたばかりという節約アドバイザーの丸山晴美さんに、体験談を交えて聞きました。

なお、今回ご紹介する情報はすべて2021年12月時点の取材情報を基にしています。

22歳の時に節約に目覚め、1年で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニ店長などを経て...

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みなさまこんにちは。節約アドバイザーの丸山晴美です。

お金にはトレンドがあって、その情報をキャッチできるか否かで、得する人と損する人に分かれます。でも経済に関するお金の情報は、ちょっとむずかしいですよね。私はみなさまに“お金の旬の情報”を“わかりやすく”お届けしていきたいと思います。今回のテーマは「引っ越し節約ポイント」!

毎年2月半ばからゴールデンウィーク明けまでが引っ越しハイシーズン

引っ越しにかかる費用は大きく分けて3種類。まず、引っ越し作業に関わる費用、次が契約も含めた新居関連の費用、3つ目は現在の家を退去するときにかかる費用です。

公益社団法人 全日本トラック協会の発表によると、毎年3月第3土曜日あたりから4月10日ぐらいまでが引っ越しのピーク。その前の2月半ばくらいからゴールデンウィーク明けくらいまでが引っ越しのハイシーズンで、先の3つの費用すべてが割高になります。

引っ越し費用を節約するにはハイシーズンを避けるのがベストですが、さまざまな事情からこの時期に引っ越しせざるを得ない場合も多いでしょう。そこで、ハイシーズンの引っ越しでの節約ポイントをご紹介します。

【引っ越し作業の費用】どうしてその値段なのか、直接聞いてみて!

引っ越しのハイシーズンには引っ越し業者を見つけることがむずかしく、引っ越し費用も割高です。値引き交渉もまずできません。

そこで、事前見積もりに家に来た営業の人などに、直接「何がこんなに高いんですか?どうしたらもう少し安くなりますか?」と聞いてみるのがおすすめです。すると、高くなる理由をけっこう教えてくれることが多いんです。つまり、その理由を潰せば安くなる可能性があるというわけ。

私も2021年10月末に引っ越した際、最初の見積もりで営業の人に聞きました。すると「植木とプランターに加えて、そもそもの荷物が多いので高くなる」と教えてくれました。

植木やプランターは運ぶときに積み重ねることができずスペースを取るため、数が多いと追加で1台トラックが必要になり、その分費用が高くなるのだそうです。植木が多いご家庭は、引っ越しの際に気をつけてくださいね。

また、平日の引っ越しは安くなると思っていましたが「金曜日は週末だから高いよ」ということも教えてくれました。引っ越し日は金曜以外の平日がおすすめです。

業者によってはダンボールを中古にしてもらうことができ、そうすると少し安くなります。
また、引っ越し後のダンボールの引き取りが有料のところもあれば無料のところも。細々したオプションは、業者によって有料、無料が異なるので見積もりの際は要チェックです。

私はこうしたアドバイスを受けて工夫&交渉した結果、当初の見積もり額よりも4割程度安くすることができました。皆さんもぜひ、引っ越しの際は直接聞いてみてくださいね。

【新居関連の費用】仲介手数料は物件や不動産屋で異なるのでチェックを

新居関連で節約できる費用の第1は仲介手数料です。仲介手数料は一般的に1.1カ月と言われていて、物件の家賃+消費税くらいです。

中には仲介手数料ゼロの物件もありますし、同じ物件でも仲介する会社によって0.5カ月になる場合も。仲介手数料が安い物件や不動産屋さんを調べて選ぶのも一案です。

最近は、家賃が一定期間無料になる「フリーレント」という物件もあります。無料期間が終わると通常どおり家賃を支払って住むシステムで、無料期間は半月~3カ月などまちまちですが、1カ月無料のパターンが最も多いようです。

ただし、フリーレント物件は「2年間はほかに引っ越せない」などの縛りなどがある場合が。その間に解約すると、家賃1〜2カ月分程度の違約金がかかります。
賃貸のメリットはいつでも気軽に引っ越しができるところですから、縛りがないか調べ、ある場合はよく考えて決めましょう。

敷金は退去時に修繕費などが引かれ、残れば差額が戻ってきます。最近は修繕にも細かくルールが決められているので、よほど大きな修繕がない限りある程度は戻るのが一般的です。
でも、礼金は大家さんが受け取るお金なので戻ってきません。敷金・礼金は1対1もしくは2対1というのが一般的です。礼金の割合が多いところは、費用面を考えるとおすすめはできません。

家具や家電は新居にいったん運んでから買い替えて

引っ越すとなるとカーテンや家具など、必要に応じて買い替えが必要になります。
カーテンは、手芸用品専門店「ユザワヤ」や「無印良品」「ニトリ」などで、オーダーカーテンが手頃な価格でつくれるのでおすすめです。

オーダーカーテンをつくるには窓枠の寸法が必要になるので、事前に測っておきましょう。仕上がるまでに数週間かかるので、引っ越し先を決めたらすぐ取りかかることをおすすめします。

家具や家電もまとめて新調したくなりますが、まずは今まで使っていたものをすべて新居に持って行き、新居や生活の様子に合わせて買い替えたほうが、結果的にムダがありません。
ただし、10年以上使っている冷蔵庫など古いものは引っ越し前に処分し、購入したものを新居に配送してもらうと効率的です。

なお、東京都では2022年3月31日まで、「東京ゼロエミポイント」の申請を受けつけています。これは、省エネルギー性能が高いエアコン、冷蔵庫、給湯器に買い替えると、商品券やLED購入券に交換可能なポイントがもらえるというサービスです。

こうした取り組みは自治体によって異なるので、引っ越し前後には自治体のサービスを調べ、上手に利用することも節約に役立ちます。

【退去時の費用】原状回復はできる限り自分でする、が基本

今まで住んでいた部屋を出る際、蛍光灯が切れていたときなどは「原状回復義務」といって、借りている側が元に戻す必要があります。このほか、タバコのヤニや飼育ペットがつけた傷など、自然に生活してできた経年劣化や汚れ以外は、借りている側の責任になります。

たとえば、切れた蛍光灯の取り替えを自分で行えば、かかるお金は蛍光灯の代金だけです。でも、業者がやるとなると、蛍光灯の代金だけでなく業者の作業料も敷金から引かれます。

原状回復の作業は、できる限り自分たちで行うのが節約の基本。原状回復義務の内容については国土交通省からガイドラインが出ているので、前もって確認するとよいでしょう。契約書にもある程度書かれていることがあるので、契約書も確認しましょう。

ハイシーズンの引っ越しはあらゆる手続きに時間がかかるので、とにかく早め早めに動くことが重要です。それが最終的に、最もお金を節約することにつながります。

なお、引っ越し業者さんに「何月が一番暇ですか?」と聞いたら、「6月」という答えが返ってきました。6月は梅雨があるため引っ越しする人が少なく、その分、引っ越し業者、不動産屋の仲介手数料や家賃、物件価格も値引き交渉がしやすくなります。
引っ越し時期を自分で選ぶことができる場合は、6月が狙い目と言えるでしょう。

教えてくれたのは・・・

丸山晴美さん

22歳の時に節約に目覚め、1年で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニ店長などを経て2001年、節約アドバイザーとして独立。ファイナンシャルプランナー(AFP)、消費生活アドバイザーなどの資格を取得。身の回りの節約術やライフプランを見据えたお金の管理運用のアドバイスなどを、テレビやラジオ、雑誌、講演などで行なっている。著書は「シングルママのお金に困らない本」(徳間書店)、「50代から知っておきたい!年金生活の不安、解消します」(共著)(幻冬舎)など多数。

取材・文/かきの木のりみ

 
 

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